国で暗殺されそうなので、公爵やめて辺境で美少女専門テイマーになります

竜頭蛇

文字の大きさ
上 下
15 / 67

地獄にゴーゴーファンタジア

しおりを挟む


 あの後、「クリムゾンを助けなきゃ!」というアダルマンティーの偉大なる仲間意識の元、俺たちは喧嘩の渦中に突撃。
 俺は馬車からハイジャンプを決め込んで脱出しようと試みたが、馬車に入ると同時に左手に装備されてしまった呪具『サイコホモアーム』によって阻まれ、地獄にゴーゴーファンタジアした。

 お陰で徒歩で帰らされることになった上、精霊二人に付きまとわれることになった。

「お主らも見とったじゃろう!! あれはカエサルが絶対悪かった!! そうおもうじゃろ、なあ!?」

「何言ってんのよ!! メッちゃん!! メっちゃんが絶対悪ったわよ!! あなたたちもそう思うでしょ、ねえ!?」

「キィィ!! あたしのメリットビリーブ様の関心を独占してんじゃないわよ!! この泥棒猫!!」

 昼下がりのヘルメス邸の食堂に姦しい声が鳴り響く。
 喧嘩をヒートアップさせた精霊二人は周りを巻き込もうと必死になり、クリムゾンは嫉妬で荒れ狂っている。
 テーブルの周りが非常に騒がしい。
 こういうのは話に乗らないのが基本だ。
 とりあえず紅茶をすすって、何も聞いてませんよアピールしとく。

 乗ると大概めんどくさいことになるからな。
 俺はパパとママの喧嘩で学習してる。
 大方、追い詰められた方が実力行使にでて、相手も実力行使して、周りが更地になって互いに譲り合うとかいう展開だ。
 規模が増しただけで何も最初と変わらない。

「なんじゃ、お主ら!? あからさまにシカとしよって!! 謀反か!? 謀反なのか!?」

「まったくいつの世も謀反ばかりよ、まったく!! 裏切ってもいいからちゃちゃっとあたしの味方をしなさいよ、あなたたち!!」

 うるせえよ……。
 どんだけ周り巻き込みたいんだよ、態度で察してくれ。

 なんかこのままいたら、強制で巻き込まれそうだな。
 一旦、ここからお暇させてもらうか。

「すいません、僕は村コンに参加するための手続きをしたいので。では」
「あたしも手続きするから」
「私も村コンの主催者側として準備整える必要がありますから」

 アダルマンティー、ヘルメスも俺が言ったのを好機と考えたのか、後に続いて、ここから脱出する言い訳をした。

 精霊二人はぐぬぬ顔をしたので、「これで諦めたな」と自分の中で結論付け踵を返すことにする。
 だが振り向く直前で、クリムゾンがニヤつきながら手をポンと叩く様が見えた。
 慌てて向き直るともう口を動かしていた。

「ではこういうのはどうでしょうか? 村コンでメリットビリーブ様とカエサルが競い合うというのは?」

 精霊二人はその言葉を聞くと互いをちらりと一瞥して、こちらを見ると互いに意地の悪そうな笑顔を浮かべた。

「村コンとな……。ふむ、悪くはなさそうじゃな。競いごとならば負ける道理はないしのう」
「ふふふ、確かにそうですね。こんな不毛な争いより、正々堂々と競い合いで解決するのが一番いいでしょうしね」

 承諾の意を示すと、精霊たちは俺たちに獲物を見つけた猛禽のような目を向けた。

「さて、まずはどちらに与するか、決めた上で皆で登録しに行くことにするかの」

「イースバルツの二人はもちろんこちらですね。早く来なさい」

 今まさに平和な村おこし兼合コンイベントが精霊たちの禍に巻き込まれようとしていた。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~

むらくも航
ファンタジー
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。 ☆10/25からは、毎日18時に更新予定!

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

処理中です...