国で暗殺されそうなので、公爵やめて辺境で美少女専門テイマーになります

竜頭蛇

文字の大きさ
9 / 67

バレバレリーナ

しおりを挟む

 5歳の誕生日のことだった。
 あのころはイースバルツもノースクラメルも戦争をしておらず、ヘルメスの誕生会にも近隣のノースクラメルの貴族が訪れていた。

 そんな誕生会のおりにまだ令嬢だったころのヘルメスは少年から告白された。

 時は巡って今、その少年は成長して自分の前に現れた。

 ガイア・フォース。
 「絶対に戦うな」とイースバルツ中にお触れが出されている『ノースクラメルの悪魔』の次期当主だ。

 今しがた潜伏しているのがバレたばかりだというのに、ガイアは動じることもなくヘルメスを量るように凝視するだけだ。
 ヘルメスが何を考えているのかと考えを巡らしている間も、ガイアの聡明な深緑の瞳は彼女を射貫き続ける。



―|―|―



 公爵バレバレリーナした俺は言葉を紡げず、ヘルメスを見続けるしかない。
 奴はこちらを責め立てるように、凝視し続けるだけだ。
 めちゃくちゃ怖い。この沈黙にはあと五秒も耐えられそうにない。

「誤解です。僕はもう公爵家の人間ではないですし、潜伏しているなら、そこのアサシンが僕の存在をばらすわけがないでしょう」

「では、どういうわけでここにいるというのですか」

 なぜだ……。
 素直に話したはずだというのに警戒がことさらに深まったような気がする。
 てかもはや、問いかけではなく、何かお前は企んでいるはずだという言いがかりに近い。
 何でこんなに信用がないんだ。
 クリムゾンが「冗談が大好き」とか言ったせいだな、くそ。

「あなたと交わした約束を果たすためです。無論、ヘルメスさんも覚えているでしょう?」

「最初に出会ったあの時の約束ですか?」

「そうです」

 俺がそう答えると、ヘルメスはまた驚いた顔をした。
 なんだ、ここの領地防衛依頼したこと忘れてたのか、このイケメン。
 凛とした顔つきなのに、意外にうっかりしてるな。

「なんで国を捨ててまでこんな所に……。あなたのような賢い人が」

 皮肉か、畜生……。
 公爵うっかり時点で馬鹿丸出しだよ。
 この流れで、裏切り者コノヤローとか来ても困るし、ヨイショして話を逸らすか。

「ここには国を捨てても守りたいものがありますからね」

 これでもうネチネチ責めれんだろと、ヘルメスの方を見ると少し涙ぐんでいた。
 領地ヨイショがよほどのこと彼の胸には響いたようだ。
 我ながらファインプレーだ。
 もう一押しして、俺が忠誠心に溢れていることをアピールしとくか。

「必ずここを防衛して、あなたとの約束を果たしてみましょう」

 ヘルメスは俺のあまりの忠誠心に感極まったのか、顔を赤くして、何かをこらえるように俯く。
 少しすると奴は決意したように顔を上げた。

「あなたは私の為に国を捨てたのです。それなのに答えないなんてできるでしょうか。ええ、防衛を果たした暁には、あんたとの約束は必ず果たしましょう」

 よし、何とか丸く収まったようだ。
 一時はどうなるかと思ったが何とかなるもんだ。
 くそ、でも俺を落ち詰めたクロノスちゃんは許せんな。
 一歩間違えたら、断頭台だよ。
 クロノスちゃんの方を見ると、彼女は静止したまま微動だにしない。
 何かおかしい。

 クロノスちゃんを手刀で叩く。
 少しの反動が返ってきたと思うと姿が消えた。
 やっぱり残像のようだ。
 俺をだしに使って、逃げたらしい。

「な、残像?! いつの間に……。あたしが担いでいるときは確かに本体だったよ」

「おおよそ、僕に注目を集めた後、アーツを発動させて逃げたんでしょう」

「追いかけるかい?」

「すばしこいアサシンのことですし、追いかけても無駄です。ほっといて軍備を進めましょう」

 クロノスちゃんを逃がしたのは痛いが、ヘルメスの信頼は得られたし、プラマイゼロだろう。
 ここ最近不調だったので、なかなか幸先のいい出だしのように感じられる。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...