かつてダンジョン配信者として成功することを夢見たダンジョン配信者マネージャー、S級ダンジョンで休暇中に人気配信者に凸られた結果バズる

竜頭蛇

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新ダンジョン協会長

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 ダンジョン協会の上層部がバリキャリの壮年で構成されているため、入ってきた新協会長を見て驚かされた。

「はじめまして、新協会長になりました。阿倍野稲穂と申します。どうか、神崎様、伊藤様お見知りおきを」

 どう見ても20才そこそこの女性だった。
 しかも体に濃い魔力を纏っているのを見ると、かなり経験を重ねた攻略者であることもわかり、驚きに拍車がかかる。
 ベテランの攻略者で、なおかつ若くして国の機関の長に抜擢されるなど、創作でも聞いたことがない。

「こちらこそ初めまして。その若さでダンジョン協会の長なんてかなり優秀みたいね」

「いえ、私は優秀じゃなくて、父が経済産業大臣の阿倍野雅治ですから。今回もその関係で」

「ああ、なるほど、ダンジョン大臣の阿倍野大臣の御息女だったのね」

 阿倍野大臣の娘か。
 阿倍野大臣は日本を再生させるために、ダンジョンによる立国が必要だと主張し、ダンジョンに関する政策をどんどんと推し進め、首相にも恐れることなく提言をすることで有名な大臣だ。
 ダンジョン関係の人間でこの人に頭が上がる人は、皆無と言ってもいいだろう。
 
 会社の経営方針にも関わるので、できるだけ彼の情報は把握するようにしていたが、娘がダンジョン協会で働いているとは思ってもみなかった。
 働いているとしても政財界で2世として働いてるだろうと思っていたし、まず結構やりたい放題している人なので世帯を持っているとは思わなかった。
 しかも目の前の彼女は白髪に碧眼でルックスが良く、ダンジョン攻略者としても比類ない実力を持っているので、話題にならないはずがないと思うのだが。

「剣道さんを超える強力な魔力を帯びているので、辣腕の攻略者とお見受けしますが、お父様の勧めですか?」

「ええ、子供の時に少し齧りまして」

 子供の時に少し齧ったくらいの魔力量ではないと思うが、生粋のエリートなので、少しの基準が俺のような一般人とは大きく離れている可能性もあるので、突っ込まないことにする。

「へえ、攻略者の経験もあるのね。現場のことも十分に考えられそうじゃない。質問だけど、前協会長からS級ダンジョン『怨霊の箱』の許可を貰ってるんだけど、まだ有効かしら?」

「もちろんです。前協会長はダンジョン協会の誇り。その意思を無碍にすることなんてありませんよ」

 父親の権力により押し上げられ、かなり風当たりが強いと思うが、リスクを負う選択をしてくれるようだ。
 若干口上が胡散臭いが、嘘ではないだろう。

「嘘くさいと思ってます?」

 なぜか内心を見抜かれ、少しどきりとすると、協会長は言葉続ける。

「ふふ、私昔からなぜか信用されないんですよね。このまま信頼関係のないままではお互いに良くないと思いますので、近々親睦を深めることをしましょう」

「あらいいわね。すぐにサシでも私はいけるけどどう?」

「いえ、すいません。これから他の事務所にも挨拶に行かないといけませんので」

 まさかの提案に驚かせられ、阿倍野協会長はアリサの誘いを断ると、割とさっぱりとした感じで別れを告げると去っていた。

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