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地上へ
しおりを挟む石礫のマシンガンや岩の砲弾が間断なく降り注ぐ。
1人を相手するにはひどく燃費の悪い戦い方だ。
攻略でこんな戦いをしたらすぐにガス欠になって来てすぐ引き返すことになるだろう。
ダンジョンの中を進むというより、対人戦用のもののような気がする。
即座にこんな悍ましいものを思いつくわけがないので、いつか人に追い詰められた時に使おうと練っていたものと言ったところか。
「バカな真似はやめて、魔法を止めて下さい。 魔力切れになってすぐに拘束されることぐらいわかってるでしょう。それに故意に人を傷つければ、本当の犯罪者ですよ」
『うるさい! 上からものを言わないでよ! あんたに何がわかるの? 自分を応援してくれた好きな人たちは気づいたら全員死んでて、それを責められるのよ! ただでさえ罪悪感のある中でそんなことをされることがどれだけ苦しいと思ってるのよ!』
ずっと殺した結果のことにばかり焦点を置いてたので気づかなかったが、殺した相手が殺した相手だった。
あの時この人はリスナーを自らの手で殺めていた。
リスナーは配信者にとって精神的な支えだ。
人によっては家族と同じくらいの精神的な繋がりを感じる人もいる。
それを殺してしまったというのなら、大きな負担になるだろう。
だがそれをそのままにしていいかどうかは全く別だ。
辛くとも認めなければ、リスナーが浮かばれないし、何よりも彼女が想像の中でいつまでも苦しむ。
真摯に向き合えば、いつかは苦しみは終わる。
「苦しいなら苦しみの中から出ましょう」
声が聞こえた方向に向けて、避けるのをやめて負傷覚悟で飛び込む。
強化を引き上げるのはしない。
あとで回復すればどうにかなるのだ。
それよりも一刻も早くここから彼女を解放することが先決だ。
砲弾と石礫を体当たりしながら、破壊し、飛来してくる岩石の槍と矛を薙ぎ払い、地面に拳を叩き込む。
地面が割れるとともに、中から、相間さんが姿を現した。
また地面に逃げられないように結界で囲む。
魔力が尽きたのか、結界で主導権を取られて形成不利を悟ったのか、相間さんは結界の中で項垂れた。
「血だらけじゃん! 淳さん、大丈夫?」
「何が起こってたんすか、これ?」
こっちに追いついていたようで、土魔法の壁が解けるとアスカさんとディヤリさんの2人がこちらに近づいてきた。
ここで悠長に話すのも結界に捉えている相間さんが居た堪れないので、俺の方から方針を切り出すことにする。
「話をあとでするので、とりあえず外に出ましょう」
ダンジョンの入り口まで歩いて行くと、結界の中の相間さんから眩しいという呟きが聞こえてきた。
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