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毒殺フラグ破壊
しおりを挟む「チンピラと派遣されている憲兵が癒着してるか。典型的なスラム街だな」
「俺たちに手を差し伸べてくれるのは先生だけだ。あの人だけは他の大人たちとは違って,ゴミを見るような目で見ずに,俺たちにも分け隔てなく接してくれる」
「先生? なんだそいつは?」
「ここで診療所をやってる薬術師の先生だ。あの人は回復魔法使いみたいにべらぼうな額は要求せずに俺らのことを見てくれる」
回復魔法使いは主に体の欠損などの重症者専用なので,軽い怪我や病気を主に治療する薬術師と比べれば相対的に高くなるのは当たり前なのだが。
「回復魔法使いと薬術師を比較するな。あれは全くの別物だ」
「出鱈目言うな! 薬術師は回復魔法使いと同じことができるし,金も回復魔法使いよりもずっと安く済むって言ってた!」
「アホが。そんなめちゃくちゃな薬術師はこの世にはいない。騙されたな,ガキ」
「違う! 現に母ちゃんは余命三日って言われてたけど,先生の薬のおかげで一ヶ月たった今でも生きてる!」
呆れていると,部屋の幌を外した。
見るとそこには土木色の顔をしたガリガリに痩せ細った女が薄汚れたベットの上に身を横たえていた。
「死人同然だな」
「ま,まだ今日は薬を飲ましてないからだ。いつもはもっと元気で」
『マスター,目の前の子供は毒物を持っています。ご注意ください。すでに近くの人間を手に掛けているため非常に危険です』
自覚があったのか吃ると,ベッドの近くに置いてあった薬包を持ちあげ,デマキが忠告をしてきた。
どうやらこの子供は薬と騙されたて毒物を買わされていたらしい。
先生と呼ばれる薬術師から胸糞の匂いがプンプンし始めたな。
『デマキ,俺は胸糞を企む奴の思い通りになる展開が嫌いだ。どうやったら死にかけの母親を持ち直せる?』
『毒は鎧の魔力導線を作った際に発生した産業廃棄物です。投与することで魔力の循環が損なわれていくため,その逆に魔力の循環を復活させれば回復させることができます』
「その程度で治るのか。では問題ではないな。 ガキ,そこをどけ」
「まだ薬を飲ませてない」
「もう必要ない。捨てておけ」
母親に触れると魔力を流れを促進する。
幾度か循環させると土気色だった肌が赤みを取り戻した。
「触れただけで母ちゃんが! あんた回復魔法使いなのか?」
「違う,俺は騎士だ。その診療所とやらに案内しろ」
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