胸糞展開で倒されるラスボスに転生してイライラするので、ストーリフラグ全部破壊することに決めた

戦争フラグ完全破壊

　皇帝に信を示した後、すぐに皇帝の元に、王国から水晶で連絡が届いた。
　若干信じられない感じで眉間に皺を寄せていたが、黒装束の男ーーおそらく密偵が現れ、皇帝に耳打ちすると、険しくなった眉間を平した。

「王国の内乱が終結した。それに伴って新王国は儂にこの地で講和条約を締結するように提案している。罠の可能性も高いが儂はこの申し出を受けようと思う。貴殿にはその時に儂の護衛を頼みたい」

「御意」

　ーーー

　騎士たちが集まる中、新国王であるアロンダイトが王国鎧から降り、皇帝と抱擁を交わす。
　前は代理人が代わりに来ていたことを考えると、戦争終結に至って対等までやっとランクアップといったところか。

　二人は笑顔を交わすと国境の草原に置かれた机に座ると、交互に文書にサインをしていく。
　サインを書き終わると二人で文書を掲げ、周りの騎士たちに戦争が終わったということをアピールすると、皇帝の元に付人がやってきてマイクを渡す。

『今からこの戦争の終結に大きく寄与した英雄に報酬を渡したいと思う。ヴィラン辺境伯！　鎧を伴ったままここに参れ！』

「は！」

　俺に対する報酬はいつぞや渡すのかと思っていたが、ここで渡すことにしたらしい。
　戦果をあげていたとはいえ、歴史的瞬間と言っても過言ではないこの瞬間に、わざわざ褒美の儀を行うとは、皇帝はよほど今回のことで機嫌が良くなっているようだ。

『貴殿の働きに際して相応しいものを用意した。受け取り給え』

　皇帝がそう告げると、鎧二体が大きな箱を持ってきて、地面に置いた。
　地面に置かれた箱は、自動的に開くと、中から剣身が透き通った光り輝く大剣が出てきた。

『これはまだ国が分たれていない時代に作られた剣ーーアヴァロン王国の宝剣である『大宝剣アヴァロン』だ。国王から賜った友交の証を儂は平和を作り上げた主に持ってもらいたいと思う』

　大剣を取り、全体を見るために宙にかざす。
　こいつはあるサブクエストで重宝する特攻兵装なのだが、このタイミングでゲットすることになるとは思ってもいなかった。
　ある分には確保しておいて損をすることはないので、ありがたくもらっておこう。

「ありがたき幸せ」

　俺が皇帝に対して、礼を言うと歓声が上がり、それが今回の締結式の締めとなり、式は終了した。