胸糞展開で倒されるラスボスに転生してイライラするので、ストーリフラグ全部破壊することに決めた

竜頭蛇

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辺境伯逃亡フラグ破壊

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「ヴィランとかいう化け物が姫側についたせいで、姫を亡き者にしようとした先の戦いでの我らの計画がバレるとは、おのれ!」

 今現在、皇国の宰相派閥は裏切り者が出て、皇族派に先の戦いで王国側の戦力を過小報告して、姫を亡き者にしようとしていたことがバレ、皇帝から暗部を差し向けられていた。
 捏造報告の情報源であるディアブロは言わずもがなであり、暗部に手を掛けられるのは時間の問題だった。

「奴さえいなければ! 儂は宰相派からさらなる名誉を手に入れられたというのに!」

 しかも宰相はそれに乗じてディアブロに全ての責を押し付けたせいで、ディアブロには皇国側で手を借りられるものがいなくなっていた。
 それゆえこの状況でディアブロが難を逃れるには王国に皇国を売るほかなかった。

「思い出すだけでも腑が煮えくりかえる! 信頼もおけん王国の者どもとこれから沓を並べて過ごすしかないなど! 戦場で見つけらたらただでは殺さん! この世の地獄を味わあせてやる!」

「まあまあ、それくらいにして下さい、閣下。これから皇都に向けて侵略で憂さを晴らせるんですから。そのめちゃくちゃ強い騎士もあなたを見限った宰相も好きなようにできますよ、この最新鋭の王国鎧で」

「ふん!」

 取引を結んだ王国のセイグリッド辺境伯に宥められると、王国への自分の処遇を決める人間ということもあり、ディアブロは鼻を鳴らしつつも、愚痴るのをやめた。

「皇都侵攻ルートにあるグール子爵は抑えたので、もう一つ領地を落としたら、我々で一気に皇都まで駆け抜けましょう。きっと鎧の性能に感動されること間違いなしです。むしろよくもあんな魔石を積まない不良品で戦えたものです」

 セイグリッド辺境伯が嘲るような口調で、鎧の格納庫にあるスピアを見てそういうと、轟音が響いた。

「何事だ!?」

 ディアブロが驚きの声を上げると、間をおかずに、瓦礫が降り注いでくる。

「クソが!」

 慌てて近くに用意された王国鎧に乗り、瓦礫を弾きつつ地下から脱出して周りを確認する。

「わ、儂の城が!?」

 見ると格納庫の上にあるはずのディアブロの城が土台をわずかだけ残して消えており、ディアブロはありえるはずのない光景に目を見開いた。

 
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