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ゆめであおうね
しおりを挟む スレイズがホブゴブリンを倒した頃の中核都市チャイブでは、クエストを終えたベルベティーンたちがギルドでミーティングをしていた。
「俺たちのパーティーにスカウトが来た」
「スカウト? 一体どこから?」
すぐさま質問したのはパトリシア。
このパーティーはミーティングをすることが滅多になかった。
そのため、集合した時から首を傾げていた彼女だが、他のメンバーもスカウトという言葉を聞くと、首を傾げた。
ベルベティーンたちが所属するギルドは王都のギルドに次に大きい。小さいギルドから散々スカウトされていたが、ベルベティーンのパーティーそれを全て断っていた。
つまりこのスカウトは今いるギルドより大きなところから来たものということになる。
「まさか…………王都のギルドから?」
エリィサがそう尋ねると、ベルベティーンはフヒっと笑った。
「そうだ。しかも、強者ばかりが揃う、ウルフハウルからだ」
狼遠吠え。
そのギルドは王都を拠点にしている大規模ギルドの1つである。
実力者が揃うそのギルドでは、彼らを筆頭に様々なモンスターの討伐を行っていた。
そして、そのウルフハウルとライバル関係にあるのが…………。
「ウルフハウル…………シルバーローズじゃないのよね?」
パトリシアが言ったギルド、銀薔薇。
このギルドはウルフハウルとはまた違った特徴を持っており、品があるギルドとして知られていた。チーム戦が得意とするこのギルドは、ウルフハウルとライバル関係にあり、対立することがしばしばあった。
「シルバーローズ? んなわけないだろ。来ても断ってやるよ、あんなところ。ウルフハウルの方が強いやつらばっかりいるんだ。俺はそっちの方が断然にいい。お前らもそうだろ?」
ベルベティーンがメンバーたちに聞くと、メンバーたちはうんうんと頷く。
「それにシルバーローズのやつらはどうにも性に合わない。この前、クエストでかは知らないが、|《この都市》にやってきているやつを見かけたんだがよ…………ちょっと触っただけで骨がぽきっと折れそうなやつばかりだったぜ」
「それ、私も見た」
ベルベティーンに続き、エリィサも話していく。
「なんだか戦闘を知らなさそうなやつらばっかりだった…………兄貴みたいに体がへにょへにょしてそうだったもん」
「まぁ、ともかく俺たちはそんなか弱そうなギルドではなく、強者がそろうギルドに誘われたんだ」
ベルベティーンはメンバー全員の顔をゆっくりと見て、そして、言った。
「ウルフハウルに移籍するか?」
「「「おぉー!!」」」
メンバーは両手を天高く上げ、喜びの声を叫んだ。
★★★★★★★★
そして、ウルフハウルの移籍が決まったその夜。
私、パトリシアはベッドの上にいた。隣にいるのはベルベティーン。
「ねぇ、本当はシルバーローズからもスカウトが来ていたんじゃないの?」
「…………ああ、来ていた。お前、シルバーローズに行きたかったのか?」
「そんなわけないでしょ」
私は窓の外を見る。そして、あの女のことを思い出していた。
家から1歩も出れないナターシャ。
私はそんな彼女が————————大嫌いだった。
いつも誰かに手を差し伸べてもらって。
いつもヘラヘラした顔を見せて、ベルベティーンやスレイズたちをたぶらかして。
私が嫌っているのを分かって、それでも笑顔で話しかけてきて。
あの女はいつも、この世で一番の幸せ者のように笑っていた。
本当にウザかった。憎かった。
だから、私はスレイズを取ってやった。あの絶望した顔は、本当に見ものだったわ。
最近はそんなスレイズも捨ててやった。使い物にならないし、ベルベティーンの方が力を持っていたし。
ベルベティーンは私の手を取り、手の甲にキスをする。
「最近ではウルフハウルの方が力を持っているって言うじゃないか。噂によると、王族とのつながりもあるらしいな」
「そうなの?」
それはいいことを聞いた。
次は王子様を手に入れることにしましょ。
私は力も権力も地位も全て手に入れて、あの女よりもずっと幸せになるの。
「俺たちのパーティーにスカウトが来た」
「スカウト? 一体どこから?」
すぐさま質問したのはパトリシア。
このパーティーはミーティングをすることが滅多になかった。
そのため、集合した時から首を傾げていた彼女だが、他のメンバーもスカウトという言葉を聞くと、首を傾げた。
ベルベティーンたちが所属するギルドは王都のギルドに次に大きい。小さいギルドから散々スカウトされていたが、ベルベティーンのパーティーそれを全て断っていた。
つまりこのスカウトは今いるギルドより大きなところから来たものということになる。
「まさか…………王都のギルドから?」
エリィサがそう尋ねると、ベルベティーンはフヒっと笑った。
「そうだ。しかも、強者ばかりが揃う、ウルフハウルからだ」
狼遠吠え。
そのギルドは王都を拠点にしている大規模ギルドの1つである。
実力者が揃うそのギルドでは、彼らを筆頭に様々なモンスターの討伐を行っていた。
そして、そのウルフハウルとライバル関係にあるのが…………。
「ウルフハウル…………シルバーローズじゃないのよね?」
パトリシアが言ったギルド、銀薔薇。
このギルドはウルフハウルとはまた違った特徴を持っており、品があるギルドとして知られていた。チーム戦が得意とするこのギルドは、ウルフハウルとライバル関係にあり、対立することがしばしばあった。
「シルバーローズ? んなわけないだろ。来ても断ってやるよ、あんなところ。ウルフハウルの方が強いやつらばっかりいるんだ。俺はそっちの方が断然にいい。お前らもそうだろ?」
ベルベティーンがメンバーたちに聞くと、メンバーたちはうんうんと頷く。
「それにシルバーローズのやつらはどうにも性に合わない。この前、クエストでかは知らないが、|《この都市》にやってきているやつを見かけたんだがよ…………ちょっと触っただけで骨がぽきっと折れそうなやつばかりだったぜ」
「それ、私も見た」
ベルベティーンに続き、エリィサも話していく。
「なんだか戦闘を知らなさそうなやつらばっかりだった…………兄貴みたいに体がへにょへにょしてそうだったもん」
「まぁ、ともかく俺たちはそんなか弱そうなギルドではなく、強者がそろうギルドに誘われたんだ」
ベルベティーンはメンバー全員の顔をゆっくりと見て、そして、言った。
「ウルフハウルに移籍するか?」
「「「おぉー!!」」」
メンバーは両手を天高く上げ、喜びの声を叫んだ。
★★★★★★★★
そして、ウルフハウルの移籍が決まったその夜。
私、パトリシアはベッドの上にいた。隣にいるのはベルベティーン。
「ねぇ、本当はシルバーローズからもスカウトが来ていたんじゃないの?」
「…………ああ、来ていた。お前、シルバーローズに行きたかったのか?」
「そんなわけないでしょ」
私は窓の外を見る。そして、あの女のことを思い出していた。
家から1歩も出れないナターシャ。
私はそんな彼女が————————大嫌いだった。
いつも誰かに手を差し伸べてもらって。
いつもヘラヘラした顔を見せて、ベルベティーンやスレイズたちをたぶらかして。
私が嫌っているのを分かって、それでも笑顔で話しかけてきて。
あの女はいつも、この世で一番の幸せ者のように笑っていた。
本当にウザかった。憎かった。
だから、私はスレイズを取ってやった。あの絶望した顔は、本当に見ものだったわ。
最近はそんなスレイズも捨ててやった。使い物にならないし、ベルベティーンの方が力を持っていたし。
ベルベティーンは私の手を取り、手の甲にキスをする。
「最近ではウルフハウルの方が力を持っているって言うじゃないか。噂によると、王族とのつながりもあるらしいな」
「そうなの?」
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