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異世界と少年と私
怪我人の治療
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血塗れのロワーズが勢い良くこちらに向かって来たので、シオンがビックリして地面に尻餅をつく。
「あ、ちょっと近いです」
ロワーズに洗浄をかけ治療《キュア》もかける。
「む。すまん。怪我はそんなにしていない。其方らは、怪我はしていないか?」
「私たちは大丈夫です」
ロワーズは明日の移動に使用する道の確認作業をするために野営地より離れた場所にいたそうだ。突如、野営地から狼煙が上がったのを見て急いで戻ってきたと説明を受けた。返り血は途中で大量にいた魔物を殲滅してきたらしい。今日は北の砦の帰還準備のため騎士の訓練はんかったそうだ。中級騎士などは西側で荷物を纏める準備をしており、北側では新人騎士が自主訓練をしていたそうだ。
「こちらにもゴブリンとオークが来ましたが、無事に護衛が倒してくれました」
「そうか。ん? あれはなんだ?」
天幕の端に転がるゴブリン棺を凝視しながらロワーズが言う。
「あ、あれはですね。えっと」
私が誤魔化そうとモジモジしている間にハインツがロワーズに耳打ち、すぐに外にいる二人が天幕の中へと呼ばれる。
「ディエゴ! カルロス! 中に入ってこい」
「「はっ、只今」」
護衛の二人は天幕に入ってくるなり、ロワーズの機嫌が悪いのを察したか目線を合わせないようにしている。
「報告を」
ロワーズが低い声で命令すると、ディエゴが後ろに手を回し胸を張りながら報告を始める。
「警報が鳴り狼煙が上がるのが見え、エマ様とシオン様は天幕の中で待機していただきました。南からゴブリンの集団とオークソルジャーの襲撃に遭い、乱闘になりました。討伐中にカルロスがゴブリンアーチャーの放った矢で肩を負傷、気付いたら――エマ様がアーチャーを射抜いておりました。その後、興奮したオークソルジャーがエマ様に突進したのですが……急に雄叫びを上げ、膝をつき転倒。その隙に首元を刺し討伐しました」
ロワーズがジト目をこちらに向けたので肩をすくめる。他にどうするば正解だったのか分からない。
「ディエゴ、あそこにあるのはお前の言う『殲滅したゴブリン』か?」
ディエゴもカルロスもゴブリン棺に目を向けギョッとしながら困惑する。きっとあれが何か分からないだろうから説明すると二人して顔色を変える。
「「申し訳ございません」」
二人は護衛だけど、私は責任などないと思っている。不可抗力だ。結果的に私たちは無事だし大事にしたくはない。一応、ロワーズにもそう伝えた。けれど、騎士団には騎士団のルールがあるようでよそ者の私がこれ以上、口を挟むのもどうかと悩み、とりあえず黙った。
「ディエゴ、レズリーに二人の無事と、それから南の警備隊と結界の魔石について確認せよと伝えよ。カルロスは残れ」
ディエゴが敬礼をして天幕を出る。カルロスは緊張した表情でゴブリン棺を凝視していた。
「ゴブリンの話は今しない。説教は後だ。それよりカルロス、怪我の具合はどうだ?」
「ハインツ殿にポーションを頂き、エマ様にヒールをかけて頂きました。完治しております」
「ヒールをか……そうか。カルロス、北側の状況はこちらより酷い。南にまだいる救護班と共に北側へ向かえ」
「はっ、直ちに」
「エマとシオン、すまんがこの後は私と同行してもらう」
ロワーズとの同行は決定事項のようで特に意見できる雰囲気ではなかった。シオンにはできれば魔物の死骸とか見せたくないのだけど。シオン用のマントをエコバッグから取り出し、深く被せ抱っこをする。
野営地の北へ歩いて進む。実はこちら側を訪れるのは初めてだ。野営地の位置関係は詳しくは把握していないが、私たちが滞在していた天幕が南側で騎士のトーナメントの行われた場所が西側だ。リリアやハインツと魔法を練習したのも西側。それ以外の場所は訪れる機会はなかった。
ロワーズによると北側には新人騎士の天幕、それから食堂の天幕があるそうだ。南から北には歩いて十五分くらいで到着した。
南側は他の場所よりも酷い惨状だった。魔物の討伐はすでに済んだようだが倒れた天幕やそこら中に焦げた跡があり、未だに煙が上がっている場所があった。怪我人が次々と救護班に担がれていくのも見える。ロワーズに報告する騎士によると、今はまだ死者はいないようだ。
はけた場所には、討伐されたオークとゴブリンが数多く積まれていた。ゴブリンの素材は耳にある魔石のみだが、オークはその肉、皮、魔石、そして睾丸が使えらしく……オークが次々と解体され、収納袋に詰められていく。肌色と緑色の積み上がった死骸と匂いにまた吐き気がする。吐いてはいけない。大丈夫……これは養豚場だ。緑のは知らん。
「エリー! テメェ、カッコつけてんじゃねぇよ」
治療用天幕の側から大声が聞こえる。あれは、たしかアレンというトーナメントでも元気よく叫んでいた新人騎士だ。その横にはトーナメントの時に勝手に応援していたエリーがいた。鷹の目スキルで確認すれば、エリーは足を負傷していて相当傷が深い。アレンは罵ってはいるが、救護班に運ばれるエリーをとても心配そうに見つめていた。
(大丈夫かな……)
若い子が怪我していることにソワソワしていると、すぐにエリーが天幕から出され外に寝かされる。救護班やポーションが足りないのか……エリーは、応急処置だけされて天幕を出されたようだ。エリーが蹲る中、アレンが救護班とやや揉め始めた。
「ロワーズさん。私もヒールを使えるのでお手伝いします。救護班の人手が足りないようです」
「ヒールか……」
「世話になりっぱなしなので、お役に立ちたいのです」
「はぁ……分かった。頼む。だが護衛はつけるぞ」
号令を出していたレズリーと合流後、ディエゴ、それからもう一人の男性騎士をつけられる。
「無理をするでない。終わったら、私の元へ戻れ。ハインツもエマと一緒に同行を頼む」
「エマちゃんもシオンも無事で良かったよ。また後で話そうね」
会うのは数日ぶりだが、レズリーはいつも通りだ。笑顔で手を振って別れた。
シオンをハインツに抱っこしてもらおうとするが、私から離れたくないと服を握って離さない。仕方ないので、このまま治療をすることにする。着ていたフードをさらに深く被りエリーたちの元に向かった。
エリーの足に巻かれた包帯には血が滲んでおり、痛みから歯を食いしばるエリーがとても痛々しかった。急に現れた私に警戒しながらアレンが言う。
「お前、誰だ。エリーになんの用だ」
「初めまして。エマと申します。エリーさんの治療をしますので、足を見せてください」
斬られたのだろうか、エリーの足の切り口は広範囲でなかなか深い。治療班から止血と洗浄はすでにされているようだ。カルロスよりも酷い怪我だけど行けるだろうか?
「それでは始めます。【治癒】」
カルロスと同様、エリーの足も傷が超速再生される。エリーが立ち上がり足を動かす。成功だ。アレンが目を丸くしたと思ったら満面の笑みになりバシバシと背中を叩かれる。喜ぶのはいいけどちょっと背中が痛い。
「なんだ、あんた! すげぇな。ありがとな」
「それが騎士の感謝の仕方でしょうか?」
ハインツのアレンへ向ける目が怖い。アレンが何か言う前にエリーが止める。
「アレン、この方は団長といた。言葉遣い」
「あ……申し訳ありません。エリーを助けていただいてありがとうございます」
アレンが深々と頭を下げるとエリーも胸元に手を置き深々と礼をした。
「怪我を治して頂きありがとうございます」
「顔を上げてください。治しましたけど、無理はしないで下さい」
エリーは無表情で返事をしたが、何度も動かしながら足を確認すると安堵した表情を見せた。傷も残らなくて良かった。
それから救護用の天幕と緊急の怪我人用のテントを回り、ヒールをかけまくった。ヒールの乱発に救護班や騎士たちは非常に驚いていた。怪我をしているほとんどの人が新人騎士だったが、元気に何度も感謝された。やっぱり若い子には元気でいてもらわないとね。
ドドン
『光魔法のレベルがあがりました』
『光魔法のレベルがあがりました』
惜しまずにヒールの掛け放題をしたからだろうか、レベルのお知らせが二回も頭の中で流れた。この調子で軽い怪我人も治療しようと意気込んで次の騎士を探していると、ハインツに止められる。
「エマ様。お待ちください。魔力は大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だと思います」
魔力を使いすぎると貧血のような状態になるそうだが、今のところ特に問題はない。
「……左様でございますか。そろそろロワーズ様の元に戻りましょう」
「あ、ちょっと近いです」
ロワーズに洗浄をかけ治療《キュア》もかける。
「む。すまん。怪我はそんなにしていない。其方らは、怪我はしていないか?」
「私たちは大丈夫です」
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護衛の二人は天幕に入ってくるなり、ロワーズの機嫌が悪いのを察したか目線を合わせないようにしている。
「報告を」
ロワーズが低い声で命令すると、ディエゴが後ろに手を回し胸を張りながら報告を始める。
「警報が鳴り狼煙が上がるのが見え、エマ様とシオン様は天幕の中で待機していただきました。南からゴブリンの集団とオークソルジャーの襲撃に遭い、乱闘になりました。討伐中にカルロスがゴブリンアーチャーの放った矢で肩を負傷、気付いたら――エマ様がアーチャーを射抜いておりました。その後、興奮したオークソルジャーがエマ様に突進したのですが……急に雄叫びを上げ、膝をつき転倒。その隙に首元を刺し討伐しました」
ロワーズがジト目をこちらに向けたので肩をすくめる。他にどうするば正解だったのか分からない。
「ディエゴ、あそこにあるのはお前の言う『殲滅したゴブリン』か?」
ディエゴもカルロスもゴブリン棺に目を向けギョッとしながら困惑する。きっとあれが何か分からないだろうから説明すると二人して顔色を変える。
「「申し訳ございません」」
二人は護衛だけど、私は責任などないと思っている。不可抗力だ。結果的に私たちは無事だし大事にしたくはない。一応、ロワーズにもそう伝えた。けれど、騎士団には騎士団のルールがあるようでよそ者の私がこれ以上、口を挟むのもどうかと悩み、とりあえず黙った。
「ディエゴ、レズリーに二人の無事と、それから南の警備隊と結界の魔石について確認せよと伝えよ。カルロスは残れ」
ディエゴが敬礼をして天幕を出る。カルロスは緊張した表情でゴブリン棺を凝視していた。
「ゴブリンの話は今しない。説教は後だ。それよりカルロス、怪我の具合はどうだ?」
「ハインツ殿にポーションを頂き、エマ様にヒールをかけて頂きました。完治しております」
「ヒールをか……そうか。カルロス、北側の状況はこちらより酷い。南にまだいる救護班と共に北側へ向かえ」
「はっ、直ちに」
「エマとシオン、すまんがこの後は私と同行してもらう」
ロワーズとの同行は決定事項のようで特に意見できる雰囲気ではなかった。シオンにはできれば魔物の死骸とか見せたくないのだけど。シオン用のマントをエコバッグから取り出し、深く被せ抱っこをする。
野営地の北へ歩いて進む。実はこちら側を訪れるのは初めてだ。野営地の位置関係は詳しくは把握していないが、私たちが滞在していた天幕が南側で騎士のトーナメントの行われた場所が西側だ。リリアやハインツと魔法を練習したのも西側。それ以外の場所は訪れる機会はなかった。
ロワーズによると北側には新人騎士の天幕、それから食堂の天幕があるそうだ。南から北には歩いて十五分くらいで到着した。
南側は他の場所よりも酷い惨状だった。魔物の討伐はすでに済んだようだが倒れた天幕やそこら中に焦げた跡があり、未だに煙が上がっている場所があった。怪我人が次々と救護班に担がれていくのも見える。ロワーズに報告する騎士によると、今はまだ死者はいないようだ。
はけた場所には、討伐されたオークとゴブリンが数多く積まれていた。ゴブリンの素材は耳にある魔石のみだが、オークはその肉、皮、魔石、そして睾丸が使えらしく……オークが次々と解体され、収納袋に詰められていく。肌色と緑色の積み上がった死骸と匂いにまた吐き気がする。吐いてはいけない。大丈夫……これは養豚場だ。緑のは知らん。
「エリー! テメェ、カッコつけてんじゃねぇよ」
治療用天幕の側から大声が聞こえる。あれは、たしかアレンというトーナメントでも元気よく叫んでいた新人騎士だ。その横にはトーナメントの時に勝手に応援していたエリーがいた。鷹の目スキルで確認すれば、エリーは足を負傷していて相当傷が深い。アレンは罵ってはいるが、救護班に運ばれるエリーをとても心配そうに見つめていた。
(大丈夫かな……)
若い子が怪我していることにソワソワしていると、すぐにエリーが天幕から出され外に寝かされる。救護班やポーションが足りないのか……エリーは、応急処置だけされて天幕を出されたようだ。エリーが蹲る中、アレンが救護班とやや揉め始めた。
「ロワーズさん。私もヒールを使えるのでお手伝いします。救護班の人手が足りないようです」
「ヒールか……」
「世話になりっぱなしなので、お役に立ちたいのです」
「はぁ……分かった。頼む。だが護衛はつけるぞ」
号令を出していたレズリーと合流後、ディエゴ、それからもう一人の男性騎士をつけられる。
「無理をするでない。終わったら、私の元へ戻れ。ハインツもエマと一緒に同行を頼む」
「エマちゃんもシオンも無事で良かったよ。また後で話そうね」
会うのは数日ぶりだが、レズリーはいつも通りだ。笑顔で手を振って別れた。
シオンをハインツに抱っこしてもらおうとするが、私から離れたくないと服を握って離さない。仕方ないので、このまま治療をすることにする。着ていたフードをさらに深く被りエリーたちの元に向かった。
エリーの足に巻かれた包帯には血が滲んでおり、痛みから歯を食いしばるエリーがとても痛々しかった。急に現れた私に警戒しながらアレンが言う。
「お前、誰だ。エリーになんの用だ」
「初めまして。エマと申します。エリーさんの治療をしますので、足を見せてください」
斬られたのだろうか、エリーの足の切り口は広範囲でなかなか深い。治療班から止血と洗浄はすでにされているようだ。カルロスよりも酷い怪我だけど行けるだろうか?
「それでは始めます。【治癒】」
カルロスと同様、エリーの足も傷が超速再生される。エリーが立ち上がり足を動かす。成功だ。アレンが目を丸くしたと思ったら満面の笑みになりバシバシと背中を叩かれる。喜ぶのはいいけどちょっと背中が痛い。
「なんだ、あんた! すげぇな。ありがとな」
「それが騎士の感謝の仕方でしょうか?」
ハインツのアレンへ向ける目が怖い。アレンが何か言う前にエリーが止める。
「アレン、この方は団長といた。言葉遣い」
「あ……申し訳ありません。エリーを助けていただいてありがとうございます」
アレンが深々と頭を下げるとエリーも胸元に手を置き深々と礼をした。
「怪我を治して頂きありがとうございます」
「顔を上げてください。治しましたけど、無理はしないで下さい」
エリーは無表情で返事をしたが、何度も動かしながら足を確認すると安堵した表情を見せた。傷も残らなくて良かった。
それから救護用の天幕と緊急の怪我人用のテントを回り、ヒールをかけまくった。ヒールの乱発に救護班や騎士たちは非常に驚いていた。怪我をしているほとんどの人が新人騎士だったが、元気に何度も感謝された。やっぱり若い子には元気でいてもらわないとね。
ドドン
『光魔法のレベルがあがりました』
『光魔法のレベルがあがりました』
惜しまずにヒールの掛け放題をしたからだろうか、レベルのお知らせが二回も頭の中で流れた。この調子で軽い怪我人も治療しようと意気込んで次の騎士を探していると、ハインツに止められる。
「エマ様。お待ちください。魔力は大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だと思います」
魔力を使いすぎると貧血のような状態になるそうだが、今のところ特に問題はない。
「……左様でございますか。そろそろロワーズ様の元に戻りましょう」
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