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異世界と少年と私

ステータス

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 とりあえず愛人部屋に戻った。魔法の練習は、明日以降に時間のある誰かが教えてくれるという。ありがたい。
 愛人部屋については、今日は他の天幕はとても騎士以外の人が泊まれる環境ではないらしい。正直、寝れるなら愛人部屋でも大丈夫だと伝えた。レズリーは笑っていたが、ロワーズは苦虫を噛み潰した顔をしていた。私は本当に気にしてない。寒さをしのげる場所があるだけでありがたいのだから。でも結局、渡り廊下部分を取り払うことで落ち着き、北の砦に行くまでの二週間は愛人部屋で過ごすことになった。
 頭の中で流れた和太鼓音とアナウンスは、ゲーム的なステータスなのかもしれない。二人は何も言ってなかったので、そのことについては黙っていた。固有スキルとユニークスキルが解放されたって……一体何が解放されたのだろう。

「アンさん、シオンの面倒を見ていただきありがとうございます」
「お坊ちゃま、よく眠られております」

 シオンの寝顔はとても可愛かった。アンは、シオンはとても良い子にしていたと言った。身近に子供がいなかったので、接し方が今ひとつ分からない。今夜だけでも、アンがいてよかった。アンは十七歳ぐらいだろうか? そう考えてるとヴォンと音がして、頭の中にアンの情報が流れてきた。

アン
年齢:十六
種族:人族
職業: ウエストリア王国黒騎士団メイド

魔力2 体力3
スキル:掃除、子守、農業、料理、 酪農、短剣
魔法属性: 水
魔法:生活魔法、水魔法

 これ、アンのステータスだ。流行りの小説はいくつか読んだことあった。これは鑑定だ。ここは、本当ファンタジーな世界なんだ。アンは十六歳なのね、若い。
 アンが天幕を去るのを見送り、自分に向かって小さく【鑑定】と呟いた。

エマ・シラカワ 
年齢:十九
種族:人族(異世界人)
職業:なし

魔力8  体力8  
スキル:言語翻訳、タックル、俊足、ステップ、キック、ピアノ、水泳、栽培、料理、精神耐性(強)
魔法属性:全
魔法:なし
固有スキル: 商人交渉2 、コピー2   
ユニークスキル: 妄想魔法、鑑定
称号:異世界の迷い人

 何、このステータス……。年齢も十九になっている。半分くらいの年齢になったことに違和感しかない。それになんか、スキルが脳筋っぽいんだけど。タックルとかって海外学生時代に、ラグビーをしてたからかな? ピアノとか水泳は子供の時の習い事だ。精神耐性は子供の頃のイジメだろうか?
 交渉とコピーは仕事関係? ん? でも、コピーとかここ十年してなかったと思うけど……。

「あぁ、もしかしてあれか」

 学生時代にしたインターンの時のこと? あれは毎日、ほぼ壊れている家庭用のコピー機としか思えない代物で延々とコピー業務をさせられた記憶がある。インターンの最終日に新しいコピー機を買ったから、コピー機を捨ててこいとか言われ、押し付けられたことがあったね。もう一人のインターンと会社の裏でコピー機をボコボコにして袋に詰めてインターンの会社前に放置したのが懐かしい。もう一人のインターンの名前はなんだっけかな? ボブ?
 閑話休題
 私のスキルのほとんどは地球で十九歳までに習得した技能のようだ。魔力とか魔法はしらん。職業はなしの無職。まぁ、それは事実だからなんとも言えない。
 魔法属性は全って全属性だよね。それは、とても嬉しい。今はまだ使える魔法はなしだけど……楽しみだ。早く、魔法少女やりたい。
 あと気になるのが、このユニークスキルの妄想魔法。いや、妄想魔法って何よ。妄想魔法に集中すると、更に詳しい説明が現れた。

妄想魔法――妄想時に発動する魔法。実態はない。術者の感情で左右されやすい。オンオフあり

うん。オフをポチっとね。
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