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異世界と少年と私
エコバッグ2
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エコバッグに手を入れたままカップバニラアイスを下さいと念じる。手に落ちた物を掴めばすぐにアイスを取り出すことができた。時間の過ぎたアイスクリームは余裕で溶けてるだろうと思って取り出したが、冷凍状態のままだった。冷たい……。もしかして、これ時間停止機能付きなの? それならば、とても便利だ。
早速、高血圧クッキーでショックを受けてたシオンにエコバッグからクッキーとオレンジジュースを取り出す。
「シオン、これなら食べられると思うよ」
シオンが目を輝かせながら見つめたクッキーとオレンジジュースを差し出したが受け取らない。遠慮しているのだろうか? やや強引に腕の中に置けば、宝物のように受け取った。
「あ、あ……」
「ん? どうしたの?」
「お菓子、ありがとう」
「うんうん。好きなだけ食べていいから、ゆっくり食べてね」
クッキーの袋とオレンジジュースを大切そうに抱くシオンの笑顔に癒され、私も笑顔になる。
シオンがテーブルでクッキーを食べ始めたので、気になっていた毒瓶を確認する。
(毒瓶下さい)
このセリフ、傍から聞いたらおかしな内容だ。絶対口に出さないようにしよう。
エコバッグから出てきた毒瓶は、除光液だった。手に持った除光液の瓶を見てフッと笑ってしまう。
クリスマス時期に気分転換に施した取れかかったジェルネイルを取るために買った、瓶入りの専用リムーバーだ。使い方を間違えれば、確かに毒なのだろうが……毒瓶って。こちらの世界には完全に存在しない物で毒だと認識されたのだろうか? 除光液を開けるとツンとした匂いの普通の除光液。手の爪を見るが、施していたはずの取れかかったジェルネイルは完全に消えている。こちらの人間に毒を持ち歩いていると誤解されたくないので急いで除光液をエコバッグに戻す。
エコバックに入っていた他の物も確認するが、なにも特別な変化はない。
因みに、その辺用として使っていた斜め掛けの財布型ショルダーも硬貨を入れる部分が収納袋《アイテムバッグ》化していた。中にはクレジットカード、運転免許証、日本円やポイントカードが入ってた。どれもここでは使えなさそう。
運転免許証に写る自分の元の顔を眺める。なんだか数日前までこの顔だったはずなのに、一体なにがどうなってこんな状況になってしまったのだろうか。両手を顔につけ、ため息をつくとシオンがクッキーを食べるのをやめる。
「ああ、ごめんごめん。なんでもないよ。クッキー、美味しい?」
「うん……」
二つ入りのクッキーの袋を開け口に入れる。なんだかその甘く優しい味から涙が出そうになるのを堪えた。ここで泣いても何も解決しない。シオンに不安を与えるだけだ。まぁ、今までもそうしたようにどこであろうが生きていける自信はある。異世界も住めば都。どうにかなるでしょう。残りのクッキーを口に入れ、ニカっとシオンに笑顔を向ける。
「クッキー、美味しいね」
早速、高血圧クッキーでショックを受けてたシオンにエコバッグからクッキーとオレンジジュースを取り出す。
「シオン、これなら食べられると思うよ」
シオンが目を輝かせながら見つめたクッキーとオレンジジュースを差し出したが受け取らない。遠慮しているのだろうか? やや強引に腕の中に置けば、宝物のように受け取った。
「あ、あ……」
「ん? どうしたの?」
「お菓子、ありがとう」
「うんうん。好きなだけ食べていいから、ゆっくり食べてね」
クッキーの袋とオレンジジュースを大切そうに抱くシオンの笑顔に癒され、私も笑顔になる。
シオンがテーブルでクッキーを食べ始めたので、気になっていた毒瓶を確認する。
(毒瓶下さい)
このセリフ、傍から聞いたらおかしな内容だ。絶対口に出さないようにしよう。
エコバッグから出てきた毒瓶は、除光液だった。手に持った除光液の瓶を見てフッと笑ってしまう。
クリスマス時期に気分転換に施した取れかかったジェルネイルを取るために買った、瓶入りの専用リムーバーだ。使い方を間違えれば、確かに毒なのだろうが……毒瓶って。こちらの世界には完全に存在しない物で毒だと認識されたのだろうか? 除光液を開けるとツンとした匂いの普通の除光液。手の爪を見るが、施していたはずの取れかかったジェルネイルは完全に消えている。こちらの人間に毒を持ち歩いていると誤解されたくないので急いで除光液をエコバッグに戻す。
エコバックに入っていた他の物も確認するが、なにも特別な変化はない。
因みに、その辺用として使っていた斜め掛けの財布型ショルダーも硬貨を入れる部分が収納袋《アイテムバッグ》化していた。中にはクレジットカード、運転免許証、日本円やポイントカードが入ってた。どれもここでは使えなさそう。
運転免許証に写る自分の元の顔を眺める。なんだか数日前までこの顔だったはずなのに、一体なにがどうなってこんな状況になってしまったのだろうか。両手を顔につけ、ため息をつくとシオンがクッキーを食べるのをやめる。
「ああ、ごめんごめん。なんでもないよ。クッキー、美味しい?」
「うん……」
二つ入りのクッキーの袋を開け口に入れる。なんだかその甘く優しい味から涙が出そうになるのを堪えた。ここで泣いても何も解決しない。シオンに不安を与えるだけだ。まぁ、今までもそうしたようにどこであろうが生きていける自信はある。異世界も住めば都。どうにかなるでしょう。残りのクッキーを口に入れ、ニカっとシオンに笑顔を向ける。
「クッキー、美味しいね」
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