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本編
リサとしばらくのお別れ
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リサに到着すると、時間はすでに夕方前だった。
時間的にも、今日はお店のお手伝いをできなさそうなので、挨拶だけして帰ろう。リサのみんなにはしばらく会えないので、挨拶だけは全員としておきたい。
「ミカエルさん、こんにちは」
「ミリー様! 本日は遅かったですね。ギルド長から教会の件で遅くなると一方が入っていましたが、大丈夫でしたでしょうか?」
「はい。犯人は捕まったそうです」
「そうでしたか、それは一安心ですね」
一安心ではあるけど、根本的な解決はまだしていないような気がする。なので、問題ごとから離れるためにもアジュール行きを選んだのはよかったと思う。
「ミカエルさん、私がいない間、リサをよろしくお願いいたします」
深々と礼をすれば、ミカエルさんが驚いたように返事をする。
「もちろんでございます。お任せください」
「ありがとうございます!」
互いにニコニコしていると、ミカエルさんが思い出したように机の上にあった箱を渡してくる。
「私が長旅で重宝している携帯食です。ミリー様にも気に入っていただければ嬉しいです」
「甘い匂いがします!」
袋を開けると赤や紫の平らなシートがパラフィン紙に巻いてあるものが入っていた。
(これってガム?)
その一枚を取り出し開くと、少し手がべたついた。ガムではないようだ。匂いを嗅ぐと、ベリーの匂いがした。
「これは果物を潰したものを薄く広げ乾燥させたもので、果物巻きと言います」
砂糖などは一切使われていないという。
「初めて見ました」
「ええ。これは作るのに時間が掛かるので、今はまだたくさんは出回っていません。私はとても好きなので長旅には重宝しております。一つ食べてみてください」
「はい!」
早速、果物巻きを口に入れ笑顔になる。
(ナニコレ! 美味しい!)
ドライフルーツとグミの間のような歯ごたえに、口いっぱい広がるベリーの味。砂糖は使われていないというけど、十分に甘さがある。
「凄く美味しいです!」
「気に入っていただけたようでよかったです。一週間は問題なく持つと思います」
「ミカエルさん! ありがとうございます」
少し小躍りをしながらミカエルさんに礼を言う。
私の旅路のオヤツがどんどん増えて嬉しい!
「長旅になりますが、気を付けて楽しんできてください」
「はい! では、また来年に会いましょう!」
笑顔でミカエルさんと別れをした後、従業員にも挨拶をした。
表の従業員をまとめるビビアンさんが悲しそうな顔で言う。
「ジェームズ君としばらく会えないなんて、寂しいわね」
「またすぐに元気に戻ってきます!」
ルーカス以外の従業員には、ジェームズは商業ギルドの別の仕事をするために王都をしばらくの離れると伝えてある。
ほとんどの従業員とお別れの挨拶ができたところで、最後にルーカスに挨拶をする。
「ルーカスさん、私がいない間もリサを盛り上げてくださいね」
「一生懸命努めます」
ルーカスが真剣な目をしながら胸元に手を置き答える。
菓子店リサは信頼できる人たちの手元にあるので、大丈夫だ。
リサを後に馬車に乗り込み、小窓から店を眺め微笑む。
(では、行ってきます)
時間的にも、今日はお店のお手伝いをできなさそうなので、挨拶だけして帰ろう。リサのみんなにはしばらく会えないので、挨拶だけは全員としておきたい。
「ミカエルさん、こんにちは」
「ミリー様! 本日は遅かったですね。ギルド長から教会の件で遅くなると一方が入っていましたが、大丈夫でしたでしょうか?」
「はい。犯人は捕まったそうです」
「そうでしたか、それは一安心ですね」
一安心ではあるけど、根本的な解決はまだしていないような気がする。なので、問題ごとから離れるためにもアジュール行きを選んだのはよかったと思う。
「ミカエルさん、私がいない間、リサをよろしくお願いいたします」
深々と礼をすれば、ミカエルさんが驚いたように返事をする。
「もちろんでございます。お任せください」
「ありがとうございます!」
互いにニコニコしていると、ミカエルさんが思い出したように机の上にあった箱を渡してくる。
「私が長旅で重宝している携帯食です。ミリー様にも気に入っていただければ嬉しいです」
「甘い匂いがします!」
袋を開けると赤や紫の平らなシートがパラフィン紙に巻いてあるものが入っていた。
(これってガム?)
その一枚を取り出し開くと、少し手がべたついた。ガムではないようだ。匂いを嗅ぐと、ベリーの匂いがした。
「これは果物を潰したものを薄く広げ乾燥させたもので、果物巻きと言います」
砂糖などは一切使われていないという。
「初めて見ました」
「ええ。これは作るのに時間が掛かるので、今はまだたくさんは出回っていません。私はとても好きなので長旅には重宝しております。一つ食べてみてください」
「はい!」
早速、果物巻きを口に入れ笑顔になる。
(ナニコレ! 美味しい!)
ドライフルーツとグミの間のような歯ごたえに、口いっぱい広がるベリーの味。砂糖は使われていないというけど、十分に甘さがある。
「凄く美味しいです!」
「気に入っていただけたようでよかったです。一週間は問題なく持つと思います」
「ミカエルさん! ありがとうございます」
少し小躍りをしながらミカエルさんに礼を言う。
私の旅路のオヤツがどんどん増えて嬉しい!
「長旅になりますが、気を付けて楽しんできてください」
「はい! では、また来年に会いましょう!」
笑顔でミカエルさんと別れをした後、従業員にも挨拶をした。
表の従業員をまとめるビビアンさんが悲しそうな顔で言う。
「ジェームズ君としばらく会えないなんて、寂しいわね」
「またすぐに元気に戻ってきます!」
ルーカス以外の従業員には、ジェームズは商業ギルドの別の仕事をするために王都をしばらくの離れると伝えてある。
ほとんどの従業員とお別れの挨拶ができたところで、最後にルーカスに挨拶をする。
「ルーカスさん、私がいない間もリサを盛り上げてくださいね」
「一生懸命努めます」
ルーカスが真剣な目をしながら胸元に手を置き答える。
菓子店リサは信頼できる人たちの手元にあるので、大丈夫だ。
リサを後に馬車に乗り込み、小窓から店を眺め微笑む。
(では、行ってきます)
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