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本編
大人の問題児
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青空教室は無事終了した……いや、あれは無事だったといえるのかちょっと疑問だ。
まず、シルヴァンのテンションが終始高く――凄く高かった。最初に登場した時にずっと手を振っていた行動もだけど……授業中は左右への移動する時に無駄に切れが良く、上機嫌なのか少し魔力が外に漏れ出ていたのが見えた。漏れる度に、たぶん自分ですぐに消していたけど。やっぱりシルヴァンは相当な魔法の使い手なのだと思う。
勘が鋭く魔力の高いラジェならシルヴァンの漏れ出る魔力がもしかしてちょっとでも見えるかもと尋ねてみたけど、首を傾げ分からないと言われた。
魔法を発動する時にイメージ重視なところがある。でも、魔力は……以前、商業ギルドで詐欺に会いそうになった時にジョーが殴られた時には私もあまりの怒りで止められないほどの魔力が溢れ出た。魔力を感知する道具はあるみたいだけど、私と同じように肉眼で捉えられる人は少ないのかも。ラジェよりも魔力の濃いシルヴァンならもしかしたら魔力が見えるのかもしれない。直接確かめたいけど……問題が大きくなりそうなので保留かな。
隣で歩くラジェに視線を移すとニコっと微笑みを返される。
(レイチェル、これは敵が増えるかも)
ラジェを気に入った青空教室で出会ったレイチェルというちょっと気の強いラジェに恋心を抱いたと思う女の子は、ラジェに最後まで引っ付いていたが……迎えに来たお姉さんに引きずられるようにして帰って行った。
お姉さんに怒られて頬をつままれていたのが痛そうだったので別れ際にこっそりヒールを掛けたのだが、ラジェに凝視されたような気がした。
ラジェは私がこっそり魔法を使う時には、たまに気付いているのではないかなという反応をするけど……あれは第六感なのかな? 最近魔法をコソっと使う時にはラジェチェックを欠かさないようにしている。特にイタズラ時には……ククク。
「ミリーちゃん、何を笑っているの?」
「今日もとうもろこしのお茶が出るかなぁって……」
ラジェにジーッとみられる。私の考えは見通されている? これも、ラジェの第六感か?
「あ、あそこで少し待ってくださいね。す、すぐに確認しますから」
ノアがシルヴァンのいる部屋を開けるなりすぐに閉め、焦ったように少し遠くの椅子のある場所へ指を差し言う。どうしたのだろうか?
大人しくラジェと言われた場所に座り今日の本当の問題児のことを考える。
シルヴァンは私に大衆の視線を集め、誰にも見えない魔力が漏れ出ただけだったからそんなに問題は酷くない、と思う。でも……問題は月光さんだ。ある意味シルヴァンよりとてつもない問題行動があったと思う。 ううん。あれは完全に問題児だ。
月光さんは私たちが青空教室に行く間、別室にて待機する時にちゃんと待つと約束したのをすっかり初手から反故にした。あの別れ際のウインクで嫌な予感はしていたけど……。
約束からたぶん三十分もしない頃、青空授業中にふと空を見上げたら教会の屋上で浮遊する……全然『ちゃんと』待っていない月光さんを発見する。
見えたのはほんの一瞬、周りの子供たちは授業に集中していたことから私以外には目撃されていないと思うけど……シルヴァンが脈絡なく授業中に唐突に上を見上げた瞬間があったので何かに気付いているかもしれない。
(ちゃんと待つとは一体……)
月光さんとは違いちゃんとノアが戻って来るのを待っていたが……結構時間がかかっている。
天井にいるかもしれないと小声で月光さんを呼ぶが無反応だ。
隣に座っていたラジェもやや困ったように尋ねる。
「神官の人、遅いね」
「そうだね。ドアをノックしてみる?」
「うん。そうだね」
ラジェと立ち上がると窓の割れる音とともに急に外へに投げ出される。
――え? 何?
まず、シルヴァンのテンションが終始高く――凄く高かった。最初に登場した時にずっと手を振っていた行動もだけど……授業中は左右への移動する時に無駄に切れが良く、上機嫌なのか少し魔力が外に漏れ出ていたのが見えた。漏れる度に、たぶん自分ですぐに消していたけど。やっぱりシルヴァンは相当な魔法の使い手なのだと思う。
勘が鋭く魔力の高いラジェならシルヴァンの漏れ出る魔力がもしかしてちょっとでも見えるかもと尋ねてみたけど、首を傾げ分からないと言われた。
魔法を発動する時にイメージ重視なところがある。でも、魔力は……以前、商業ギルドで詐欺に会いそうになった時にジョーが殴られた時には私もあまりの怒りで止められないほどの魔力が溢れ出た。魔力を感知する道具はあるみたいだけど、私と同じように肉眼で捉えられる人は少ないのかも。ラジェよりも魔力の濃いシルヴァンならもしかしたら魔力が見えるのかもしれない。直接確かめたいけど……問題が大きくなりそうなので保留かな。
隣で歩くラジェに視線を移すとニコっと微笑みを返される。
(レイチェル、これは敵が増えるかも)
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お姉さんに怒られて頬をつままれていたのが痛そうだったので別れ際にこっそりヒールを掛けたのだが、ラジェに凝視されたような気がした。
ラジェは私がこっそり魔法を使う時には、たまに気付いているのではないかなという反応をするけど……あれは第六感なのかな? 最近魔法をコソっと使う時にはラジェチェックを欠かさないようにしている。特にイタズラ時には……ククク。
「ミリーちゃん、何を笑っているの?」
「今日もとうもろこしのお茶が出るかなぁって……」
ラジェにジーッとみられる。私の考えは見通されている? これも、ラジェの第六感か?
「あ、あそこで少し待ってくださいね。す、すぐに確認しますから」
ノアがシルヴァンのいる部屋を開けるなりすぐに閉め、焦ったように少し遠くの椅子のある場所へ指を差し言う。どうしたのだろうか?
大人しくラジェと言われた場所に座り今日の本当の問題児のことを考える。
シルヴァンは私に大衆の視線を集め、誰にも見えない魔力が漏れ出ただけだったからそんなに問題は酷くない、と思う。でも……問題は月光さんだ。ある意味シルヴァンよりとてつもない問題行動があったと思う。 ううん。あれは完全に問題児だ。
月光さんは私たちが青空教室に行く間、別室にて待機する時にちゃんと待つと約束したのをすっかり初手から反故にした。あの別れ際のウインクで嫌な予感はしていたけど……。
約束からたぶん三十分もしない頃、青空授業中にふと空を見上げたら教会の屋上で浮遊する……全然『ちゃんと』待っていない月光さんを発見する。
見えたのはほんの一瞬、周りの子供たちは授業に集中していたことから私以外には目撃されていないと思うけど……シルヴァンが脈絡なく授業中に唐突に上を見上げた瞬間があったので何かに気付いているかもしれない。
(ちゃんと待つとは一体……)
月光さんとは違いちゃんとノアが戻って来るのを待っていたが……結構時間がかかっている。
天井にいるかもしれないと小声で月光さんを呼ぶが無反応だ。
隣に座っていたラジェもやや困ったように尋ねる。
「神官の人、遅いね」
「そうだね。ドアをノックしてみる?」
「うん。そうだね」
ラジェと立ち上がると窓の割れる音とともに急に外へに投げ出される。
――え? 何?
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