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本編
夜の訪問者
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「クリーン。ミリーちゃん、大丈夫?」
「う、うん」
ラジェが私が盛大に吹いたお茶をクリーンで綺麗にしてくれる。
ラジェがなんとなく月光さんの存在に気づいている気はしていた。たまにジッと天井を見ていたのも何度か目撃していた。でもまさかどストレートに尋ねてくるとは思っていなかった。もうほとんど正解を自ら導き出したラジェに変に誤魔化しても仕方ないかな。
「気づいちゃったか……」
「気づいたらいけなかった?」
「ううん。でも、なんで天井に人がいるのを分かったの?」
「さっき天井が落ちて、床に叩きつけられる前に浮いたような気がしたから」
ああ、月光さん……天井の板が割れないように配慮したのが裏目に出たか。結局、落ちた板も割れちゃったけどね。元々天井の造りは古いので仕方なかっただろうけど。
ラジェはどうやら、今までもたまに天井や感じる視線に違和感はあったものの、人がいることを確信したのは今日が初めてだったという。月光さんの存在に気付くだけでも凄い、ラジェ、恐ろしい子。
「びっくりしたよね?」
「うん。僕、最初は鼠かなって思っていたから」
「鼠は駆逐したからいないはず……」
「え?」
「ううん。なんでもないよ」
うーん。天井を見上げたけれど、多分月光さんは今在宅していない。別に天井に住んでいる訳じゃないけどね。
今頃は、今日のことで早速、裏でいろいろと動いていそう。夕方までに何か情報があれば、ジョーとマリッサを安心させることができそうだけど……市場で遭ったあの女性がなんでもないといいけど。
(明日、青空教室いけるかな)
月光さんのことラジェに見つかってしまったのなら、変に月光さんのことを隠していても仕方がない。
私の顔を心配そうに覗くラジェに笑顔を向ける。
「あの人はね……知り合いが心配して付けてくれただけで変な人じゃないから。えーと、その、ラジェも安心してね」
「本当に?」
「うん。本当」
「それならよかった」
そう言うとラジェは安心したように、お茶を入れ直してくれる。
ラジェがまだ子供でよかった……たまに鋭いけれど、このことに関してその先の疑問である「なんで護衛が付いているの」と言う質問にまで至らなかった。
「ミリーちゃん、お茶のお代わりどうぞ」
「ラジェ、ありがとう」
それからラジェとのんびりお茶をして過ごしたが、夕方近くになっても月光さんは戻らなかった。
夕食を終え、一人部屋で過ごす。
土魔法で軽く猫たちを出しながら少しずつ枯渇気絶に向け魔力を消費し始める。猫たちの運動会を終えるとベッドに横になり天井を見つめる。この上は屋根裏部屋だけど、天井に上がる入り口を防いでいた大きな荷物がない今は月光さんの待機する場所には丁度いいはずだ。音を遮断していた魔法を解き天井に向かって声を掛ける。
「月光さん?」
やっぱりいないのか、返事は無しだ。月光さんは、部屋は覗かないって言っていたから……いないよね? 念のためにもう一度声を掛けたが返事はない。いないか……。
「ミリー! 起きているか?」
静かな部屋にジョーがドアを叩く音が聞こえ、ベッドから飛び上がり急いで猫たちを消す。
部屋のドアを少し開け、ジョーを見上げる。急いで部屋に来たのかエプロンは汚れたままで気不味い顔をしていた。とりあえずジョーのエプロンを綺麗にして尋ねる。
「お父さん、どうしたの?」
「あー、うん。ちょっと部屋から出て来てくれ。お客さんだ」
「お客さん?」
こんな時間に?
部屋を出ると、リビングに見知った顔が座っていた。爺さんだ……。
「ギルド長……」
いつもご愛読ありがとうございます。
作業などに追われ、更新をお待たせしておりました。
気が付いたらいつのまにか九月になっていました。
残暑、まだまだ暑いですね。
イラストが解禁次第近況にもUPする予定ですが、3巻は今月の9月下旬に刊行予定です。
「う、うん」
ラジェが私が盛大に吹いたお茶をクリーンで綺麗にしてくれる。
ラジェがなんとなく月光さんの存在に気づいている気はしていた。たまにジッと天井を見ていたのも何度か目撃していた。でもまさかどストレートに尋ねてくるとは思っていなかった。もうほとんど正解を自ら導き出したラジェに変に誤魔化しても仕方ないかな。
「気づいちゃったか……」
「気づいたらいけなかった?」
「ううん。でも、なんで天井に人がいるのを分かったの?」
「さっき天井が落ちて、床に叩きつけられる前に浮いたような気がしたから」
ああ、月光さん……天井の板が割れないように配慮したのが裏目に出たか。結局、落ちた板も割れちゃったけどね。元々天井の造りは古いので仕方なかっただろうけど。
ラジェはどうやら、今までもたまに天井や感じる視線に違和感はあったものの、人がいることを確信したのは今日が初めてだったという。月光さんの存在に気付くだけでも凄い、ラジェ、恐ろしい子。
「びっくりしたよね?」
「うん。僕、最初は鼠かなって思っていたから」
「鼠は駆逐したからいないはず……」
「え?」
「ううん。なんでもないよ」
うーん。天井を見上げたけれど、多分月光さんは今在宅していない。別に天井に住んでいる訳じゃないけどね。
今頃は、今日のことで早速、裏でいろいろと動いていそう。夕方までに何か情報があれば、ジョーとマリッサを安心させることができそうだけど……市場で遭ったあの女性がなんでもないといいけど。
(明日、青空教室いけるかな)
月光さんのことラジェに見つかってしまったのなら、変に月光さんのことを隠していても仕方がない。
私の顔を心配そうに覗くラジェに笑顔を向ける。
「あの人はね……知り合いが心配して付けてくれただけで変な人じゃないから。えーと、その、ラジェも安心してね」
「本当に?」
「うん。本当」
「それならよかった」
そう言うとラジェは安心したように、お茶を入れ直してくれる。
ラジェがまだ子供でよかった……たまに鋭いけれど、このことに関してその先の疑問である「なんで護衛が付いているの」と言う質問にまで至らなかった。
「ミリーちゃん、お茶のお代わりどうぞ」
「ラジェ、ありがとう」
それからラジェとのんびりお茶をして過ごしたが、夕方近くになっても月光さんは戻らなかった。
夕食を終え、一人部屋で過ごす。
土魔法で軽く猫たちを出しながら少しずつ枯渇気絶に向け魔力を消費し始める。猫たちの運動会を終えるとベッドに横になり天井を見つめる。この上は屋根裏部屋だけど、天井に上がる入り口を防いでいた大きな荷物がない今は月光さんの待機する場所には丁度いいはずだ。音を遮断していた魔法を解き天井に向かって声を掛ける。
「月光さん?」
やっぱりいないのか、返事は無しだ。月光さんは、部屋は覗かないって言っていたから……いないよね? 念のためにもう一度声を掛けたが返事はない。いないか……。
「ミリー! 起きているか?」
静かな部屋にジョーがドアを叩く音が聞こえ、ベッドから飛び上がり急いで猫たちを消す。
部屋のドアを少し開け、ジョーを見上げる。急いで部屋に来たのかエプロンは汚れたままで気不味い顔をしていた。とりあえずジョーのエプロンを綺麗にして尋ねる。
「お父さん、どうしたの?」
「あー、うん。ちょっと部屋から出て来てくれ。お客さんだ」
「お客さん?」
こんな時間に?
部屋を出ると、リビングに見知った顔が座っていた。爺さんだ……。
「ギルド長……」
いつもご愛読ありがとうございます。
作業などに追われ、更新をお待たせしておりました。
気が付いたらいつのまにか九月になっていました。
残暑、まだまだ暑いですね。
イラストが解禁次第近況にもUPする予定ですが、3巻は今月の9月下旬に刊行予定です。
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