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27話「ルシャード様との婚約」
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27話「ルシャード様との婚約」
「これで全ての手続きは終了ね」
女王陛下が書類の束を整えながら満面の笑顔を浮かべる。
ガゼボから移動した私達は、婚約の手続きのため会議室に来ていた。
女王陛下、ルシャード様、私、王配のギャロン殿下と父も一緒だ。
ギャロン殿下は四年前に見たときよりより老けられたようだ。目の下に濃いくまがあり、顔はげっそりとやせ細っている。
ギャロン殿下の髪が二年前に見たときより、薄くなったような気がするのは気のせいでしょうか?
父はこの一週間で数キロほど痩せていた。私に内緒でレイモンドとの婚約を結んだことを、親族から責められまくったのが応えたらしい。
「こうやってきちんと書類にしておけば安心ですね。それとなく伝えただけでは、殿方にはご理解いただけないようですから」
女王陛下がギャロン殿下と父を睨めつける。
二人は女王陛下から視線を逸らし、顔を青くし小刻みに震えていた。
「母上、スコルピオーン王国のことをここにいる皆に話してもかまいませんか?」
「そうね、ザックス男爵家、トーマ男爵家、コッホ男爵家、ヴァイル準男爵家の問題も片付いたし、公表してもいいでしょう」
ロビサ様はザックス男爵家の当主に勘当され、トーマ男爵夫人、コッホ男爵夫人、ヴァイル準男爵夫人は離婚された。全員仲良く娼館に売られたらしい。
ザックス男爵家とトーマ男爵家とコッホ男爵家とヴァイル準男爵家は銀行にかなりの額の借金があったらしい。王族から不興を買い、フィルタ侯爵家、シュティーア公爵、クレープス公爵から縁を切られたことが銀行に知られ、銀行からの融資を打ち切られ、借金の返済を迫られた。
四家は知り合いや親戚の家を周り融資を頼んだが、王族、フィルタ侯爵家、シュティーア公爵、クレープス公爵の報復を恐れ、誰も援助しなかった。
借金で首が回らなくなりボロボロになった四家の人間は「お前のせいだ! お前が嫁をちゃんと教育しなかったから!」「あの女を嫁にしろと言ったのは父上です!」家族で罵り合い、責任をなすりつけ合った。
為す術のなくなった四家の当主は屋敷と家財道具と領地を売り払って借金を返済、爵位を返上し、スコルピオーン王国へ夜逃げ同然で移住した。
自らの手で爵位を返上させる……女王陛下の目論見通りに事は進んだ。
「スコルピオーン王国は魔石が採取される事で有名だ。魔石が取れるようになった四十年前から国民は遊んで暮らしている。スコルピオーン王国に移住すれば一旗挙げられるかもしれない! 平民でもいいからスコルピオーン王国の国民と結婚できれば豊かな生活が送れる!」と息巻いて出て行ったらしい。
スコルピオーン王国は、確かに四十年前に魔石が取れるようになった事で豊かになりました。
ですが面倒な事は奴隷に任せ、国民は働いていないのです。
その国に移住することが幸せな事とは思えません。それに魔石の埋蔵量にも限りがありますし……。
「これで全ての手続きは終了ね」
女王陛下が書類の束を整えながら満面の笑顔を浮かべる。
ガゼボから移動した私達は、婚約の手続きのため会議室に来ていた。
女王陛下、ルシャード様、私、王配のギャロン殿下と父も一緒だ。
ギャロン殿下は四年前に見たときよりより老けられたようだ。目の下に濃いくまがあり、顔はげっそりとやせ細っている。
ギャロン殿下の髪が二年前に見たときより、薄くなったような気がするのは気のせいでしょうか?
父はこの一週間で数キロほど痩せていた。私に内緒でレイモンドとの婚約を結んだことを、親族から責められまくったのが応えたらしい。
「こうやってきちんと書類にしておけば安心ですね。それとなく伝えただけでは、殿方にはご理解いただけないようですから」
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二人は女王陛下から視線を逸らし、顔を青くし小刻みに震えていた。
「母上、スコルピオーン王国のことをここにいる皆に話してもかまいませんか?」
「そうね、ザックス男爵家、トーマ男爵家、コッホ男爵家、ヴァイル準男爵家の問題も片付いたし、公表してもいいでしょう」
ロビサ様はザックス男爵家の当主に勘当され、トーマ男爵夫人、コッホ男爵夫人、ヴァイル準男爵夫人は離婚された。全員仲良く娼館に売られたらしい。
ザックス男爵家とトーマ男爵家とコッホ男爵家とヴァイル準男爵家は銀行にかなりの額の借金があったらしい。王族から不興を買い、フィルタ侯爵家、シュティーア公爵、クレープス公爵から縁を切られたことが銀行に知られ、銀行からの融資を打ち切られ、借金の返済を迫られた。
四家は知り合いや親戚の家を周り融資を頼んだが、王族、フィルタ侯爵家、シュティーア公爵、クレープス公爵の報復を恐れ、誰も援助しなかった。
借金で首が回らなくなりボロボロになった四家の人間は「お前のせいだ! お前が嫁をちゃんと教育しなかったから!」「あの女を嫁にしろと言ったのは父上です!」家族で罵り合い、責任をなすりつけ合った。
為す術のなくなった四家の当主は屋敷と家財道具と領地を売り払って借金を返済、爵位を返上し、スコルピオーン王国へ夜逃げ同然で移住した。
自らの手で爵位を返上させる……女王陛下の目論見通りに事は進んだ。
「スコルピオーン王国は魔石が採取される事で有名だ。魔石が取れるようになった四十年前から国民は遊んで暮らしている。スコルピオーン王国に移住すれば一旗挙げられるかもしれない! 平民でもいいからスコルピオーン王国の国民と結婚できれば豊かな生活が送れる!」と息巻いて出て行ったらしい。
スコルピオーン王国は、確かに四十年前に魔石が取れるようになった事で豊かになりました。
ですが面倒な事は奴隷に任せ、国民は働いていないのです。
その国に移住することが幸せな事とは思えません。それに魔石の埋蔵量にも限りがありますし……。
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