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11話「元イエーガー公爵夫人からの暴言」
しおりを挟むレイモンド様と婚約していた時、ロビサ様は私をお茶会に招待してくれました。そのお茶会が苦痛でした。
ある時はわざと間違った時間を教え、遅刻してきた私を「フィルタ侯爵家の人間は時間も守れないのかしら? やはり格下の家の娘はだめね」と罵り、お友達と一緒になって私を笑いものにしました。数時間にわたりソファーの横に立たされ私の欠点とフィルタ侯爵家の悪口を聞かされました。
ある時は古いドレスを贈ってきて、それをお茶会に着てくるように強要。古いドレスを身に着けた私を見て「侯爵家ではドレスも買えないのかしら?」と言ってあざ笑った。
ロビサ様と取り巻きの三人に、良い印象を抱いたことは一度もありません。
「随分と豪華なドレスを身にまとっているのね、今流行のローズ・ア・ラ・フランセーズに、アクセサリーはブリリアントカットのダイヤモンド。……イエーガー公爵家から巻き上げた慰謝料で優雅に暮らしているようね」
「いえ、このドレスは……」
「おだまり!」
女王様から頂いたものなのですがと続けようとしたのですが、ロビサ様が言葉を遮りました。
「息子に一目惚れしたというから格下の侯爵家の人間をレイモンドの婚約者にしてやったというのに! 女王陛下にあることないこと吹き込んで影を借り、影を買収してレイモンドの浮気の証拠を捏造した! レイモンドを悪者にしてレイモンドとの婚約を破棄し、イエーガー公爵家に多額の慰謝料を請求! こんなの不当よ! イエーガー公爵家から巻き上げたお金で贅沢に暮らしているなんて! なんて恥知らずな娘なの!!」
ロビサ様が眉を釣り上げ、つばを飛ばしながら私を罵ります。
「あなたと婚約しなければレイモンドはもっと家格の上の相手と婚約出来たのよ! 格下の侯爵家の娘を息子の婚約者にしてやったというのにこの仕打ち! あなたはイエーガー公爵家を破滅させた鬼よ! レイモンドを不幸にした悪魔よ! その悪魔の言葉を信じた女王陛下もろくでなしの無能ね!」
「その通りよアリシアの言葉だけを信じるなんて女王陛下は酷いわ! 浮気していたのはアリシアあなたの方なんじゃないの!? このあばずれ!」
「男なら誰でもいいビッチのくせに! レイモンド様に恥をかかせて! こんな女を信じるなんて女王陛下は見る目がないわ!」
「あなたなんて死ねば良かったのよ! あなたの味方をした女王陛下が許せない!」
私は茫然と四人の暴言を聞いておりました。
ロビサ様はもう婚約者の母親でも、イエーガー公爵の妻でもありません。身分は伯爵家の出戻り令嬢。身分は侯爵家の娘である私よりも下。
ロビサ様のお友達に至っては子爵夫人と男爵夫人でしかありません。
身分の低いものから高い者へ言葉をかけることすら許されていないのに、突き飛ばした上によってたかって暴言を吐くなんて……この方々は正気でしょうか?
それよりも気になるのが女王陛下への暴言です。王室主催のパーティで女王陛下を冒涜。
女王陛下の影が集めた証拠をでっち上げと決め付け、女王陛下立ち会いの元に取り決められた婚約破棄を不当だと罵る。
その上私の言葉を信じた女王陛下を「ろくでなしの無能」「見る目がない」「酷い」「許せない」とおっしゃる。
この方たちの頭は本当に大丈夫でしょうか? 王族への冒涜はお叱り程度では済みませんよ。本人のみならず家族も罰せられますよ。
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