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4話「男爵令嬢」
しおりを挟む「それからミランダ・ランド男爵令嬢」
「えっ? 私?」
ミランダ様はうなだれるレイモンド様を呆然と眺めていた。
自分には関係ないことだと思っていたのでしょうか? レイモンド様が破滅したというのに涼しい顔をしています。
レイモンド様と結婚すれば贅沢が出来ると考えでいたのでしょうね。イエーガー公爵家にあるのは借金だけなのに。
レイモンド様が破産したら別の殿方を落とせばいいと甘く考えているのでしょう。でも現実はそんなに甘くないですよ。
「ミランダ様のご実家のランド家にも慰謝料を請求させていただきました。請求理由はお分かりですね? 私があなたをいじめているなど根も葉もない噂を故意に流し私の人格を貶めたこと、レイモンド様と一緒になって私のノートや教科書を破いていたこと、二人きりのとき私を池に突き飛ばしたこと……これらのことに対する慰謝料を男爵家に請求させていただきました」
浅い池だったからよかったようなものの、深い池だったら溺れ死んでました。
「そんなの酷い! 言いがかりよ! 証拠はあるの!?」
だから影をつけてるって言ったでしょう。ミランダ様の頭の中には脳みその代わりに綿でも詰まっているのかしら?
「もちろん証拠はあります、影が全てを見ていました。それからフィルタ侯爵家及び母の実家のシュティーア公爵家は、ランド男爵家と今後一切いかなる取引をいたしません」
「そんなの脅しをかけても無駄よ! だってランド男爵家はあんたの家と取引してないもの! 家が取引してるのはドライ商会という大きな商会よ!」
「それフィルタ侯爵家が運営している商会の子会社です」
「まさか……!」
ミランダ様の顔がみるみる青くなり、口元を手で覆った。
実家が取引している商会の親会社を知らないとか、かなりのうつけものですね。
「きっと今頃ランド男爵家の建物や土地を売りに出しているはずですね。お帰りになられた方がよろしいのではなくて?」
「大変! パパに私のものは売らないように言わなくちゃ!」
ミランダ様は踵を返すとバタバタと音を立てて食堂を出て行った。
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