【BL】【完結】神様が人生をやり直しさせてくれるというので妹を庇って火傷を負ったら、やり直し前は存在しなかったヤンデレな弟に幽閉された

三話「妹を助けられた！」

目覚めると自身のベッドの上で、エリザベーテがベッドの側で大粒の涙を流していた。

よかったエリザベーテの顔や体にけがはなさそうだ。

運命を変えられたんだ。

「お兄様、お兄様が火傷されたのは私のせいです……！」

体に意識を向けると、顔と足に違和感を覚えた。

視界の半分がふさがっている。顔に包帯が巻かれているのか？

足が熱い、動かそうとしても指一本動かせない。

そうか、煮えたぎる鍋の中身を浴びて俺が火傷を……。

泣きじゃくるエリザベーテの頭をそっと撫でる。

「エリザベーテのせいじゃないよ」

医者の話では俺は顔の半分と両足に大きな火傷を負ったらしい。顔の火傷の跡は一生残り、足の負った火傷の影響で二度と歩けないと告げられた。

やり直し前の人生では、エリザベーテは俺をかばい全身に火傷を負った。

それに比べれば全然軽い。

エリザベーテは俺が突き飛ばしたおかげで無傷だった。

それを聞いて安堵あんどした。よかった運命を変えられた。

エリザベーテは俺が火傷をした事に罪悪感を覚え、献身的に看病してくれた。

エリザベーテのせいじゃないのに。

やり直し前の世界では、継母カタリーナは実母コンスタンツェ似の俺をよくいじめていた。

「その顔、コンスタンツェを見ているようで気分が悪いわ！　私を見るその目、自分の方が美人だと思って私を見下しているのね！」

難癖をつけられ、よくひっぱたかれてたいた。

俺が顔に火傷を負ってからは、顔の包帯をニコニコしながら外し、俺に手鏡を持たせ「どんなに美しい顔も火傷をしたら台無しね」と言って高笑いしながら俺の頭をなでた。

よくわからんが、継母のコンプレックスが解消したらしい。ひっぱたかれることもなくなり、ご飯も普通のものをだされる。　

俺がエリザベーテを助けた恩人というのも大きいのかもしれない。

多少嫌みを言われるが、どうってことはない。

継母だけでなく、父ワルターの態度も変わった。

やり直し前の人生では、エリザベーテが火傷をしたことで、エリザベーテを溺愛していた父が激怒。

「なんでちゃんと子供の面倒を見ていなかったんだ！」

継母を責め、暴力をふるい、外に愛人を作り家に帰らなくなった。

エリザベーテが無傷だったので、夫婦関係も良好だ。

父ワルターと実母コンスタンツェは政略結婚だった。父は母を愛していなかったようで、やり直し前の人生でも父は俺に無関心だった。

俺が火傷を負った今は、もっと関心がないらしい。

母コンスタンツェがものすごい美人だったので、継母のカタリーナだけは、父が愛しているのはコンスタンツェだとずっと思い込んでいたが。

そんな訳で、俺が火傷を負った後、家族は平和に暮らしている。

やり直しは成功した。

顔に火傷をしたから、隣国の皇帝に求婚される心配もない。

男同士が結婚することが有りの世界でも、俺は女の子が好きだし、女の子と結婚したいと思っている。顔に火傷があり、歩けない俺と結婚してくれる相手がいるかはともかく。

最近ではこのまま結婚しないで、のんびりと余生を送るのもいいかもなと思っている。


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