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一話「一度目の人生」
しおりを挟む「あっ、あっ! はぁ、あぁ…! くっ…!」
「ああ、お兄様! お兄様の中は暖かい、お兄様のアナルが僕のペニスをくわえて放さない!」
フィンリーが腰を打ち付けるたびに、接続部分がジュボジュボと卑猥な音を立てる。
足をめいっぱい広げられ、内側に折り曲げられ、アナルを指で解かされた後、男根を中に突っ込まれた。
肥大した陰茎を見て「いやいや……!」と首を横に振る俺を見て、弟は「お兄様、可愛い」と言って笑い中にぶちこみやがった。
尻の穴が破れるんじゃないかと思うほど痛かった。
いったいどうしてこうなった?
◇◇◇◇◇
俺アルフィン・エックハルトは、エックハルト公爵家の長男として生を受けた。
母親譲りの金色の髪に、青い瞳。母親似の美形だと周囲の者は褒め称えた。
後妻である継母のカタリーナ一人を除いて。
俺は実母コンスタンツェを一歳のときに亡くし、二歳から継母カタリーナに育てられた。
継母に多少意地悪はされたが、三歳年下の腹違いの妹エリザベーテとは仲が良く、貴族の嫡男としてそれなりに楽しい人生を送っていた。
あの日までは……。
八歳のとき妹と台所でかくれんぼをしていた。
地震がおきて、俺の隠れていたすぐ近くにあった大鍋がひっくり返った。
妹は俺をかばい熱湯を浴び全身に火傷を負った。
その日を境に、継母が壊れた。
もともと継母の俺への風当たりは強かったが、その日以降虐待されるようになった。
継母カタリーナは、前妻であり俺の実母であるコンスタンツェに嫉妬していた。
継母カタリーナは銀色の髪に緑色の目、整った目鼻立ちの美人だった。
だがカタリーナは自分よりコンスタンツェの方が美しく、父は今でもコンスタンツェを愛していて、自分はその代用でコンスタンツェには叶わないと思い込んでいた。
実際は父ワルターと母コンスタンツェの結婚は政略的なもので、父に母に対する愛情などかけらもなかったのだが。
それを知らない継母は、実母コンスタンツェそっくりに成長した俺を目の敵にした。
エリザベーテが俺をかばい全身に火傷を負い、全身に包帯をぐるぐるに巻かれ過ごすようになってからはなおさら。
それまでは嫌みを言われたり、たまに平手打ちされるぐらいだったが、妹が火傷してからは拳で殴られ、ヒールで蹴られるようになった。ご飯に死んだネズミが入っていた日もある。
そんな俺の心の支えは妹のエリザベーテだった。
継母に殴られた日は頬にできた痣を包帯の巻かれた手でなで、「ごめんなさい、お兄様」と言って泣いてくれた。
継母に似ずやさしい子だった。
俺は継母に虐待されながらもすくすく育ち、二十歳になった。
舞踏会にたまたま隣国キンツブルクの皇帝アインハートが来ていて、俺に一目惚れしたららしく、その場で求愛された。
俺が舞踏会に行ったのは継母の策略、継母は俺をどっかの子爵の後妻にする気だった。俺に酒を飲ませ、酔った俺を介抱する名目で子爵に俺を預け、個室に連れ込ませ、既成事実を作る予定だったらしい。
隣国の皇帝が俺に一目惚れしたので、その計画は流れた。
同性婚も有りの世界だから、男が男に求婚することもたまにある。まさか自分がされることになるとは夢にも思っていなかったが。
俺は女の子が好きだ、できれば女の子と結婚したい。だが隣国の皇帝から求婚されたのでは断れない。仕方なく求婚を受けた。
俺が皇帝に求婚されたと知り継母は怒り狂った。
「皇帝に求婚され幸せな人生を送るのはエリザベーテだったかもしれないのに! あんたを庇ってエリザベーテが火傷さえしなければ!」
キンツブルク国に旅立つ前夜、継母が剣で襲いかかってきた。
「止めて! お母様!」
妹が車椅子で俺の前へ飛び出した。
継母の振り下ろした剣がエリザベーテの胸に刺さる。
エリザベーテは俺をかばい継母に殺された。
「エリザベーテ! どうして……!」
錯乱した継母がテーブルをひっくり返し、燭台が倒れ、運悪く近くにあった油に引火し、屋敷は炎に包まれた。
妹の死に動転していた俺と継母は逃げ遅れ、煙にまかれて死んだ。
◇◇◇◇◇
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