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10話「キラキラ神様ともふもふ聖獣」ざまぁ
しおりを挟むエレンは最初適当に祈りを捧げ、良いことが起きたら自分の手柄にするつもりでいたらしい。
しかしエレンが祈りを捧げると、北の森の瘴気は逆に濃くなった。その汚名返上のために南の穀物地帯に雨を降らせる祈りを捧げに行ったエレンは、祈りの儀式もしないで保養地で温泉につかり王子とイチャイチャしていただけだった。
それがバレて、国民からの怒りが彼女に集中したのだ。
民の怒りはエレンを呼び出した王子と白いローブの魔術師集団にも向いた。
武装した民は暴徒となって城になだれ込み、王子もエレンも王子の配下の白いローブをまとった魔術師たちも捕らえられた。
私も一度はマンハイム国を見捨てようと思った。
しかし私がこの国を見捨てたら苦しむのは日本で暮らしていたときの私のように、最底辺の生活を強いられた人たちなのだ。
だから私はこの国の人たちを助けるために、仲間とともに戻ってきた。
同郷の人間を見捨てるのも寝覚めが悪いので、ついでにエレンのことも助けてあげるつもりだ。
この世界から鮭のおにぎりや、おでんや、そうめんの話ができる人間がいなくなるのは寂しいからね。
王子と白ローブの連中はついでのついでに助けることにした。
「こいつらを助けるなんてメイはお人好しだね」
ウルリックが呆れたような口調で言った。ウルリックは彼らを助けることに最後まで反対していたからね。
「ほら私ヒロインだし、異世界恋愛における正統派ヒロインは敵でも助けて減刑を願うお人好しなのがセオリーだし」
日本で小説を読んでいたときはウルリックと同じように、敵を助けようとするヒロインの行動に疑問を持っていた。
小説を読みながら「こいつらは助けなくていいよ」と何度思ったことか。
「メイが何を言っているのか、僕にはさっぱりわからないよ」
「ははは……」
私はウルリックに乾いた笑いを返した。
「メイ、早く助けないと彼らが処刑されてしまいますよ」
神様の言葉にハッとした。
私達の登場に民が呆気に取られ、王子たちの処刑が一時中断しているだけで、彼らの処刑がなくなったわけではないのだ。
「さてとぱぱっと彼らを助けて、東の森のモンスターを倒して、北の森の瘴気を浄化して、南の地方の水脈を復活させて、昔のように豊かで平和な国にしてあげますか!」
「東の森のモンスターならもう殲滅してるよ。
メイの聖女パンチでね」
リンゴの力で力と体力がカンストした私のパンチは、ロボットアニメの巨大ロボットのパンチと同じ威力があると思う。
ロッククライミング後に、襲ってきたモンスターをワンパンした。
次から次と襲ってくるモンスターを全部ワンパンした。
ここがゲームの世界なら一撃のダメージがカンストして、「9999」と表示されているに違いない。
本当は私だって可愛い杖を装備して魔法で敵を倒したかったのだ、まさか物理攻撃オンリーの脳筋聖女になるとは……。
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