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3話「悔しい、悔しい、悔しい……!」
しおりを挟む白いマントを羽織った男たちに対する私の好感度はたださがりだ。
「あなたが聖女様。
なるほど古文書に記されている通り美しい」
王子はそう言って、女子大生の手を取った。
現状どっちが聖女かわかんない。
それならどちらかが「私が聖女です」と名乗りを上げ、もう一人のことを「彼女は私と同郷の者。彼女のことも丁重に扱ってください」と言って保護するやり方もありだ。
でかした女子大生!
私はその時はお気楽にそう考えていた。
女子大生の言葉を聞くまでは……。
「そこにいる女は故郷にいる時、私に嫌がらせをしていた者です」
「はっ?」
女子大生の言葉に私の頭がフリーズした。
「その女は私の家にネズミの死骸を投げつけたり、脅迫文を送ってきたり、道で私とすれ違うときに大声で私を罵ったりしていたのです!
本当に怖かった!
王子様お願いします!
この子が近くにいると安心して聖女の務めを果たせません!
どうかこの子を今すぐここから追い出してください」
女子大生は瞳に涙を浮かべ王太子にすがりついた。
ええーー!
私そんなことしてないよ!
というか話したのだって今日が初めてだし! 女子大生の住んでいるマンションは知ってるけど、部屋番号なんか知らないし! 名前だって今日初めて知ったのに……!
名前も住所も知らないのに、どうやってネズミの死骸や脅迫文を送りつけられるんだよ!
王子と白いローブをまとった男たちは、女子大生の言葉を信じたみたいだった。
彼らが眉を吊り上げ、眉間に深いシワを作り、殺気の籠もった目で私を睨んでくる。
「その女を拘束せよ!
聖女エレンを傷つけた大罪人だ!
その女をモンスターが棲息する東の森に捨てて来い!!」
「「「承知いたしました!」」」
王子の命令に白いローブの男たちが従った。
「ちょっと待ってください!
私はエレンさんにそんなことしてません! 誤解です!
エレンさん、異世界召喚された者同士助け合いましょうよ!」
私の言葉は誰にも届くことなく、私はあっという間に白いローブをまとった男達に拘束され、召喚された部屋から連れ出された。
部屋から連れ出される私に女子大生は蔑むような眼差しを送り、私にしか見えない角度で口角を上げた。
やられた! 女子大生にはめられた!
女子大生が私に冤罪をかけた理由はいくつか考えられる。
私が女子大生の故郷での振る舞いを王子に告げ口するのを恐れたのか、私が本物の聖女であったとき自身が邪険にされるのを恐れたかだ。
はめられた! 悔しい!
しかし気付いたところで今更どうにもできない。
王子に聖女だと認定された人間に、泣きながら「その女に故郷で嫌がらせされてました」と言われたらどうしようもない。私が何を言おうと誰も信じない。
故郷での出来事だから無実の証明ができない。
悔しい、悔しい、悔しい……!
完全にはめられた!!
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