【BL】【完結】闇属性の兄を助けたら魔力がなくなり、王太子候補から外された

まほりろ

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後日談10「ピクニック」*

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――五年後――


子供たちは五歳になった。

今日は子供たちを連れて、白樺の森にピクニックに来ている。

「母上ーー!」

突進してきたソーンにシートの上に押し倒された。

ソーンは成長が早く、五歳児にして七歳児ぐらいの大きさがあり、力も強い。

サラサラの銀の長髪、切れ長の紫の瞳、ヴォルフリック兄上の幼い頃によく似ている。

「ソーン、おふざけがすぎますよ」

「すみません、母上」

と言いながら、ソーンがボクのほっぺにチュッチュッとキスを落とす。

「そんな風にじゃれてると、父上に叱られますよ」

「母上がオレと結婚してくれると、約束してくれるならどきます」

ソーンはボクへのキスをやめようとしない。

「もう、ソーン! ボクだって怒るときは怒るんですからね!」

「怒った母上も可愛いです!」

ソーンの唇がボクの唇に軽く触れる。

「お前は……命がいらないようだなっ!!」

ヴォルフリック兄上がソーンの手をつかみ森に放り投げた。

「無事か? エアネスト?」

ヴォルフリック兄上がボクを抱き起こす。

「大丈夫です、唇に軽くキスされただけですから。ソーンに手荒なことをしないでください」

森に投げ飛ばされたソーンは無事だろうか?

「あいつのことなら心配はいらない、守備力をあげる魔法を使い身を守ったはずだ」

それを聞いて安心した。ヴォルフリック兄上のしつけは少々手荒いのだ。

「そんなことより、私のいぬ間にソーンに口づけを許すとは、エアネストはソーンに甘すぎる!」

ヴォルフリック兄上が眉間にしわ寄せる。

「軽く、ほんの軽くですよ」

「軽くでも我慢ならない! 消毒が必要だ!」

ヴォルフリック兄上の唇がボクに触れ、そのままディープキスされた。

ボクはヴォルフリック兄上の首に腕を回し、キスを受け入れる。

「父様と母様がちゅーしてる!」

フェオの言葉で我に帰り、ヴォルフリック兄上から体を離す。

「ぼくも父様とキスしたいです!」

フェオがヴォルフリック兄上に抱きつく。

フェオはソーンと違い、小柄で目が大きく愛らしい顔立ちをしている。

髪を肩まで伸ばしているのもあり、一見すると女の子のようだ。

金色の髪に深い青い目をしていて、ヴォルフリック兄上に言わせると、子供の頃のボクに似ているそうだ。

「だめだよ、父様はボクのだからね」

ヴォルフリック兄上の腕に自身の腕を絡める。

ソーンに嫉妬するヴォルフリック兄上にはあれこれ言ったのに、ヴォルフリック兄上にキスしようとするフェオにはこの態度。ボクも相当大人気ない。

「母様あざといです、父様を独り占めしないでください!」

フェオが腰に手を当てプリプリと怒る。

「おいでフェオ、ボクと父様が二人でハグとしてあげる」

「父様! 母様!」

フェオがボクとヴォルフリック兄上の間に飛び込んでくる。ボクとヴォルフリック兄上でフェオをギュッと抱きしめた。

「オレもまぜてください!」

森に飛ばされたソーンが戻ってきた。目立つ傷はなく、ホッと息をつく。ヴォルフリック兄上の言うように、守備力を上げる魔法で身を守ったようだ。 

ソーンがボクとフェオに抱きつく。

「大きくなったら、母上と結婚して、フェオを恋人にします!」

ソーンがボクの胸に顔をうずめる。なんだろう、その欲張りな夢は?

「それは無理だ、エアネストは既に私の嫁だからな! エアネストに手を出すなら息子でも容赦せんぞ!」

ヴォルフリック兄上がボクからソーンを引き剥がし、鷹のように鋭い視線でソーンをねめつける。
 
負けじとソーンもヴォルフリック兄上をジロリと見る。二人でそのまま睨みあっていた。

「母様ずるいです! ぼくも父様と結婚したいです!」

「ごめんねフェオ、父様はボクの旦那様だからフェオにはあげられないよ」

フェオの頭をよしよしと撫でる。

こんな感じで、ヴォルフリック兄上とソーンは日々ボクを取り合い。

ボクはフェオとヴォルフリック兄上の取り合いをしている。

にぎやかで楽しい家族に囲まれ、とてもとても幸せに暮らしている。





◇◇◇◇◇終わり◇◇◇◇◇




ご愛読ありがとうございました。

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