【BL】【完結】闇属性の兄を助けたら魔力がなくなり、王太子候補から外された

まほりろ

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後日談・九「双子」*

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――半年後――


「…………それからお姫様は王子様と幸せに暮らしました」

オルゴールをかけ、物語を聞かせる。

ソーンが腕の中でうとうとしている。

ボクはソーンをベビーベッドに寝かせた。

隣のベビーベッドではフェオが寝息を立てている。

フェオは寝付きがいいけど、ソーンは寝付きが悪い。ボクが抱っこしておとぎ話を聞かせないと眠らない。

ソーンが眠りにつきホッと息をつく。

「エアネスト、私以外のものに母上の形見のオルゴールを聞かせ、おとぎ話を読み聞かせるなどあんまりだ」

ヴォルフリック兄上に後ろから抱きしめられた。

「ヴォルフリック兄上、子供みたいなことを言わないでください。ソーンはヴォルフリック兄上の息子でしょう?」

子供達が眠ったばかりなので小声で話す。

「ソーンにかまけてばかりで、私のことはほったらしかしではないか」

ヴォルフリック兄上がボクの胸を服の上からなでる。

「待ってください、ヴォルフリック兄上」

兄上がボクのシャツのボタンを外していく。

赤ちゃんとはいえ子供たちが寝ている部屋でこんなみだらなこと……。

体を反転させられ口を吸われる。ヴォルフリック兄上の舌がボクの舌を絡めとる。

「ん、あっ……!」

服の中に手を入れられ、胸の突起をいじられる。

そんなとこに触れられたら、下半身がうずいてしまう。

唇を離されたとき、互いの間に銀の糸が引いていた。

「したい」

「ヴォルフリック兄上……」

下肢に熱が集まる。キスでとろんとろんにされてしまった。

最近子育てが忙がしくて、ヴォルフリック兄上とそういうことをしていなかった。

「ボクも……したいです」

ヴォルフリック兄上の唇にボクから口付ける。

「うわぁ~~ん!」

割れるような泣き声に、はっとする。

ベビーベッドを見ると、ソーンが泣いていた。

早くあやさないとフェオも起きちゃう。

「私より、ソーンが大事か?」

ソーンの元に向かおうとしたら、ヴォルフリック兄上に手を強く握られ、真顔で尋ねられた。

赤ん坊(しかも息子)相手に本気で嫉妬しないでほしい。

「うっ、うっ……うえ~~ん!」

「大変、フェオも起きちゃった」

「待て、答えをまだ聞いていないぞ……!」

ヴォルフリック兄上が真剣なまなざしをボクに向ける。

これはヴォルフリック兄上が一番ですと言わないと、永久に離してもらえないかも。

「ヴォルフリック兄上が一番大切です」

ヴォルフリック兄上の顔を見て、ニッコリとほほ笑む。

「そうか」

ヴォルフリック兄上の顔がパッと輝く。

「ヴォルフリック兄上はフェオをあやしてください、ボクはソーンをあやしますから」

これで子供たちをあやせる。

「まて、私がソーンをあやす」

ヴォルフリック兄上がソーンを抱き上げる。

「ギャァァァァーー!!」

ソーンが火がついたように泣き出した。

ソーンはヴォルフリック兄上が抱っこすると、いつも大泣きするのだ。

「もう、だから言ったでしょう?」

ソーンがヴォルフリック兄上の頬をペチペチとたたく。

ボクはヴォルフリック兄上の腕から、ソーンを抱き上げる。

「よしよし、ソーンはいい子だね、泣かないで」

「キャッ、キャッ」

ボクがあやすと、ソーンは泣き止んだ。

「こいつ、わざとやっていないか?」

ヴォルフリック兄上がソーンを威嚇(いかく)するように鋭い視線を向ける。

「そんなわけがありませんよ、ソーンは赤ちゃんなんですから。兄上はフェオをあやしてください」

フェオはベビーベッドでわんわん泣いているのだ。一人で二人を同時にあやせないのが双子の親のつらさ。

「わかった」

しぶしぶといった顔で、ヴォルフリック兄上がフェオを抱き上げる。

「キャッ、キャッ」

ヴォルフリック兄上が抱っこすると、フェオはすぐに泣き止んだ。

フェオはボクよりもヴォルフリック兄上になついていて、ヴォルフリックが抱っこすると、わずかな時間でご機嫌になるのだ。

「ふふふ、フェオはヴォルフリック兄上が大好きだね」

「残念だが、私が愛しているのはエアネストだけだ」

どうしてそういう回答になるの? でも嬉しいから許す。

「ボクもヴォルフリック兄上が大好きです」

「エアネスト」

「ヴォルフリック兄上……」

ヴォルフリック兄上と口づけしようと、顔を近づけたとき、ソーンがボクの髪を引っ張った。

ボクの唇とソーンの唇が重なる。

ボクはすぐにソーンから唇を離す。ソーンの大切なファーストキスをうっかり奪ってしまった。

ソーンがボクの服の中に手をいれ、胸の突起を口に含む。

「ヒャッ……!」

ヴォルフリック兄上に開発された体は、ちょっとの刺激で反応してしまう。

「もう、ソーンはいたずらっ子だね」

お腹が空いたのかな? でもボクの胸を吸ってもお乳は出ないよ? 

「エアネスト、ソーンを私に渡せ!」

ヴォルフリック兄上がフェオをベッドに寝かせ、腰のバスタードソードに手をかけた。

ヴォルフリック兄上の額には、無数の青筋が浮かんでいる。

「ヴォルフリック兄上、落ち着いてください! 赤ちゃんのしたこととですから!」

ボクはソーンを抱いたまま、後退る。

「妻の唇を他の男に無理やり奪われ、乳首まで吸われたのだ! 黙っていられるか!!」

言い方! 事実だけど相手は赤ん坊だよ? 下心なんて一ミリもないよ。ちょっとしたアクシデントだよ?

「ソーンはヴォルフリック兄上の息子ですよ!」

「我が子でもゆるせん! エアネストに手を出したらどういう目にあうか、今のうちに厳しくしつけてやる!!」

ヴォルフリック兄上の目は、ネズミを狩る鷹(たか)のように鋭かった。

この日ボクは、ヴォルフリック兄上をなだめるのにとても苦労した。

ボクがヴォルフリック兄上をなだめ終えたとき、ソーンはフェオの隣ですやすやと眠っていた。



◇◇◇◇◇
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