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五十七話「エアネストにずっと触れていたい」***
しおりを挟むボクが目を覚ましたのは翌日の昼過ぎのこと。
気を失ったあともエッチな事をされ、まる一日ヴォルフリック兄上に性的な意味で抱かれていたらしい。
振り返ると兄上がすやすやと寝息を立てていた。ボクの体を後ろからしっかりと抱きしめている。
起き上がろうとすると腰がずきずきし、お尻がヒリヒリした。お尻の中を突かれすぎてさけちゃったのかな?
「回復」
回復魔法で傷を治し、腰の痛みを緩和する。
兄上を起こさないように体を起こす。
兄上とボクの精液で体がべたべただったので、湖に入り体を清めた。
気持ちよく水浴びしていると、兄上も湖の中に入ってきた。
「目覚めたら隣にいないから心配した」
兄上がボクを抱きしめ、寂しげな顔でボクを見つめる。
「ごめんなさい」
ちょっとしか距離が離れてないからいいと思ったんだけど、兄上を不安にさせてしまったらしい。
兄上の顔が近づいてきたので瞳を閉じ口づけを受け入れる。触れ合うだけのキスはすぐに舌を絡めたものに変わる。
「っ、ん……」
下肢に硬いものが当たる。視線を落とせば兄上のペニスが天を突くほどそそり立っていた。
なんでキスしただけで、そんなに硬化させているんですか?
兄上がボクの耳たぶをなめ、胸の突起をいじる。昨夜散々いじられたので、胸の突起はすぐに立ち上がってしまう。
「ぁっ、やぁっ……」
高い声が出てしまう。
兄上がボクのアナルに指を入れようとしたので「もうだめです!」と強い口調で断った。
ヴォルフリック兄上が悲痛な表情でボクを見る。兄上を悲しませてしまった。フル勃起したままでは兄上もつらいだろうし。
「す、素まただけなら……」
兄上がうっとりとした顔でボクの唇を奪う。
「ん、ンンん……! んンン、っ、んーー!」
激しくキスされ、唇を離すと銀の糸が引いた。体を反転させられ、背後から抱きしめられる。
兄上の男根がボクの股の間に入る。ボクのおちんちんと兄上の陰茎が触れ合い、ピクンと体が跳ねた。
「あぁっ……!」
おちんちんが触れ合っただけで、声が漏れ、股に挟んだ兄上のペニスを締め付けてしまう。
兄上はボクの腰を掴み、腰を前後に振る。最初はいつくしむようにゆるゆると、後半は荒々しいほど激しく腰を打ち付けられた。
「ふぁああ……っ!」
兄上のペニスとボクのおちんちんが擦れ合うのが爽快で、そのうえ兄上におちんちんを上下に擦られ、ボクはイってしまう。
「くっ……!」
ボクがイッたあと、兄上も達した。
昨日たくさんエッチな事をしたのに、また卑猥(ひわい)な行為をしてしまった。でも素またまでだよ、中には入れさせてないからね。
◇◇◇◇◇
――数日後――
「兄上、そろそろ魔王退治に行きましょう」
きしむベッドから上半身を起こす。
「わかった」
兄上はベッドに横になったまま、頷いた。
昨夜性行為したので、兄上もボクも全裸だ。
あの後湖の側に空き家を見つけて、そこで何日か乱れた生活を……。
だって兄上が悲痛な面持ちで「足りない、エアネストをもっと感じたい」って言うから……。
美麗な顔で真っすぐに見つめられ「エアネスト愛している……エアネストにずっと触れていたい!」とか言われたら、断れないよ。
快楽を一度味わってしまったら、我慢できなくなるって本当なんだね。
ボクの気持ちが落ち着くまでセックスしたい気持ちを、忍耐強く抑えてくださっていたヴォルフリック兄上が、昼夜問わず求めてくる野獣に変わるとは……。
ボクも気持ち良かったしそんな兄上も好きだし、やぶさかではないというか。
「魔王に囚われたという、ワルフリートとティオも気になるしな」
兄上の言葉に、心臓がビクンと跳ねた。
ボクのおちんちんに楽しそうに触れていた、兄上の手を制止する。
「兄上、今なんとおっしゃいました?」
「ワルフリートとティオが、魔王に囚われている」
兄上はボクの制止を無視し、ボクのおちんちんに触れ上下にこする。
「あっ……はぁ……、ん……」
イイ……すごくイイ、兄上におちんちんをなめてほしい……! でも今はだめ! ボクは理性を総動員し、兄上の手をつねる。
兄上の手が名残おしそうにおちんちんから離れていく。
立ち上がりかけていたおちんちんがぷるんと揺れる。
抜いてもらってからにすればよかったと、ちょっとだけ後悔した。
「なんでそんな大事なことを、今まで黙っていたんですか!」
兄上をキリッと注視する。
「知らなかったのか?」
「聞いてません」
「てっきりシュトラールに聞いたと思っていた」
兄上がボクの太ももを撫でる。
「ふぁっ……、ぁっ……ぁあっ……! ぁっ」
兄上の愛おしい手で撫でられるのもいいけど、兄上のそそり立った陰茎を太ももにこすりつけてほしい!
連日兄上に抱かれて、すっかりみだらな体になってしまった。
「ヴォルフリック兄上!」
でもダメ、今は真面目な話をしている。
太ももをいやらしい手付きでなでる兄上の手を、パシッとたたく。
頬を膨らませじろりと見据えると「怒った顔もかわいい」と言われ、口づけされてしまう。
あっという間に舌を絡め取られてしまう。心地いい……このままセックスしたい。いや、ダメだ!
理性を振り絞り、兄上の頬をつねる。
「あ、に、う、え!」
すんとした顔で、じとりと兄上を睨む。
「わかった、話す」
兄上がつまらなそうに顔をしかめ、話し始めた。
「そもそも私が魔王を倒す旅に出たのは、ワルフリートとティオが魔王を退治にでかけて魔王に囚われた、という知らせが王都から届いたからだ」
「それでヴォルフリック兄上は、ワルフリート兄上とティオ兄上を助けに旅立ったのですね」
「いや違う、あいつらのことはどうでもよかった。エアネストに振られたと思い込んでいた私は、むしゃくしゃしていたので、憂さ晴らしに魔王を倒そうと考えた」
ヴォルフリック兄上、そんな理由で旅に出たのですか?
うっかり兄上とケンカもできない。ケンカやすれ違いの度に、強敵に挑まれたのではたまらない。
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ボクが光の魔力を失っていた間、この世界で一番光の魔力が強い人間は、いとこでゲーム「宝石箱の王子様~愛をささやいて~」のヒロイン、ソフィアだ。
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ボクは決意を胸に、拳を強くにぎりしめた!
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「兄上?」
面白くなさそうな顔でヴォルフリック兄上がボクを見つめる。
「あいつらの事が心配か?」
「それは、血を分けた兄弟ですから」
ヴォルフリック兄上が眉間にシワを寄せる。
「私とのセックスを中断して行くほど、心配か?」
ワルフリート兄上とティオ兄上の話が出たとき、性交中ではなかったような?
「ワルフリート兄上とティオ兄上は魔王にとらわれているのですよ、心配するのは当たり前です」
「そうか」
兄上がボクの脚を大きく開き、腰を高く持ち上げ、ペニスを挿した。
「ふぁああっ……!」
一気に奥を突かれ、体がビクビクと震える!
「あっ……、やっ、らっ……! ああっ! ちょっ、兄上……! ワルフリート兄上とティオ兄上を助けに行かないと……!」
兄上に奥をズンズン突かれ、もだえる。
「私との情事の最中に、他の男の名を口にするな!」
ヴォルフリック兄上が目を吊り上げる。兄上はなぜ怒っているのだろう?
ワルフリート兄上とティオ兄上は、腹違いとはいえ兄。多少嫌な事を言われても、見捨てられるわけがない。
ヴォルフリック兄上にとっても、ワルフリート兄上とティオ兄上は血がつながらないとはいえ、兄じゃないのかな?
◇◇◇◇◇
男同士のセックスで正常位はなかなかつらい。
股関節の限界まで脚を大きく開き、腰を高く浮かせなくてはならない。
ヴォルフリック兄上が、限界まで陰茎を引き抜き、奥を一気に突く。
だけど性交の最中にキスできるから、この体位も嫌いじゃない。
「あっ! ぁあっ! はぁ、ああっ! やぁ! あン!」
早くワルフリート兄上とティオ兄上を助けに行かなくてはいけないのに、兄上にがんがんと中を突かれ快楽に流されていた。
しまいにはヴォルフリック兄上の首に腕を絡め、
「ああッ! はぁ、ぁあっ! ふぁっ! アあっ! ヴォルフリック兄上、好き! もっと激しく突いて……!」
おねだりしてしまった。
ああ、これがヴォルフリック兄上が言っていた求め声というやつですね。
ボクの体は快楽に弱すぎる。
結局その日一日ヴォルフリック兄上とのセックスに費やしてしまい、魔王城に旅立ったのは翌日だった。
◇◇◇◇◇
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