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十一話「玉座の間、国王との謁見①」
しおりを挟む着替えを終え、玉座の間へと向かう。
「ヴォルフリック兄上、父上や二人の兄上と会うのは久しぶりでしょう。やはり会えるのは嬉しいですか?」
ボクの質問に兄上が眉間にしわを寄せる。
「九年間牢に入れられ、農民が私を殺そうと攻めてきても放置していた、薄情な父親に会うのが嬉しいとでも?」
兄上の言葉につきりと心が痛む、無神経な質問をしてしまった。
「ごめんなさい兄上」
「気にするな、お前を責めたのではない。私はお前を愛しく思っている。お前だけが側にいてくれればそれでよい」
ヴォルフリック兄上がボクのことを気に入ってくださっているのは、とても嬉しい。
兄上が他の兄弟や父上にも、心が開けるように尽力できたらいいな。
「私の事はいい、それよりも気をつけなければならないのはお前だエアネスト」
「はい?」
ボクが気をつけなければならないってどういうこと?
「プラチナブロンドの髪と濃い青い目を失ったお前を、あいつらがどう扱うか……。今まで通り接してくれるとは思わぬ方がいい、心の準備をしておけ」
エアネストの記憶に中にあるボクは、父上、母上、兄である第一王子と第二王子からとても可愛がられていた。
メイドや執事や騎士たちもとてもボクに優しくしてくれた。
それはボクがプラチナブロンドの髪に濃い青い目を持って生まれた次期王候補だからであって、ボクがその髪の色を失ったらやっぱり変わってしまうもんなのかな。
少しだけ寂しく思えた。
銀色の髪を失った時のヴォルフリック兄上もこんな思いをしたのだろうか。
◇◇◇◇◇
ここでちょっと王族の人間関係について予習しておこう。
第三十一代エーデルシュタイン王国国王ジキワルド。第一王子と第二王子そして第四王子である僕の父親。
第一王子ワルフリートと第二王子ティオは国王と第一王妃アンナ様の子。
アンナ様はワルフリート兄上とティオ兄上が幼い頃に亡くなっている。
第三王子ヴォルフリックは魔王と第二王妃レーア様の子。
世間的には国王ジキワルドとレーア様との子ということになっている。
ちなみにレーア様は人間と精霊のハーフだ。レーア様はヴォルフリック兄上を生んですぐに亡くなった。
そして第四王子であるボク、エアネスト。ボクは国王と第三王妃ルイーサの子。第三王妃である母上は存命だ。
◇◇◇◇◇
この世界の髪と目の色についておさらいしておこう。
銀色の髪と紫の瞳は精霊とその血を引くものにしか現れない。この世界で、一番貴重で高潔な色だ。
黒い髪と黒い目は魔族にしか現れない。魔王は漆黒の髪と目を持っている。
純血の人間で一番高貴な色は、金髪と青い目。その中でもプラチナブロンドは特に貴重とされていて、王族か王族の血を引く者にしか現れない。この世界ではボクといとこのソフィアがプラチナブロンドだ。(ボクはもう違うけど)
金色の髪は強い光属性の魔力を持っている。
プラチナブロンドの次がダークブロンド、次がローズブロンド。
国王ジキワルドと第三王妃ルイーサはダークブロンド。
第一王子ワルフリートと第二王子ティオはローズブロンド。
茶色の髪が一番多く属性も様々だ。黄色に近い方が貴重で濃い茶色に近いほどありふれている。
貴族や平民のほとんどが茶色の髪をしている。
次に瞳の色。
紫は精霊と精霊の血を引く者、黒は魔族ということはさっき説明したよね。
人間の中で一番魔力が強く魔力量が多いのが濃い青。王族と王族の血を引く者の中でもごく一部のものにしか現れない。
次に水色、その次が緑色。この二色は王族や貴族に多い色だ。魔力量は中程度。
平民は黄色か茶色、魔力はほとんどない。
イレギュラーでボクのような灰色の目の者もいる。魔力量はゼロ。
これらの事は別に覚えなくてもなんの問題もない。頭の片隅になんとなく置いといてくれるだけでいい。
◇◇◇◇◇
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