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八十一話「立花葵⑧」
しおりを挟むーー水の神子視点ーー
ボクの二度目の転機は小五の時に訪れた。
菊池先生との関係にも飽きてきた頃で、成長して妖艶な色気を出し始めたボクに、母が家に連れ込む男たちがギラギラした目を向け始めた頃だった。
その少年はある日突然現れた。
楓ユリウス、大きなヤクザの一人息子で、私立の学校で問題を起こして、うちの学校(公立)に転校してきた。
誰も俺に近づくな! ってオーラを放ちながら「ガルルルルッッ!!」って唸っている野犬みたいな子。
クラスメイトが遠巻きにする中、ボクは彼に近づき、彼の心と体を癒し信頼を勝ち得た。
あんなに尖っていた彼がまだ童貞だったのは驚きだ。やさしく童貞を奪ってあげたら、彼はボクに心酔し「愛してる、信頼できるのはお前だけだ!」なんて言い出した。
ヤクザの息子でもまだ小学生、童貞はちょろいな。
ボクは小三のときから菊池先生に色々とされてたから、あっちの方のテクだけは習得していた。菊池先生サンキュ、もう用済みだけど。
ユリウスに菊池先生との初めてのエッチの動画を見せたら、彼が激怒しちゃってね。まぁボクもあのときは、わざと「止めて!」とか「助けて!」とか喚いてたからね、実際はそこまで嫌でもなかったんだけど。
翌日菊池先生は彼の父親の手下の車に乗せられて、それ以来行方不明になった。さよなら先生、エッチだけはよかったよ。
その頃にはエリカも学校に来なくなってたし、娘の不登校が原因でエリカの両親の仲は破綻、PTAの会長をやってるどころではなくなっていた。
ボクは新しい犬を見つけたし、ちょっと乱暴なところもあるけどボクによく懐いてくれてるし、先生より金回りがいいし、使えるし、先生はいらない存在だったんだよね。
残る問題はボクの母親と母親の紐男、母親がアホだと、ボクの生活水準は上がらない。親の扶養からは自立できないのが就学児童の辛いところだよね。
紐男に舐めるような目で見られるのもうんざりだし、こいつも消しちゃおうかな。
母親の留守中に紐男がボクを布団に押し倒した、偶然ユリウスが遊びに来て、紐男はボコボコにされた。
小五の男子に喧嘩で負けるとか、しょぼっ。ユリウスの後ろに黒服のいかついお兄さんたちが何人もいたから、びびって実力を出せなかったのかもしれないけど。
母親の紐だった男は、ユリウスのお仲間の黒ずくめのお兄さんに連れていかれた。東京湾がどうの~って話してたから、海に行ったのかもしれない。
これで母親の紐男も片付いた。
だけどボクの母親はアホだから、どうせまた似たようなクズを掴まえてくる。
その前に、ボクが見つくろった適当な男を母親にあてがっておいた。
ユリウスの手下の若頭さんが、ボクの母親にフォーリンラブしたみたいなんだ。
若頭さんは嫉妬深い性格で母親が過去に付き合った男たちも、ボコボコにしていた。富士の樹海が~って話してたから、山梨県に連れて行ったみたい。
若頭さんは母親の紐男たちと違って金を持っていた。ボクの生活は一気に向上した。
ボクたちは今まで住んでいた市営住宅を引き払い、若頭さんのマンションに引っ越した。ボクの知らない間に二人は結婚して弟ができていたけど、そんなことはどうでもいい。
ボクは金と男と権力を手にした。ボクを殴る人間はもういない。
◇◇◇◇◇
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