81 / 131
八十一話「立花葵⑧」
しおりを挟むーー水の神子視点ーー
ボクの二度目の転機は小五の時に訪れた。
菊池先生との関係にも飽きてきた頃で、成長して妖艶な色気を出し始めたボクに、母が家に連れ込む男たちがギラギラした目を向け始めた頃だった。
その少年はある日突然現れた。
楓ユリウス、大きなヤクザの一人息子で、私立の学校で問題を起こして、うちの学校(公立)に転校してきた。
誰も俺に近づくな! ってオーラを放ちながら「ガルルルルッッ!!」って唸っている野犬みたいな子。
クラスメイトが遠巻きにする中、ボクは彼に近づき、彼の心と体を癒し信頼を勝ち得た。
あんなに尖っていた彼がまだ童貞だったのは驚きだ。やさしく童貞を奪ってあげたら、彼はボクに心酔し「愛してる、信頼できるのはお前だけだ!」なんて言い出した。
ヤクザの息子でもまだ小学生、童貞はちょろいな。
ボクは小三のときから菊池先生に色々とされてたから、あっちの方のテクだけは習得していた。菊池先生サンキュ、もう用済みだけど。
ユリウスに菊池先生との初めてのエッチの動画を見せたら、彼が激怒しちゃってね。まぁボクもあのときは、わざと「止めて!」とか「助けて!」とか喚いてたからね、実際はそこまで嫌でもなかったんだけど。
翌日菊池先生は彼の父親の手下の車に乗せられて、それ以来行方不明になった。さよなら先生、エッチだけはよかったよ。
その頃にはエリカも学校に来なくなってたし、娘の不登校が原因でエリカの両親の仲は破綻、PTAの会長をやってるどころではなくなっていた。
ボクは新しい犬を見つけたし、ちょっと乱暴なところもあるけどボクによく懐いてくれてるし、先生より金回りがいいし、使えるし、先生はいらない存在だったんだよね。
残る問題はボクの母親と母親の紐男、母親がアホだと、ボクの生活水準は上がらない。親の扶養からは自立できないのが就学児童の辛いところだよね。
紐男に舐めるような目で見られるのもうんざりだし、こいつも消しちゃおうかな。
母親の留守中に紐男がボクを布団に押し倒した、偶然ユリウスが遊びに来て、紐男はボコボコにされた。
小五の男子に喧嘩で負けるとか、しょぼっ。ユリウスの後ろに黒服のいかついお兄さんたちが何人もいたから、びびって実力を出せなかったのかもしれないけど。
母親の紐だった男は、ユリウスのお仲間の黒ずくめのお兄さんに連れていかれた。東京湾がどうの~って話してたから、海に行ったのかもしれない。
これで母親の紐男も片付いた。
だけどボクの母親はアホだから、どうせまた似たようなクズを掴まえてくる。
その前に、ボクが見つくろった適当な男を母親にあてがっておいた。
ユリウスの手下の若頭さんが、ボクの母親にフォーリンラブしたみたいなんだ。
若頭さんは嫉妬深い性格で母親が過去に付き合った男たちも、ボコボコにしていた。富士の樹海が~って話してたから、山梨県に連れて行ったみたい。
若頭さんは母親の紐男たちと違って金を持っていた。ボクの生活は一気に向上した。
ボクたちは今まで住んでいた市営住宅を引き払い、若頭さんのマンションに引っ越した。ボクの知らない間に二人は結婚して弟ができていたけど、そんなことはどうでもいい。
ボクは金と男と権力を手にした。ボクを殴る人間はもういない。
◇◇◇◇◇
230
お気に入りに追加
4,304
あなたにおすすめの小説
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます
ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜
名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。
愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に…
「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」
美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。
🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶
応援していただいたみなさまのおかげです。
本当にありがとうございました!

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
【BL】こんな恋、したくなかった
のらねことすていぬ
BL
【貴族×貴族。明るい人気者×暗め引っ込み思案。】
人付き合いの苦手なルース(受け)は、貴族学校に居た頃からずっと人気者のギルバート(攻め)に恋をしていた。だけど彼はきらきらと輝く人気者で、この恋心はそっと己の中で葬り去るつもりだった。
ある日、彼が成り上がりの令嬢に恋をしていると聞く。苦しい気持ちを抑えつつ、二人の恋を応援しようとするルースだが……。
※ご都合主義、ハッピーエンド
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
【完】ラスボス(予定)に転生しましたが、家を出て幸せになります
ナナメ
BL
8歳の頃ここが『光の勇者と救世の御子』の小説、もしくはそれに類似した世界であるという記憶が甦ったウル。
家族に疎まれながら育った自分は囮で偽物の王太子の婚約者である事、同い年の義弟ハガルが本物の婚約者である事、真実を告げられた日に全てを失い絶望して魔王になってしまう事ーーそれを、思い出した。
思い出したからには思いどおりになるものか、そして小説のちょい役である推しの元で幸せになってみせる!と10年かけて下地を築いた卒業パーティーの日ーー
ーーさあ、早く来い!僕の10年の努力の成果よ今ここに!
魔王になりたくないラスボス(予定)と、本来超脇役のおっさんとの物語。
※体調次第で書いておりますのでかなりの鈍足更新になっております。ご了承頂ければ幸いです。
※表紙はAI作成です
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる