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七十六話「立花葵③」***
しおりを挟むーー水の神子視点ーー
一度児童相談所の職員を名乗る人間が家に訪ねてきたことがある、母親が上手く言って追い返してしまった。
それ以来、児童相談所の人間が家に来たことはない。
家にも学校にも居場所はなかった。
そんなボクの人生の転機が訪れたのは、小学校三年のとき。
三年に進級してもいじめっ子三人組とは同じクラスだった。
ただ担任だけは変わった、地味系眼鏡の女教師から、リア充そうな若い男の先生に。
「先生……なんでボクの服を脱がすの?」
「葵くんの体は傷だらけだろ? 先生が詳しく調べてあげてるんだよ。傷があったら舐めたり吸ったりして直してあげるからね。場合によってはよく効くお注射をお尻に射ってあげよう」
「やっ……!」
放課後になると先生はボクを教室に残し、身体検査という名のセクハラをした。
ボクは母親に似て見目が良く、男を引き寄せる体質なのだとこのとき初めて知った。
先生が何をしようとしているかは分かっていた。母親がよく男を家に連れ込んでいたからね。狭い家だ、セックスがどんな行為なのかは嫌でも覚える。
母が連れ込んだ男たちは子供には興味ないようで、今まで手を出されたことはなかった。この時のボクは処女だった。
先生がボクを見る目は、男たちが母を見るときの目と同じだった。
ギラギラして人を舐めるように見る獣の目。そうかこの先生はボクに欲情しているのか。少年愛好というやつか。
先生、ボクの体を好きにしていいからさ。その代わりボクの思い通りに動く犬になってよ。
◇◇◇◇◇
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