BL「幼なじみに婚約破棄された僕が、隣国の皇子に求婚されるまで」第9回BL小説大賞、奨励賞受賞作品

まほりろ

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六十話「妖精の微笑《フェー・スーリール》の葉②」*

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ーーノヴァ視点ーー



「ノヴァさん、これ良かったらもらってください。俺の気持ちです」

シエルが私に妖精の微笑フェー・スーリールの四つ葉をくれた。

妖精の微笑フェー・スーリールの四つ葉には家運隆盛の他に子孫繁栄の意味がある。

妖精の微笑フェー・スーリールの葉がハートの形をしていることもあり、昔は恋人同士の間で贈り合っていたらしい。

女性から男性へ、男同士の場合受け入れる側が入れる側に贈る場合、「あなたの愛を受け入れる準備ができました。あなたの子を生ませて下さい」という意味がある。

「シエルが私にくれるのか?」

私の頬に熱が集まり心臓の鼓動が早まる。シエルがキョトンとした顔をしている。

シエルが私の子を生んでくれる、その準備ができたというのか……!

シエルにはいずれ私の子を生ませたいと考えていた。

シエルと両思いになった日は、シエル似の子が生まれるこの腕に抱くことを想像し、ついいつも以上に盛ってしまったが、冷静になって考えれば、シエルには心の準備が必要だ。そう思い自重していたが……。

そうかシエルは心の準備ができたのか、ならばもう遠慮はいらないな。

男同士は男女のカップルより子が出来にくい。シエルが子供を望むなら、これからは今まで以上に性行為に励むとしよう。

「はい! ノヴァさんに持っていてほしいんです、もらってください!」

シエルがにこやかにほほ笑む。その天使のような笑顔に心を奪われ、華奢な体を強く抱きしめた。

「ありがとう大切にする! いや家宝にする!!」

魔法の空間ツァウバー・ラウムに入れて、大切に保管しよう!



◇◇◇◇◇
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