上 下
54 / 122

五十四話「魔法の空間《ツァウバー・ラウム》①」

しおりを挟む


襲いかかってくるコボルトの群れ……! だが俺が瞬きをしている間にコボルトは赤い血を流し地面に倒れていた。

銀の長い髪がサラサラと揺れ、魔法の光ツァウバー・リヒトの明かりに照らされ、キラキラと光る。

胸がキューンっと音を立てる、戦闘中のノヴァさんはかっこいい!

コボルトは子供の背丈ほどある二足歩行の狼で、剣を手にしている。群れで現れ、ピンチになるとさらに仲間を呼ぶ厄介な魔物だ。だが現れたコボルトの群れは仲間を呼ぶ暇もなく、ノヴァさんの華麗な剣技の前に1ターンキルされていた。

日は西の山に消え、暗闇の中をノヴァさんの魔法の光ツァウバー・リヒトの魔法で足元を照らし、山を登っている。

時々コボルトの群れが襲ってくるが、ノヴァさんがサクッと斬り殺している。

俺も眠りシュラーフの呪文で援護したいのだが、ノヴァさんがあっという間に倒してしまうので呪文を唱える隙きがない。

漆黒のマントをたなびかせ剣を振るうノヴァさんも、魔法の光ツァウバー・リヒトのほのかな明かりに照らされるノヴァさんの凛々しい横顔も、戦闘のあと心配そうな顔で「回復ベッセルング」をかけてくれるが美美びびしいノヴァさんも、全部好きだ! 大好きだ!

俺はノヴァさんがコボルトを倒す度に目をハートにして、ノヴァさんをうっとりと見つめていた。

山を登るごとにコボルトの遭遇頻度が上がり、道も険しくなっている。目をハートにしている場合ではない、気を引き締めていかないと!

トマに「任せとけ!」と大口叩いて出て来た手前情けない姿は見せられない。

しかし三十分後、地面に膝を付きへばっている俺がいた。まだ山の中腹ぐらいなのに……情けない。



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

イケメン国王の初恋 〜運命の相手は異世界人

BL / 完結 24h.ポイント:10,188pt お気に入り:834

転生特典はガチャで決めるそうです

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:116

取り違えたユーフォリア

恋愛 / 完結 24h.ポイント:809pt お気に入り:26

全てを諦めた公爵令息の開き直り

key
BL / 連載中 24h.ポイント:355pt お気に入り:1,524

スピンオフなんて必要ないですけど!?

BL / 連載中 24h.ポイント:8,295pt お気に入り:1,437

処理中です...