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五十四話「魔法の空間《ツァウバー・ラウム》①」
しおりを挟む襲いかかってくるコボルトの群れ……! だが俺が瞬きをしている間にコボルトは赤い血を流し地面に倒れていた。
銀の長い髪がサラサラと揺れ、魔法の光の明かりに照らされ、キラキラと光る。
胸がキューンっと音を立てる、戦闘中のノヴァさんはかっこいい!
コボルトは子供の背丈ほどある二足歩行の狼で、剣を手にしている。群れで現れ、ピンチになるとさらに仲間を呼ぶ厄介な魔物だ。だが現れたコボルトの群れは仲間を呼ぶ暇もなく、ノヴァさんの華麗な剣技の前に1ターンキルされていた。
日は西の山に消え、暗闇の中をノヴァさんの魔法の光の魔法で足元を照らし、山を登っている。
時々コボルトの群れが襲ってくるが、ノヴァさんがサクッと斬り殺している。
俺も眠りの呪文で援護したいのだが、ノヴァさんがあっという間に倒してしまうので呪文を唱える隙きがない。
漆黒のマントをたなびかせ剣を振るうノヴァさんも、魔法の光のほのかな明かりに照らされるノヴァさんの凛々しい横顔も、戦闘のあと心配そうな顔で「回復」をかけてくれるが美美しいノヴァさんも、全部好きだ! 大好きだ!
俺はノヴァさんがコボルトを倒す度に目をハートにして、ノヴァさんをうっとりと見つめていた。
山を登るごとにコボルトの遭遇頻度が上がり、道も険しくなっている。目をハートにしている場合ではない、気を引き締めていかないと!
トマに「任せとけ!」と大口叩いて出て来た手前情けない姿は見せられない。
しかし三十分後、地面に膝を付きへばっている俺がいた。まだ山の中腹ぐらいなのに……情けない。
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