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十九話「運命の人⑤」*

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ーーノヴァ視点ーー


「あっ♡ うっ、あっ♡ あっ♡ はぁ……ん!」

あれから随分時間がたったのに、シエルは戻ってこない。よがり声と青臭い匂いから推測すると三~四回は達しているはず。

シエルの喜悦の声が止むことはない。私は勃ったことがないから分からないが、こんなに何度ももよおすものなのだろうか?

まるではじらい死草の毒に犯された人のようだ。

……はじらい死草? この森の名前はティミディテの森……まさかっ!?

自分の推理に背筋が寒くなった。

「なっ、なんで……?」

急いでシエルの元に向かうと、シエルがシャツを胸の上までたくしあげ、涙目で勃起したペニスを眺めていた。

こすり過ぎたのか乳首もペニスも真っ赤に腫れている。達したばかりだと思われる男根は天をつくほどそそり勃っていた。

シエルの乱れた姿を目の当たりにし、心臓の鼓動が早まり、呼吸が荒くなる。そして嫌な予感が当たってしまったことに戦慄せんりつした。

一刻も早くはじらい死草の解毒治療を施さなくては! だが私には治療ができない……!

「ノヴァ……しゃ、ん?」

私の存在に気づいたシエルが慌てた様子で股間に手を当てる。しかしシエルの小さな手では、主張しているペニスを覆いきれていない。

指の間からチラリとのぞく男根に、ごくりとツバをのむ。

「な、なんれ……見ないれって、行ったのに……」

シエルが涙目で私を見上げる、そんなしぐさも可憐だ。

頼む私の男根よ勃ってくれ! シエルを助けたいんだ!

私は膝を付き、ペニスを覆っているシエルの手を掴んだ。

「ひゃっ……!」

ちょっとした刺激にも敏感になっているのか、シエルが高い声を上げる。

私の下肢に熱が集まる。ドクドクと心臓が脈打っているのが分かる。

「何回目だ?」

「ふぇっ……?」

真っすぐにシエルを見つめると、シエルは顔を真っ赤に染め泣き出しそうな顔をした。

「ぅっ、……ご、五回目、れす」

五回、この数が多いのか少ないのか私には分からない。シエルくらいの年齢なら、一日にそれぐらいもよおしても不思議ではないのかもしれない。

「いつもそんなにしているのか?」

シエルはふるふると首を横に振る。

「分かんにゃい……」

「分からないとは?」

「らって、したことない……もん」

ドクンッ……!! 自慰をしたのが初めてだったのか?! シエルの初めてに立ち会えて嬉しいぞ!

ズクンッッッ!! と音を立てて体の中心に熱が集まる!

手を添えなくても分かる。私もこの瞬間初めて勃った。

生涯勃つことのないと思っていた男根が、初めて存在を主張した。

こんなに嬉しいことはない! シエルが私の運命の相手だったなんて……!

初めて愛した人が運命の相手だったなど、私は幸運だ。

「……そうか初めてだったのか」

私もこれから初めて射精する、精通はシエルの方が先輩だな。

「ぅうっ、見にゃい、で……どっか行っれ」

シエルは、はじらい死草の毒で舌が回らなくなっていた。

涙で潤んだ瞳で威嚇するように私を見つめる。そんなしぐさは相手を欲情させるだけだ。

「すまないがそれはできない」

「なんれ……!」

シエルが目を見開いた。すまない、変態だと思われても構わない。そなたを死なせる訳にはいかない。

「ティミディテの森……その名で気づくべきだった」

「……?」

分からないという顔でシエルが小首をかしげる。

私の手がシエルのふくらはぎに触れると、

「ヒゃッ……!」

シエルが甲高い声を上げた。

体がそうとう敏感になっているようだ。早く治療しなくては。

「ティミディテ・モー草」

「……??」

「別名、はじらい死草しそう。この草のとげでケガをすると、いやらしい気持ちになる。そして……」

おそらくシエルがふくらはぎを切った棘のついたつたがティミディテ・モー草だったのだろう。

あのあとすぐにシエルはおかしくなり、私の腕の中で喘いでいた。

「適切な治療を施さなければ、一日で死に至る」

「ふぇっ……!」

死という言葉にシエルが顔をこわばらせる。案ずるな、シエルを死なせたりしない。

「その治療法や、治療を施すまでいやらしい気持ちになることから、他の人間に言えずはじらい死する乙女が後を立たなかった。随分前に生息地ごと焼き払われたはずだが、まだ存在していたのか……」

シエルの足を傷つけた植物を根絶やしにしようと考えていたが、実際そのとおりになりそうだ。治療が終わったら冒険者ギルドに行き、はじらい死草の根絶を願い出なければ。

「治療、法って……」

シエルが不安気な瞳で問う。

「治療法はある、幸い私にもできることだ、だがその……」

幸いにもシエルが私の運命の相手で、勃起することができた。あとは男根をシエルの中に入れ、子種を中に注ぐのみ。

問題はシエル受け入れてくれるかどうかだ。もし治療を拒否されたそのときは……!

「お願い、しましゅ……助しゅけて、ノヴァしゃん……!」

シエルが私のシャツをぎゅっとつかみ懇願してきた。あまりの愛くるしさにキスしたい衝動に駆られる。

助けたい! シエルが嫌だと言っても絶対に助ける!

「分かった、だが初めに言っておくが……その少々痛いぞ」

初めては痛いと聞く、じっくり解かすつもりだが、潤滑油は用意していないから、少し痛いかもしれない。

「それにその、解毒できても……治療の衝撃でショック死するかもしれん……」

シエルが息を呑む音が聞こえた。

もし無理やり治療したら、シエルは犯されたショックで壊れてしまうかもしれない。それでも私はシエルを失いたくない。

強引にでも治療する気だが、できれば同意を得たい。

「俺は……大丈夫らよ、お願い……しましゅ、治療して……くりゃしゃい」

シエルが私の服をぎゅっと掴む。今のシエルははじらい死草の毒で正気を失っている。だが同意はとった。

もうあとには引けない、引くつもりもない!

「そうか、では治療しよう」

「ヒャい」

「はい」と答えたかったのだろうが、「ヒャい」と言ってしまうシエルが愛おしい。

私はマントを脱ぎ捨てると、ベルトを外し、ズボンのファスナーを下げた。

「ふぇっ!?」

突如視界に入ったそれを、シエルは呆然ぼうぜんと見つめている。

私のペニスは天をつくほどそそり勃ち、血管が浮き出ており、先端が先走り液で濡れていた。

よかった、ちゃんと勃ってくれた。硬くなったことは分かっていたが、自分の眼で確かめるまで自信がなかったのだ。これでシエルの治療ができる。

シエルはりんごのように真っ赤な顔で、私の男根を食い入るように見ている。

「ノヴァしゃん……?」

シエルを地面に組み敷き、真っすぐに見つめる。

好きだシエル。愛している。

「治療法は性行為……自分以外の精液を体内に取り込むことだ」

「ふぇえっ??」

シエルはようやく自分が何をされるか理解したらしい。赤い顔をさらに真っ赤に染めた。

「やはり、嫌か……?」

不安気に問うと、シエルが首を横に振った。

「嫌ら、ないれすよ……ノヴァしゃんの、おちんちん……くらさい」

シエルの手が私の頬に触れる。シエルの可愛らしいおねだりに、私の理性は焼き切れた!

「くっ、もう限界だ……!」

首のところにたぐまっていたシエルの服を脱がし、ピンク色の唇にキスを落とす。

シエルの唇をなめ舌を口内に侵入させ、指でシエルの胸の突起をいじる。

シエルの舌を絡めとり、胸の突起をぐりぐりと摘むようにいじる。もう少し優しくしたいのだが、体が言うことを聞かない。

私のペニスとシエルの小さなおちんちんが触れ合うと、シエルの背がビクンと跳ねた。

「ん♡ んんン……!」

シエルから声にならない音が漏れる。

唇を離すと二人の間を銀の糸が引いた。

シエルが潤んだ瞳で私を見つめ、

「ちゅー気持ちよかっらよ♡ ノヴァさんのおっきいの……早くちょうらい♡」

と言ったとき下半身がドクン! と脈打ち今までにないぐらい熱を持った。一回ではすまないかもしれない。

童貞をシエルにささげ、シエルの処女 
 (おそらく)をいただいた。

一回では足りず体位を変えて二度抱いてしまった。もっと抱きたかったがじきに日が暮れる。夜になる前に森を出たい。

呪いがかけられていたとき、性行為に溺れる人間は愚かだと思っていた。不能の呪いをかけられていたので、負け惜しみも含まれていた。

だが運命の相手を見つけ一度体を交えてしまえば、自分もセックスのとりこになっていた。

もっと抱きたい! シエルのあられのない姿を見たい! セクシーな声で喘がせたい! 一日中繋がったままでいたい!

永遠にシエルの側にいたい!


◇◇◇◇◇
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