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25話「後日談③もしもエラが、ヴェルテュを選んでいたら」
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――エラ視点――
【ヴェルテュ・エンド】
私はヴェルテュ様と一緒に世界中を旅しています。
一面雪に覆われた世界、
海の中にぽつんと浮かぶ南国の楽園、
人の力では到底到達することのできない数千メートル級の高い山の頂き。
水面が空を反射して、空と地上の境がわからない水平線の彼方まで続く美しい湖。
はるか太古の人たちが残した四角錐型の遺跡……などなど。
そして今私の目の前にはどこまでも広がる砂の粒があります。
砂漠というそうです。
初めて見ました。
「あのヴェルテュ様……このお洋服は?」
「似合ってるよ、エラ。
異国に来たら、その土地の民族衣装を着ないとね」
ヴェルテュ様が魔法を出して下さった服は、頭に高度部を隠すように薄く長い布を被り、上着は下着よりちょっと面積が多い布(したがっておへそは丸見え)、下は薄い布地で出来た大きくスリットの入ったスカートのようなものでした。
「ぬっ、布地の面積が少ないような……」
私は自分の手でお腹を隠しました。
「豪に入ったら郷に従えだよ。
この国の人はみんなその服を着てるんだ。
だから、エラも恥ずかしがらないで」
ヴェルテュ様がお腹を隠していた私の手を掴み、手の甲に口づけを落とした。
「はい、努力します」
私にはちょっとだけ着るのに勇気のいる服ですが、この国の民族衣装だというのなら受け入れなくては……!
ヴェルテュ様のおっしゃる通り、豪に入ったら郷に従えです!
「日焼けのことは気にしなくていいよ。
エラの体に日に焼けない魔法をいっぱいかけたからね」
「ありがとうございます」
「夜になったら魔法のほうきに乗って月を見に行こう。
砂漠で見る月は、祖国で見る月とは違った趣きがあるよ」
「はい。
ヴェルテュ様とお月様を見るのがとても楽しみです!」
ヴェルテュ様と結婚した私は、世界中の色々な国を旅しています。
人魚やエルフやドワーフなど、普通に生活していたら見ることができない種族に会えたり。
古くからその土地に伝わる歌を聞けたり。
その国の伝統的な料理を味わったり、その国の民族衣装を着て、その国に伝わるダンスを踊ったり。
祖国にいたら本でしか知ることができなかったものを、直接見て、触れて、感じることができて、感動しています。
ヴェルテュ様と魔法のほうきに乗って、月夜の砂漠をデート楽しんだ。
見晴らしの良い場所でヴェルテュ様と口付けを交わしました。
「ヴェルテュ様、次はどこの国に行くんですか?」
「そうだね、月なんてどうかな?」
ヴェルテュ様が空を指差す。
「えっ?」
月とは、空に輝いているお月様のことでしょうか?
「東方の国ではね、月にはうさぎがいるって信じられているんだ」
「うさぎがですか?」
月にうさぎさんが……メルヘンの世界です!
「ボクと一緒に、月のうさぎを探しに行こう!
次の冒険は月面探索だ!」
「………!?」
ヴェルテュ様が月を指差す。
ヴェルテュ様と私の乗ったほうきが、どんどん高度を上げていく。
ヴェルテュ様と一緒にいると一生退屈することは無さそうです。
――ヴェルテュ編・終わり――
ヴェルテュとエラは末永く幸せに暮らしました。
これにて全編終了です!
最後まで読んでくださりありがとうございました!!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
少しでも「楽しい」「続きが気になる」と思っていただけましたら、いいねとブックマークで応援いただけると大変励みになります。
どうぞよろしくお願いします!
【書籍化のお知らせ】
この度、下記作品が書籍化されることになりました。
「彼女を愛することはない 王太子に婚約破棄された私の嫁ぎ先は呪われた王兄殿下が暮らす北の森でした」
著者 / まほりろ
イラスト / 晴
販売元 / レジーナブックス
発売日 / 2025年01月31日
販売形態 / 電子書籍、紙の書籍両方
(紙の書籍が全国の書店に行き渡るのは2月4日頃になると思います)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/681592804
こちらもよろしくお願いします。
【ヴェルテュ・エンド】
私はヴェルテュ様と一緒に世界中を旅しています。
一面雪に覆われた世界、
海の中にぽつんと浮かぶ南国の楽園、
人の力では到底到達することのできない数千メートル級の高い山の頂き。
水面が空を反射して、空と地上の境がわからない水平線の彼方まで続く美しい湖。
はるか太古の人たちが残した四角錐型の遺跡……などなど。
そして今私の目の前にはどこまでも広がる砂の粒があります。
砂漠というそうです。
初めて見ました。
「あのヴェルテュ様……このお洋服は?」
「似合ってるよ、エラ。
異国に来たら、その土地の民族衣装を着ないとね」
ヴェルテュ様が魔法を出して下さった服は、頭に高度部を隠すように薄く長い布を被り、上着は下着よりちょっと面積が多い布(したがっておへそは丸見え)、下は薄い布地で出来た大きくスリットの入ったスカートのようなものでした。
「ぬっ、布地の面積が少ないような……」
私は自分の手でお腹を隠しました。
「豪に入ったら郷に従えだよ。
この国の人はみんなその服を着てるんだ。
だから、エラも恥ずかしがらないで」
ヴェルテュ様がお腹を隠していた私の手を掴み、手の甲に口づけを落とした。
「はい、努力します」
私にはちょっとだけ着るのに勇気のいる服ですが、この国の民族衣装だというのなら受け入れなくては……!
ヴェルテュ様のおっしゃる通り、豪に入ったら郷に従えです!
「日焼けのことは気にしなくていいよ。
エラの体に日に焼けない魔法をいっぱいかけたからね」
「ありがとうございます」
「夜になったら魔法のほうきに乗って月を見に行こう。
砂漠で見る月は、祖国で見る月とは違った趣きがあるよ」
「はい。
ヴェルテュ様とお月様を見るのがとても楽しみです!」
ヴェルテュ様と結婚した私は、世界中の色々な国を旅しています。
人魚やエルフやドワーフなど、普通に生活していたら見ることができない種族に会えたり。
古くからその土地に伝わる歌を聞けたり。
その国の伝統的な料理を味わったり、その国の民族衣装を着て、その国に伝わるダンスを踊ったり。
祖国にいたら本でしか知ることができなかったものを、直接見て、触れて、感じることができて、感動しています。
ヴェルテュ様と魔法のほうきに乗って、月夜の砂漠をデート楽しんだ。
見晴らしの良い場所でヴェルテュ様と口付けを交わしました。
「ヴェルテュ様、次はどこの国に行くんですか?」
「そうだね、月なんてどうかな?」
ヴェルテュ様が空を指差す。
「えっ?」
月とは、空に輝いているお月様のことでしょうか?
「東方の国ではね、月にはうさぎがいるって信じられているんだ」
「うさぎがですか?」
月にうさぎさんが……メルヘンの世界です!
「ボクと一緒に、月のうさぎを探しに行こう!
次の冒険は月面探索だ!」
「………!?」
ヴェルテュ様が月を指差す。
ヴェルテュ様と私の乗ったほうきが、どんどん高度を上げていく。
ヴェルテュ様と一緒にいると一生退屈することは無さそうです。
――ヴェルテュ編・終わり――
ヴェルテュとエラは末永く幸せに暮らしました。
これにて全編終了です!
最後まで読んでくださりありがとうございました!!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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どうぞよろしくお願いします!
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「彼女を愛することはない 王太子に婚約破棄された私の嫁ぎ先は呪われた王兄殿下が暮らす北の森でした」
著者 / まほりろ
イラスト / 晴
販売元 / レジーナブックス
発売日 / 2025年01月31日
販売形態 / 電子書籍、紙の書籍両方
(紙の書籍が全国の書店に行き渡るのは2月4日頃になると思います)
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