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23話「後日談①もしもエラが、ロルフを選んでいたら」
しおりを挟む――エラ視点――
【ロルフ・エンド】
「ロルフ様はユニコーンだったんですね」
目の前にいるのは光り輝く角を持つ真っ白なお馬さん。
これがロルフ様の本当の姿だと言う。
白いネズミの姿も、人間の姿も、仮初めの姿に過ぎなかったようです。
「そうだよ。
僕は光属性だから、闇属性のヴェルテュとは相性が悪いんだ。
だから三人で暮らすあの家では、本来の自分の姿に戻れなくてね。
君とふたりきりになれたから、ようやく本来の姿に戻ることができたよ」
私はユニコーンの姿になった、ロルフ様の顔なでなでした。
「ユニコーンの角には癒しの力があるんだ。
だから光魔法を使ってエラの傷を癒やしてあげられたんだよ」
「水仕事で荒れた手を、ロルフ様に癒していただいたとき、とても嬉しかったです」
私はロルフ様と結婚して、天空のお城に住んでいます。
白亜のお城が雲の上に建っているのを見たときびっくりして、心臓が口から飛び出しそうになりました。
「エラにしてほしいことがあるんだけど、お願いしてもいいかな?」
「はい。私にできることならなんでもします」
「よかった。じゃあ膝枕してくれないかな?」
「膝枕ですか?
そんなことでいいんですか?」
ロルフ様が改まって言うのでどんなことかと思いました。
「僕たちユニコーンは清らかな乙女の膝に頭を乗せて眠ると、とても心地よく眠りにつけるんだ」
「分かりました。
では、こちらに」
私が雲の上に座ると、ロルフ様が私の膝の上に頭を乗せてきた。
「どうでしょうか?」
「うんすごく気持ちいいよ。
とっても幸せな気分。
ねえエマ、もう一つお願いしてもいい?
ボクのたてがみを撫でてくれる?」
「こうですか」
ロルフ様の真っ白いたてがみを優しく撫でる。
「うんすごく、気持ちいいよ。
エラ、ありがとう」
毎日こんなふうに、雲の上でロルフ様とのどかな時を過ごしている。
「エマがボクを選んでくれて良かった」
「ロルフ様は、初めてできた私のお友達ですから」
父が亡くなったあとすぐ、私はお義母様に屋根裏部屋に部屋を住むように命じられた。
慣れない使用人の仕事でミスをして泣いていた私を、優しく励ましてくれたのはネズミの姿をしたロルフ様でした。
「ロルフ様に励ましていただかなければ、私はとても父との約束を果たせまんでした」
「ボクもエマに会えてよかった。
可愛くて優しい子が、酷い仕打ちを受けて一人で泣いてるなんて耐えられないもん。
エマの泣き顔を、日だまりのような笑顔に変えてあげたかったんだ」
ロルフ様が人の姿に戻り、私の唇にそっと口づけをした。
「エラ、愛してるよ」
「私もです、ロルフ様」
「二人で穏やかな時間を刻んでいこう」
「はい」
――ロルフ編・終わり――
ロルフとエラの新婚生活でした。
結婚後二人はロルフ様の実家の天空のお城に移り住み、二人で毎日、ラブラブイチャイチャしてます。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
次のページはヴォルフリック編。
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