【完結】「継母と義妹に虐げられ使用人として働かされている私を助けてくれたのは、二人の精霊さんと一人の魔法使いさんでした」

まほりろ

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16話「貧しい新婚生活」ざまぁ

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――アルゾン視点――


王子様と結婚したら、王宮で贅沢な暮らしができると思っていた。

なのになんなのよこれは!

リカード様は一度城に帰ったあと、王位継承権を剥奪され戻ってきたり

王子じゃなくなったリカード様なんて、顔以外に長所がないじゃない!

リカード様は毎日あたしの顔を見てはため息をつき、「こんなはずじゃなかった……」と言ってぼやいてる。

体調不良を理由に使用人はみんな辞めてしまった。

農民は「作物が取れなくなった……」と言って、他の土地に引っ越してしまった。

「商売がうまく行かなかった……」と言って、領地で商いをしていた商人までいなくなってしまった。

お母様はいつもヒステリックに怒鳴っている。

お義姉様がいなくなったから八つ当たりもできない。

もうほんとつまんない!

こんなはずじゃなかったのに!



☆☆☆☆☆


リカード様の話ではお義姉様は精霊の愛し子だったらしい。

しかも精霊二人と魔法使い一人に愛されていたらしい。

あたしたちが今苦しんでいるのは、お義姉様を虐めたかららしい。

何よそれ、意味分かんない!
 
なんなのよあの女!

精霊に愛されてるなら、愛されてるって言いなさいよ!

お義姉様が精霊に愛されてるって知っていたら、虐めたりしなかったのに! 

精霊を使ってこんな嫌がらせをして!

しかもお世話になった人(お母様やあたし)にお礼も言わないで勝手に家を出て行っちゃうなんて……信じらんない!

何で精霊に愛されてるのが、ヒョロガリのお義姉様なのよ!

なんで可愛いあたしじゃないのよ!

日に日に貧しくなっていく伯爵領で、毎日の食事にも事欠くようになってきた。

今日は一つのパンを巡ってお母様とリカード様と喧嘩した。

お母様とリカード様と顔合わせるたびに喧嘩している。

無様だわ。

そして死ぬまでこの生活は変わらない……ほんと最悪。

お義姉様の靴の裏でも何でも舐めるから、あたしにもお義姉様のおこぼれを頂戴よ……!

そんな願いは叶うはずもなく……。

今日は一切れのチーズを巡って、お母様とリカード様とケンカすることになりそうだ。

お義姉様、あたしが悪かったわ許して……!

もしお義姉様に会えたら、土下座して許しを請おうと思う。

だがお義姉様を虐げたあたしたちは、精霊に見捨てられている。

あたしたちが、お義姉様に会うことは二度となかった。


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