【BL】完結「異世界に転移したら溺愛された。自分の事を唯一嫌っている人を好きになってしまったぼく」

30話「あと一年待ってくれる？」＊

「ごめんねハルト、そんなにおれとセックスしたかった？」

アメリーさんが聖なる翼ハイリヒ・フリューゲル村に帰り、静かになった魔王城。

リュートがぼくの頬に手をそえ、ハンカチで涙を拭ってくれた。

「ひっく……楽しみにしてた、リュートと、セックスするの……」

「うん、あと一年待って、かならず『魅了』の効果を無効にする薬を作るから」

「無効にする必要あるの？　ここにはリュート以外誰もいないし、ぼくたち夫婦なのに？」

ぼくはリュートになら、押し倒され、服を破られて、乱暴に挿入されても……。

「おれは嫌だよ、自分の意思じゃなくて、
魅了の技にかかった状態でわけが分からないままにハルトを犯すなんて。おれは自分の意思でやさしくハルトを抱きたい」

「リュート……！」

リュートの思いやりに満ちた言葉に、胸がキューンと音を立てる。

「だからあと一年待ってくれる？」

「うん、待つ！　いつまでも待つよ！」

リュートの胸にダイブし、ギューッと抱きしめた。

リュートはぼくの背中に手を回し、ポンポンとたたいてくれた。

リュート好き！　大好き！

「あのねリュート、セックスはできないけどフェラは毎日してね、あとお尻を解かすのも忘れないで！」

リュートの顔を見つめると、リュートがくすりと笑った。

リュートの笑顔初めて見たかも……！　胸がドキンと音を立てる！

「ハルトはエッチだね」

「エッチでもいいよ、リュートと触れ合えるなら」

「いいよ、毎日ハルトにフェラチオする。俺からもハルトにお願いしていい？」

「なに？」

リュートがぼくにお願いするなんて珍しい。

リュートの顔が近づいてきて唇をふさがれた。キスは徐々に深くなっていき、角度を変え、何度もキスされた。

リュートに唇を離されたとき、ぼくのおちんちんはゆるく立ち上がっていた。

「リュート……？」

「おれからのお願い、ハルトに毎日キスさせて」

リュートからの初めてのお願いに、心臓が早鐘を打つ。

「もちろん、毎日キスして！」

リュートの首に腕を回し、ぼくから唇を重ねた。