【BL】完結「異世界に転移したら溺愛された。自分の事を唯一嫌っている人を好きになってしまったぼく」

まほりろ

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13話「虹《レーゲンボーゲン》の国の七色王子」

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いまぼくはこの世界に来て、一番豪華な部屋にいると思う。

体育館みたいに高い天井、映画でしか見たことのない豪華なシャンデリア、龍のような生き物が描かれた天井。

大人が五人は寝られそうな大きなベッドは、スプリングがふかふかで、こんな状況じゃなかったらなぁと思う。

ベッドの周りにいるのは同じ顔で同じ髪形で同じ服を着た七人の王子。違うのは髪と服の色のみ。

レーゲンボーゲンの国のお城、王子様の住まうお部屋。

なるほどどうりであちこちに華美な装飾が施されているわけだ。

例のごとくぼくに欲情した男に拉致され、全裸にされ、両手を拘束され、ベッドにつながれている。

魔法を封じられた上に体を麻痺させられ、指一本動かせない。

絶体絶命大ピンチというやつだ!

「やぁまた会えたね、前に会ったときも君はベッドの上にいたね」

赤い髪の王子が話す。

どちら様ですが? と聞きたいが声も出せない。

おそらく最初に訪れた村で、ぼくを襲ったうちの一人だろう。

「君は宿屋の主人にベッドに押し倒され、身動きが取れずにいた」

言われてぼんやりと思い出した、宿屋の主人に襲われていたところを助けてくれたのが、赤い髪の男だった気がする。

赤い髪の男が宿屋の主人をのして、ぼくはそのすきに部屋から逃げ出そうとして、赤い髪の男に腕を掴まれ、ベッドに組み敷かれたのだ。

「思い出してくれたかな?」

あのときの男がまさか王子様だったとは、しかも七人兄弟とはね。

「あのときは驚かせてしまったね。胸のときめきを抑えられず思わず押し倒してしまったが、後悔しているよ」

あれ? もしかして紳士だった?

「僕のギフトの力で村人全員を毒殺してから、ゆっくり君を犯せばよかったとね」

鈍く光る赤い瞳に背筋がゾッとした。この人はやばい、精神を病んでいる!

「他国で問題を起こされては困りますよ、ロート兄さん」

橙色の髪の王子が赤い髪の王子の肩をたたく。

「私を旅に連れて行かないからですよ。私の眠りシュラーフの力なら穏やかに村人を眠らせ、天使に傷一つつけず城まで連れてこれたのに」

「お前の言うとおりだ、緋色プルプル

「その名前で呼ばないでください! レーゲンボーゲンロートオラーンジェゲルブグリューンブラオインディゴヴィオレットの七色なのに、なぜ私の名前だけ、オラーンジェではなく、緋色プルプルなんだっっ!!」

橙色の髪の人が切れた。

「それは父上と母上に言ってくれ、緋色プルプル

「「「「「そうです父上と母上に言ってください、緋色プルプル兄さん」」」」」

五人の王子の声がそろう。

「プルプルって呼ぶな!」

よく分からないが兄弟げんかが始まったみたいだ、今のうちに逃げたい! でも体が動かないっ!

「無駄だよ、俺の麻痺レーメンの力はそう簡単に解けない、しばらくは指一本動かせないよ」

黄色い髪の王子が言う。

ぼくの体を麻痺させたのはこの人だったのか! キッと睨みつける。

「いいね、抵抗されるとぞくぞくする」

黄色い髪の王子が笑う。

「どうしよう、ボクの力で幸せな幻覚ハルツィナツィオーンでも見せようか?」

青い髪の王子が言う。

「それともオレの力で混乱フェアヴィレンさせる? 苦しまなくてすむよ」

藍色の髪の男が提案する。

「待て弟たちよ! 泣き叫ぶ神子を犯すから楽しいのではないか? 正気を失っていては、楽しみも半減する」

赤い髪の男の言葉に、レーゲンボーゲン国の七兄弟がうなずく。

「じゃあ麻痺レーメンが解けるのを待つってこと?」

紫の髪の王子が首をかしげる。

「かけた技は解除できるんだよ、ヴィオレット

赤い髪の王子が紫の髪の王子の言葉に答える。

「そうなんだ、おいらは自分でかけた技を解除したことないから分からなかったよ~


ヴィオレットの技は、他の兄弟の技とは少し違いますからね」

橙色の髪の男が意味有りげな言葉を放つ。

ゲルブ、神子にかけた麻痺を解けるか?」

「それは可能だよロート兄さん。でも麻痺を解除して、天使が泣き叫んだら煩くない?」

黄色い髪の王子が赤い髪の王子に尋ねる。

「わかってないなゲルブ、それが楽しいんだろう?」

赤い髪の男がくつくつと笑う。

「聞こえたとしても私たち七人兄弟に逆らうバカはこの城にはいませんから、問題ありませんよ。ねぇ、ヴィオレット?」

橙色の髪の男が、紫の髪の王子の顔を見てニヤリと笑う。

「そうだね、おいらもたまには自分の能力を使ってみたいや」

紫の髪の男がクスクスと笑う。

「そういうことだゲルブ、神子にかけた麻痺を解け」

「オッケー、ロート兄さん!」

ゲルブと言われた王子がぼくの手に触れた瞬間、背中がぞわりとした。

黄色い髪の王子の手が淡く光る。自身の手に力を入れると、体を動かせるようになった。

「離して! ぼくをここから出して!」

両手を動かすして拘束具から逃れようとするが、手錠とそれをつなぐ鎖がガシャガシャと音を立てるだけだった。

「天使の声、めっちゃ可愛い!」

「萌える!」

「やべぇ、声だけで抜ける!」

男たちの下半身を見ると、ズボンがテントを作っていて先走り液でぬれていた。

「まあそう急くな、今から神子の中に突っ込むんだ無駄うちするな」

「それもそうだね、ロート兄さん」

赤い髪の王子の言葉を、緑の髪の王子が肯定する。

「やっ、やめて! 来ないで!!」

男たちがベルトを外しファスナーを下げる。王子たちの男根は天を突くほどそそり立っており、ペニスを取り出すのに苦労していた。

勃起した陰茎をパンツから出すことに成功した男たちが、ベッドに上がってきた。

「来ないで!」

後退るが、すぐにベッドの背もたれにぶつかってしまう。

「この一カ月あなたを探し出し、抱く瞬間を夢見て日々を過ごしてきた! 待ちすぎたので優しくできそうにないが許してくれ!」

赤い髪の王子がぼくの右足に触れる。

橙の髪の男が左足に、黄色い髪の男が右腕に、緑の髪の男が左足にほぼ同時に触れた。

気持ち悪い! 冷たい汗が背中を伝う。

嫌だっ! 助けて! リュート!!

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