【BL】完結「異世界に転移したら溺愛された。自分の事を唯一嫌っている人を好きになってしまったぼく」

まほりろ

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6話「魔法の試験に合格」

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暴風シュトゥルムヴィント!」

猟師の格好をして男根をフル勃起させた下半身丸出しの男と、同じく下半身丸出しの木こりの男が仲良く宙に浮き、放物線を描いて飛んでいき、お星様になった。

ちなみに彼らの履いていたズボンとパンツは地面に置き去りにされている。

「やった! やったよ! リュート!」

ぼくが笑顔で振り返ると「よかったね」リュートが無表情で拍手をしてくれた。

男が履いていたズボンとパンツも暴風シュトゥルムヴィントで飛ばして上げた方がいいかな?

下半身丸出しで歩く悲しさは誰よりもぼくが知っている。

フランメ

リュートの手のひらから炎玉が出て、地面に落ちていたズボンとパンツを燃やした。

リュートはぼくを襲ってきた男たちにぼくの服(リュートからの借り物)をボロボロにされていた。その事を根に思っているのかもしれない。

今回襲ってきた男たちと、リュートの服をボロボロにした男たちは別人だ。服をボロボロにされた事を根に持っていて、彼らの服を燃やしたのだとしたら完全に八つ当たりだ。

さようなら、見ず知らずの猟師さんと木こりさん。見知らぬ地に下半身丸出しで飛ばされても強く生きてください。

「これでようやくあんたと別れられる」

リュートが無表情で呟く。

そうこれはリュートから出された卒業試験。

課題は暴風シュトゥルムヴィントを使って、ぼくを襲って来た相手を撃退すること。

リュートと出会って一カ月、ずっと一緒にいてくれたリュートと別れるのはやっぱり寂しい。

「リュート、迷惑じゃなかったらぼくも一緒に旅しちゃダメかな!」

リュートは何かの目的のために貴重なアイテムを集め、世界中を旅しているらしい。(うっとうしそうな顔をするリュートからなんとか聞き出した情報)

「ない、無理、迷惑」

秒で断られた。

もう少し考えてくれてもいいのに。

ああでも、クールなリュートは素敵だ。

「本当に無理? 絶対にだめ?」

「ない、無理、迷惑」

「ずっとじゃなくていいからあと一カ月だけ」

「ない、無理、迷惑」

「そこをなんとか! お願い三週間でいいから!」

「ない、無理、迷惑」

「二週間だけでも!」

「ない、無理、迷惑」

「あと十日だけ! お願い!」

「ない、無理、迷惑」







一時間ほどリュートにすがったが、リュートの答えは変わらなかった。

温度のない目で冷然と答えるリュートに、ぼくはずっとキュンキュンしていた。

リュートと離れたら、こんな塩対応をしてくれる男の子と出会えないんだろうな。

結局リュートがぼくのフェロモンに惹かれない理由も教えてもらえなかったし。

「分かったよ。ぼくは誰も来ない山奥か、無人島か、運が良かったら女性だけが暮らす村を見つけてそこで暮らすよ……」

男性を惹きつけてしまうフェロモンを放つ以上、街や村では生活出来ない。

誰かと親しく話すのもこれが最後かも。

「山奥には龍人がいて、無人島には海人がいて運が悪いとさらわれて、延命処置されて下手すると千年ぐらい弄ばれるかもしれないから気をつけて」

「えっ、何それ?」

龍人ってそんな事が出来るの? 海人って何?! どんな人たちなの?

「それから、この世界は男性が妊娠可能だから女性の数が極端に少ないんだ。運良く女性だけが暮らす村がみつかるといいけど」

ちょっ待って! そんな情報初耳なんだけど!

「じゃあさよなら」

そう言い残すとリュートは転移魔法を唱えて消えてしまった。

「待ってリュート行かないで! 戻ってきて! 一緒に連れてって!!」

リュートにぼくの声は届かず(多分届いていても聞こえない振りをされただろう)ぼくは独り森に残された。

「リュゥゥ~~~~トォォォォォ~~~~!!」

誰もいない森で、ぼくはリュートの名をさけび続けた。

何時間粘ってでもリュートを説得して、旅に同行させてもらえばよかった!

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