【完結】「聖女として召喚された女子高生、イケメン王子に散々利用されて捨てられる。傷心の彼女を拾ってくれたのは心優しい木こりでした」

まほりろ

文字の大きさ
上 下
32 / 37
二章

32話「紐なしバンジー! ぴゅーーん!」ざまぁ

しおりを挟む

「このクソ猫!
 美しいわたしの顔に『阿婆擦れ』『尻軽』『ビッチ』と書くなんて!
 わたしはあなたを絶対に許さないわ!」

王太子妃が私を指差しながら、何か話している。

私は本当のことを書いただけだ。

私は部屋に残っていたケットシーの一族の者に合図を出した。

私の指示を受けた一族の者が、王太子妃を取り押さえた。

「離しなさいよ!」

取り押さえられながらも、王太子妃は元気に喚いている。

これから王太子妃には大きな声を出してもらうので、あのくらい元気な方が都合がいい。

「王太子妃を窓から捨てなさい」

私が一族の者に指示を出すと、それまで騒いでいた王太子妃が急に大人しくなった。

「王太子のようにお漏らしはしないでくださいね。
 ケルベロスにキャッチしてもらえなくなりますから」

こいつらにはまだまだたくさん罰を受けてもらわなくてはいけない。簡単に死なれては困る。

「やりなさい」

私の命をを受けた一族の者は、王太子妃を持ち上げ窓から豪快に放り投げた。

「ぎゃああああああああっっ!!」

品のない叫び声を上げながら王太子妃が落下していく。

窓の下にはケルベロスがいて、王太子妃を口で上手にキャッチした。

王太子妃の匂いが不快だったのか、ケルベロスはすぐに彼女をペッと吐き出した

ケルベロスの唾液でベトベトになった王太子妃の体が庭に転がる。

今の衝撃で気を失ったのか、王太子妃は庭にうつ伏せに倒れたまま起き上がらない。

まあ、水でもかければ目を覚ますでしょう。

会場にいる人間たちは、王太子妃に起きた一連の出来事を真っ青な顔で眺めていた。

もはや己の顔に書かれた文字のことなど、誰も気にしていない。

「このあと皆さんにも王太子妃と同じ方法で飛び降りてもらいます。
 当初は階段を使って庭まで降りてもらう予定でしたが、愚かな王太子と王太子妃の発言を聞いて気が変わりました。
 聖女であるリコ様を蔑ろにし、民に圧政を強いる皆様には、重い罰が必要だって思ったのです」

私の言葉を聞いて人間たちはガチガチと歯を鳴らしながら震えている。

「怖いのはわかりますが、お漏らしはしないほうが身のためですよ。
 ケルベロスはお漏らしをした人間を口でキャッチするのを嫌がりますから。
 ケルベロスにキャッチされなかった方は、そのまま地面に衝突することになります。
 あっさり死なれたら困るんですよ。
 これから皆様には庭でケルベロスと追いかけっこをしてもらう予定ですから」

人間たちの顔は青を通り越して紫だった。


しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

はずれギフトのせいで追い出されましたがはずれギフトのおかげで今日も元気です。

下菊みこと
恋愛
未開の領地をギフトで開拓! 小説家になろう様でも投稿しています。

継母の品格 〜 行き遅れ令嬢は、辺境伯と愛娘に溺愛される 〜

出口もぐら
恋愛
【短編】巷で流行りの婚約破棄。  令嬢リリーも例外ではなかった。家柄、剣と共に生きる彼女は「女性らしさ」に欠けるという理由から、婚約破棄を突き付けられる。  彼女の手は研鑽の証でもある、肉刺や擦り傷がある。それを隠すため、いつもレースの手袋をしている。別にそれを恥じたこともなければ、婚約破棄を悲しむほど脆弱ではない。 「行き遅れた令嬢」こればかりはどうしようもない、と諦めていた。  しかし、そこへ辺境伯から婚約の申し出が――。その辺境伯には娘がいた。 「分かりましたわ!これは契約結婚!この小さなお姫様を私にお守りするようにと仰せですのね」  少しばかり天然、快活令嬢の継母ライフ。 ▼連載版、準備中。 ■この作品は「小説家になろう」にも投稿しています。

王家に生まれたエリーザはまだ幼い頃に城の前に捨てられた。が、その結果こうして幸せになれたのかもしれない。

四季
恋愛
王家に生まれたエリーザはまだ幼い頃に城の前に捨てられた。

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

聖騎士に裏切られた聖女は愛されることを知る

andante
恋愛
聖騎士のために力を与えていた聖女は裏切られたことを知る。 婚約は解消され、お互いに新たな道を歩むことになった。

逃げた先の廃墟の教会で、せめてもの恩返しにお掃除やお祈りをしました。ある日、御祭神であるミニ龍様がご降臨し加護をいただいてしまいました。

下菊みこと
恋愛
主人公がある事情から逃げた先の廃墟の教会で、ある日、降臨した神から加護を貰うお話。 そして、その加護を使い助けた相手に求婚されるお話…? 基本はほのぼのしたハッピーエンドです。ざまぁは描写していません。ただ、主人公の境遇もヒーローの境遇もドアマット系です。 小説家になろう様でも投稿しています。

悪役令嬢に転生しましたがモブが好き放題やっていたので私の仕事はありませんでした

蔵崎とら
恋愛
権力と知識を持ったモブは、たちが悪い。そんなお話。

処理中です...