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二章
12話「運命の出会い」
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今ならわかる、ロリコン王子に好感を抱いたのは、彼の「王子」という肩書に憧れただけだと。
その証拠に、王子か十四歳の少女に心変わりしてもあたしの心は傷つかなかった。
散々利用され年増の行き遅れ扱いされて捨てられたことには腹が立ったけど……それだけだ。
そろそろ認めよう。
あたしはコルトが好きだ。
彼とこのまま一緒に暮らせたらと思ってる。
でもあたしは異世界人だし、王族に追われてるし、コルトがこんなあたしを貰ってくれるはずないよね?
怪我が治ったらあたしはここを出ていかなくちゃいけないんだ……寂しいよ。
だけどそんな心配は杞憂だった。
彼と出会ってから一カ月後。
あたしの足の怪我が治って、そろそろコルトとお別れしなくちゃいけないのかな……と思っていた矢先、彼からプロポーズされたのだ。
「あのさ、リコ。話があるんだ」
「なに改まって?」
「俺はリコにここにいてほしいと思ってる!」
「いつまで?」
「ずっと!
ずっとずっとずーーーーっと!」
「なんだかプロポーズみたいね」
「うん、そのつもりなんだけど」
「えっ??」
彼の言葉の意味に気づいて、あたしの顔に熱が集まる。
コルトの顔を見ると、彼も耳まで真っ赤にしていた。
「あ、あたし追われてる身だよ!」
あたし……コルトの側にいていいのかな?
コルトに迷惑かけちゃうんじゃ……。
「うん、何があっても絶対にリコのことをかくまうよ!」
コルトが真剣な目であたしを見つめる。
かっこいい!
惚れる! いやとっくに惚れてるけど! 惚れ直した!!
「それに時々元の世界の話をして、コルトを困らせるし……」
「『女性の言ってることを男が理解するのは難しい。女性たちの言ってることは精霊や妖精の言葉だと思え』ってケンちゃんが言ってた」
「どういう意味?」
「生まれたところも育った環境も違う。
お互いに知らないことがあるのは当然だって意味だよ」
「ケンちゃんって?」
「俺の幼馴染、ケンちゃんの言ってることはだいたい正しい」
「だから、少しづつ相手のことを知っていけばいいんだよ!」
「そっか……」
「うん」
ケンちゃん、会ったことはないけど好い人に違いない。
あたしは心の中でケンちゃんに感謝した。
あたしも……コルトと一緒にいたいよ!
ずっとずっとずーーーーっと彼の側にいたいよ!
「チーズとお肉を毎日とは言わないけど、週に一回食べさせてくれならいいよ」
うわっ、偉そう!
もうちょっとなんかあったでしょう!
恋愛スキル低すぎるでしょうあたし!
「うん。約束する!
チーズとお肉を週に一回食べさせられるように努力するよ!」
でもコルトはあたしの言葉に機嫌を損ねることなく、まっすぐに受け入れてくれた。
好き! コルトのことが大好き!!
あたしはコルトの事を押し倒して、彼の初めてのキスを奪っていた。
言っとくけど、あたしもこれがファーストキスだったんだよ!
ロリコン王子には指一本触らせてないんだから!
あたしは追われている身だから、結婚式はできなかった。
コルトのタキシード姿見たかったなぁ……! 絶対にかっこよかったはず!
でも気持ちの上では夫婦だ。
あたしたちが結婚した翌年、第一子が誕生した。
コルトによく似た男の子で、二人で名前を考えてアビーと名付けた。
アビーはコルト譲りの煉瓦色の髪に、あたし譲りの漆黒のひとみをしていた。
質素だけど三人で楽しく幸せにくらしていた。
あの日までは……。
その証拠に、王子か十四歳の少女に心変わりしてもあたしの心は傷つかなかった。
散々利用され年増の行き遅れ扱いされて捨てられたことには腹が立ったけど……それだけだ。
そろそろ認めよう。
あたしはコルトが好きだ。
彼とこのまま一緒に暮らせたらと思ってる。
でもあたしは異世界人だし、王族に追われてるし、コルトがこんなあたしを貰ってくれるはずないよね?
怪我が治ったらあたしはここを出ていかなくちゃいけないんだ……寂しいよ。
だけどそんな心配は杞憂だった。
彼と出会ってから一カ月後。
あたしの足の怪我が治って、そろそろコルトとお別れしなくちゃいけないのかな……と思っていた矢先、彼からプロポーズされたのだ。
「あのさ、リコ。話があるんだ」
「なに改まって?」
「俺はリコにここにいてほしいと思ってる!」
「いつまで?」
「ずっと!
ずっとずっとずーーーーっと!」
「なんだかプロポーズみたいね」
「うん、そのつもりなんだけど」
「えっ??」
彼の言葉の意味に気づいて、あたしの顔に熱が集まる。
コルトの顔を見ると、彼も耳まで真っ赤にしていた。
「あ、あたし追われてる身だよ!」
あたし……コルトの側にいていいのかな?
コルトに迷惑かけちゃうんじゃ……。
「うん、何があっても絶対にリコのことをかくまうよ!」
コルトが真剣な目であたしを見つめる。
かっこいい!
惚れる! いやとっくに惚れてるけど! 惚れ直した!!
「それに時々元の世界の話をして、コルトを困らせるし……」
「『女性の言ってることを男が理解するのは難しい。女性たちの言ってることは精霊や妖精の言葉だと思え』ってケンちゃんが言ってた」
「どういう意味?」
「生まれたところも育った環境も違う。
お互いに知らないことがあるのは当然だって意味だよ」
「ケンちゃんって?」
「俺の幼馴染、ケンちゃんの言ってることはだいたい正しい」
「だから、少しづつ相手のことを知っていけばいいんだよ!」
「そっか……」
「うん」
ケンちゃん、会ったことはないけど好い人に違いない。
あたしは心の中でケンちゃんに感謝した。
あたしも……コルトと一緒にいたいよ!
ずっとずっとずーーーーっと彼の側にいたいよ!
「チーズとお肉を毎日とは言わないけど、週に一回食べさせてくれならいいよ」
うわっ、偉そう!
もうちょっとなんかあったでしょう!
恋愛スキル低すぎるでしょうあたし!
「うん。約束する!
チーズとお肉を週に一回食べさせられるように努力するよ!」
でもコルトはあたしの言葉に機嫌を損ねることなく、まっすぐに受け入れてくれた。
好き! コルトのことが大好き!!
あたしはコルトの事を押し倒して、彼の初めてのキスを奪っていた。
言っとくけど、あたしもこれがファーストキスだったんだよ!
ロリコン王子には指一本触らせてないんだから!
あたしは追われている身だから、結婚式はできなかった。
コルトのタキシード姿見たかったなぁ……! 絶対にかっこよかったはず!
でも気持ちの上では夫婦だ。
あたしたちが結婚した翌年、第一子が誕生した。
コルトによく似た男の子で、二人で名前を考えてアビーと名付けた。
アビーはコルト譲りの煉瓦色の髪に、あたし譲りの漆黒のひとみをしていた。
質素だけど三人で楽しく幸せにくらしていた。
あの日までは……。
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