【完結】「今日から私は好きに生きます! 殿下、美しくなった私を見て婚約破棄したことを後悔しても遅いですよ!」

まほりろ

文字の大きさ
上 下
6 / 6

6話「恋とは恐ろしいものですわ」最終話

しおりを挟む
「遅くなりました。フリード殿下」

フリードの護衛の一人がフリード様に声をかける。

「遅いぞ、今まで何をしていた?」

「申し訳ありません。
 フリード殿下がアリア様にお会いになる為に、馬車を降りた途端に走り出したので殿下のお姿を見失いました」

フリード様ったら私に会うために、校門からここまで走って来てくださったの? 嬉しいわ。

でも護衛の人をおいてきてはだめよ。

「フリード様、この女をいかがいたしましょう?」

「このアホ王太子と共に牢屋に入れておけ、皇族への不敬罪だ」

フリード様が王太子殿下を護衛に向かって突き飛ばす。

「承知いたしました」

護衛の人たちが王太子殿下とミラ様を縛りあげ、どこかに連れて行った。

二人がいなくなり、ようやく静かになった。

「あんなのがアリアと同じ学園にいるのは危険だ。
 アリアが学園を卒業するまで奴らは牢屋に入れておこう」

廃太子されたガラン様は王妃様の実家の伯爵家に養子に入り、ミラ様の家に婿入りする予定でした。

お二人はフリード様に狼藉を働いたので、その話もなくなるでしょうね。

婚約破棄の慰謝料として王太子殿下の所有していた財産は全て差し押さえました。

足りない分は王妃様のご実家の伯爵家に支払っていただきました。

一人息子のガラン様は廃太子され、ご実家の伯爵家の資産の半分は差し押さえられた……これで王妃様の求心力もなくなるでしょう。

もしかしたら王妃様は身分を剥奪されガラン様と共に、塔に幽閉されるかもしれません。

「ところでフリード様、どうして学園に?」

「アリアの側にいたくて僕も今日からこの学園に通うことにした。
 転校初日だから制服じゃないのは許してほしい」

フリード様は天色のジュストコールを身にまとっている。

もしかして私の瞳の色の服を着てくれたのかしら?

「本当はアリアを帝国に連れて行って、帝国の学園に通わせたかったのだが、この国の貴族はこの学園を卒業する決まりがあるんだろ?」

「そうですが、フリード様は帝国の学園に通わなくてよろしいのですか?」

フリード様は私と同じ十七歳。

フリード様は帝国の学園に通われていたはずですが。

「帝国の学園は一年休学する」

「そんなことしてよろしいのですか?」

確か皇族は帝国の学園を卒業する決まりがあったはず。

「帝国の学園はこの学園を卒業してから通うよ。
 やっとアリアと婚約できたのに、アリアと一年も離れて暮らすなんて耐えられない!
 アリアも一緒に帝国の学園に通ってくれるだろ?」

「それは構いませんが、なんでもフリード様お一人で決めてしまうのはいかがなものかと思います」

「ごめんね、嫌だった?」

フリード様が眉尻を下げる。

そんな捨てられた子犬のような顔をしないでください。

怒れなくなってしまいますわ。

「いいえ、ちっとも嫌ではありません。
 むしろ嬉しいです」

「良かった」

フリード様が花がほころぶように笑う。

フリード様にほほ笑まれるとすべてを許してしまう。

今日から自由に生きようと思っておりましたのに、フリード様の笑顔にほだされて流されてしまうなんて……恋とは恐ろしいものですわ。




――終わり――



最後まで読んで下さりありがとうございます。





















☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



・本日(2023/09/16)新作小説を3作品アップしました。
 約60,000文字の中編2作品と、約10,000文字の短編1作です。
 よろしくお願いします、


「妹の身代わりに殺戮の王子に嫁がされた王女。離宮の庭で妖精とじゃがいもを育ててたら、殿下の溺愛が始まりました」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/569801954 

「不治の病にかかった婚約者の為に、危険を犯して不死鳥の葉を取ってきたら、婚約者が浮気してました。彼の病が再発したそうですが知りません」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/580801989 

「完璧な淑女と称される王太子妃は芋ジャージを着て農作業をする。 ギャップ萌え~の効果で妖精王が釣れました」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/430802006


 
しおりを挟む
感想 21

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(21件)

ヤン
2022.12.29 ヤン
ネタバレ含む
2022.12.29 まほりろ

ヤン様
いつも感想ありがとうございます!(*´∀`*)✨💕

キャラクターに感情移入してもらえて嬉しいです!(*´ω`*)✨💕

解除
かな
2022.12.14 かな
ネタバレ含む
2022.12.14 まほりろ

かな様
感想ありがとうございます!(*´∀`*)✨💕

解除
碧.y
2022.06.19 碧.y
ネタバレ含む
2022.06.19 まほりろ

碧.y様
感想ありがとうございます!(^^)

最後まで読んで下さりありがとうございます!
王妃にも幽閉とか、身分剥奪とか、何らかの罰が下っていると思います。💦

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】嗤われた王女は婚約破棄を言い渡す

干野ワニ
恋愛
「ニクラス・アールベック侯爵令息。貴方との婚約は、本日をもって破棄します」 応接室で婚約者と向かい合いながら、わたくしは、そう静かに告げました。 もう無理をしてまで、愛を囁いてくれる必要などないのです。 わたくしは、貴方の本音を知ってしまったのですから――。

貴方に婚約破棄をされて3ヶ月が経ちました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。

りすい
恋愛
婚約破棄をされた悪役令嬢からのお手紙

【完結】野蛮な辺境の令嬢ですので。

❄️冬は つとめて
恋愛
その日は国王主催の舞踏会で、アルテミスは兄のエスコートで会場入りをした。兄が離れたその隙に、とんでもない事が起こるとは彼女は思いもよらなかった。 それは、婚約破棄&女の戦い?

私を売女と呼んだあなたの元に戻るはずありませんよね?

ミィタソ
恋愛
アインナーズ伯爵家のレイナは、幼い頃からリリアナ・バイスター伯爵令嬢に陰湿ないじめを受けていた。 レイナには、親同士が決めた婚約者――アインス・ガルタード侯爵家がいる。 アインスは、その艶やかな黒髪と怪しい色気を放つ紫色の瞳から、令嬢の間では惑わしのアインス様と呼ばれるほど人気があった。 ある日、パーティに参加したレイナが一人になると、子爵家や男爵家の令嬢を引き連れたリリアナが現れ、レイナを貶めるような酷い言葉をいくつも投げかける。 そして、事故に見せかけるようにドレスの裾を踏みつけられたレイナは、転んでしまう。 上まで避けたスカートからは、美しい肌が見える。 「売女め、婚約は破棄させてもらう!」

婚約破棄を、あなたのために

月山 歩
恋愛
私はあなたが好きだけど、あなたは彼女が好きなのね。だから、婚約破棄してあげる。そうして、別れたはずが、彼は騎士となり、領主になると、褒章は私を妻にと望んだ。どうして私?彼女のことはもういいの?それともこれは、あなたの人生を台無しにした私への復讐なの?

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

お姉様のお下がりはもう結構です。

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
侯爵令嬢であるシャーロットには、双子の姉がいた。 慎ましやかなシャーロットとは違い、姉のアンジェリカは気に入ったモノは手に入れないと気が済まない強欲な性格の持ち主。気に入った男は家に囲い込み、毎日のように遊び呆けていた。 「王子と婚約したし、飼っていた男たちはもう要らないわ。だからシャーロットに譲ってあげる」 ある日シャーロットは、姉が屋敷で囲っていた四人の男たちを預かることになってしまう。 幼い頃から姉のお下がりをばかり受け取っていたシャーロットも、今回ばかりは怒りをあらわにする。 「お姉様、これはあんまりです!」 「これからわたくしは殿下の妻になるのよ? お古相手に構ってなんかいられないわよ」 ただでさえ今の侯爵家は経営難で家計は火の車。当主である父は姉を溺愛していて話を聞かず、シャーロットの味方になってくれる人間はいない。 しかも譲られた男たちの中にはシャーロットが一目惚れした人物もいて……。 「お前には従うが、心まで許すつもりはない」 しかしその人物であるリオンは家族を人質に取られ、侯爵家の一員であるシャーロットに激しい嫌悪感を示す。 だが姉とは正反対に真面目な彼女の生き方を見て、リオンの態度は次第に軟化していき……? 表紙:ノーコピーライトガール様より

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。