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3話「王家の色持ち」
しおりを挟む「王太子殿下は王妃様と同じ黒髪に茶色の瞳。
王妃様はご自身の生んだ子が王家の色持ちではないことを気に病んでおられました。
王弟である父の娘である私が、王家の色を持って生まれたことが王妃様は許せなかったのでしょうね」
王妃様は息子を王太子にするために王家の色持ちの私を利用した。
それなのに私に感謝するどころか、王家の色持ちに生まれた私に嫉妬し嫌がらせを繰り返した……本当に質の悪い方ですわ。
「同じ理由で弟も王妃様に髪を黒く染められ、瞳が黒く見える眼鏡をかけさせられました」
「お前の弟のフィリップも王家の色持ちだというのか!」
「ええ、そうですわ」
私が答えると殿下のお顔の色はさらに悪くなった。
王家の色持ちに生まれなかったのは王太子殿下のせいではありません。
ですが自分の周りに王家の色持ちが二人もいて、それに気がつかなかったのはいかがなものかと思いますわ。
調べる手段はいくらでもあったのに。
「王家の色持ちでない王太子殿下は本来なら、立太子できませんでした」
国王陛下と王妃様の間にはガラン様しか子ができなかった。
本来なら王家の色持ちではないガラン様は、臣籍に降下させなければならない。
「息子を溺愛している王妃様が国王陛下に泣きつき、王家の色持ちの私と当時第一王子だったガラン様を婚約させました。王家の色持ちの私と婚約したからガラン様は立太子できたのですよ」
「そ、そんなことが……」
王太子殿下はやはりご存知なかったのですね。
王家の色持ちでないと王位を継げないのですから、少し考えれば私か殿下どちらかが王家の色持ちだと気づきそうなものなのですが……。
私と殿下が結婚したとしても、殿下は中継ぎに過ぎません。
私と王太子殿下の間に王家の色持ち子が生まれ、その子が成長したら殿下は速やかに王位を譲る……王家と公爵家でそういう取り決めがされていました。
「だが、俺はアリアと婚約を破棄したが今も王太子だぞ!」
「はい、ガラン様は今日まで王太子です」
「今日までだと?
それはどういうことだ?!」
王太子殿下が怒鳴る。
「王太子殿下が男爵令嬢のミラ様と浮気し、公衆の面前で私との婚約破棄したことに、父が激怒したからですわ。
父は父の派閥の貴族を全員連れて王宮に乗り込み、ガラン様の廃太子を願い出たのです」
父は国内の貴族の半分を自分の派閥に入れています。
父の一声で、父の派閥の貴族は全員仕事を放棄し登城拒否します。
そうなったらお城の仕事は回らなくなるのです。
「俺が廃太子されるだと!?」
「はい、今頃は王宮でガラン様を廃太子する手続きが進んでいるはずです」
「俺は国王と王妃の間に生まれたたった一人の王子だぞ!
俺が廃太子されたら誰が王太子になるというんだ!」
「次の王太子は私の弟のフィリップです。
フィリップも王家の色持ちですし、誰かさんと違って勉強熱心で優秀ですからなんの問題もありませんわ」
ガラン様は馬鹿とは言いませんが、努力が嫌いなので成績がそれなりなんですよね。
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