完結「婚約者が妹と浮気していました、二人は私に冤罪を着せ殺したいようです」

まほりろ

文字の大きさ
上 下
15 / 15

15話「復讐はまだ終わっていない」最終話

しおりを挟む
――アダリズ(姉)視点――



――二年後――


「エマに似て可愛い子だね、パパだよ分かるかな?」

「デレック様に似て勇敢な顔立ちをしているわ、将来は英雄になれるかもしれないわね」

私がエマの体に入って二年が経過した。

アダリズの体に入ったエマは城に連行され翌月ひっそりと処刑された。公爵家から除籍処分となっていたアダリズの遺体は、山奥に捨てられ風葬された。

それから半年後、エマの体に入った私はデレックと婚約、さらにその半年後に結婚式を挙げた。

王族は亡き王太后様の結んだ公爵家との縁を壊したくなかったらしく、婚約者を姉のアダリズから妹のエマに変えることをすんなりと受け入れた。

王族側は公爵家の人間ならデレックの婚約者は誰でも良かったのだ、アダリズでもエマでも。デレックだけは容姿の醜いアダリズを毛嫌いし、婚約を決めた王太后様を恨んでいたが。

もちろんエマが婚約者になることを反対する者もいた、そういう奴らは公爵家の権力を使って黙らせた。

こうしてエマの可憐な容姿と、王太子の教育を終えたアダリズの優秀な頭脳と、公爵家の血筋を持った、最強の王太子妃が誕生した。

エマの容姿とアダリズの頭脳と王太子妃の身分があれば、人生勝ったも同然だ。

「王太子殿下、お仕事のお時間です」

従者が仕事の時間を告げに来た。

「ええ、もうそんな時間? もっと可愛い息子と奥さんと遊んでいたいのに……そうだエマ、僕の仕事を手伝ってよ、出産前はよく僕の仕事を手伝ってくれたじゃないか」

「殿下、王太子妃様は王子様を出産されたばかりでお疲れなのです、無理をさせないでください」

「分かってるよ……エマが仕事したほうが速いから聞いてみただけだ」

「もっと遊びたいのに……」とぼやきながら、デレックは部屋を出ていった。

一人になった私は鏡に映る金髪碧眼の美しい女を見てクスリと笑う。

エマ、あなたと私の体を交換して二年になるわ。

私はエマの体に入ってからも私らしく振る舞ってるのよ。でも可笑しいの、誰も中身が変わったことに気づかないのよ。

あなた本当にお父様やお母様やデレックから愛されていたのかしらね?

いなくなったことに気づかれないなんてかわいそうな子、誰もあなたの中身を見ていなかったのね。みんなあなたの見た目の美しさにしか興味がなかったみたい。

「ほぎゃー! ほぎゃー!」

突然泣き出した息子を抱き上げてあやす。

「よしよし、いい子ね、いい子だから泣かないで」

あなたは大切な駒なのだから、健康に育って。

息子が成人したらデレックに冤罪えんざいを着せ処刑し、息子を早急に王位を継がせる計画だ。

デレックがアダリズをはめて処刑したように、私もデレックをはめて殺してやるわ。

デレックが無能だから悪いのよ、妃に頼りっぱなしの無能な王なんて必要ないわ、国民のために死ぬべきよ。王位は息子が立派に継ぎますからご心配なく、安心して地獄に落ちてください。

その時は両親にも死んでもらいますわ。虐待されたこと、私まだ根に持ってますのよ。

息子はすぐに泣き止み、すやすやと眠りだした。

「可愛い子、早く大きくなってね」

私の復讐はまだ終わっていない、次はあなたが破滅する番よデレック。





――終わり――




ご愛読ありがとうございました。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


2022/03/14に新作を投稿しました!こちらの作品もよろしくお願いします!

「第一王子に婚約破棄されましたが平気です。私を大切にしてくださる男爵様に一途に愛されて幸せに暮らしますので」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/38607887 #アルファポリス

婚約破棄された公爵令嬢が、断罪の場で助けてくれた人に溺愛され幸せに暮らす話です。
ざまぁもあります。
しおりを挟む
感想 13

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(13件)

都鳥
2022.06.18 都鳥
ネタバレ含む
まほりろ
2022.06.18 まほりろ

都鳥様
感想ありがとうございます!(^^)

なろうとアルファで2回読んで貰えて嬉しいです!!

ホラー作品……一応はジャンルは異世界恋愛です(^_^;)💦

解除
白龍@ユーリ大好き
ネタバレ含む
まほりろ
2021.10.29 まほりろ

白龍@ユーリ大好き様
いつも感想ありがとうございます(^^)
一気読みしていただけて嬉しいです!
アダリズの【デレックへの復讐20年計画です】(^_^;)
新作は今週末かもしくは来週末に上げる予定です。ざまぁぬるめです。
作者は復讐ものとざまぁを書くのに少々疲れました……なのでしばらくはギャグ多めのほのぼのイチャラブ物を書こうと思います。

解除
りり
2021.10.25 りり
ネタバレ含む
まほりろ
2021.10.25 まほりろ

りり様
感想ありがとうございます!(^^)
20年かけた壮大な復讐計画です(^_^;)
ヒロインの子供は果たして幸せになれるのか……?

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね

江崎美彩
恋愛
 王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。  幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。 「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」  ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう…… 〜登場人物〜 ミンディ・ハーミング 元気が取り柄の伯爵令嬢。 幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。 ブライアン・ケイリー ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。 天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。 ベリンダ・ケイリー ブライアンの年子の妹。 ミンディとブライアンの良き理解者。 王太子殿下 婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。 『小説家になろう』にも投稿しています

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~

みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。 全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。 それをあざ笑う人々。 そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

巻き戻される運命 ~私は王太子妃になり誰かに突き落とされ死んだ、そうしたら何故か三歳の子どもに戻っていた~

アキナヌカ
恋愛
私(わたくし)レティ・アマンド・アルメニアはこの国の第一王子と結婚した、でも彼は私のことを愛さずに仕事だけを押しつけた。そうして私は形だけの王太子妃になり、やがて側室の誰かにバルコニーから突き落とされて死んだ。でも、気がついたら私は三歳の子どもに戻っていた。

婚約破棄の甘さ〜一晩の過ちを見逃さない王子様〜

岡暁舟
恋愛
それはちょっとした遊びでした

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。