完結「婚約者が妹と浮気していました、二人は私に冤罪を着せ殺したいようです」

まほりろ

文字の大きさ
上 下
14 / 15

14話「届かない叫び」エマ(妹)視点・ざまぁ回

しおりを挟む



――エマ(妹)視点――



「エマ殿、罪人を城に連行するまで入ってきてはいけないと言っただろ」

どうして私がそこにいるの? 誰かが呪いや魔法の力で私の姿に化けているの? 

そういえば昨夜気を失う前、アダリズお姉様が「私の人生とあなたの人生を交換しましょう」と言っていた気がするわ。

もしかして私呪いでアダリズお姉様の姿に変えられたのではなくて、心と体がアダリズお姉様と入れ替わってしまったのかしら? きっとそうだわ、そう考えると全てのつじつまが合うわ。

だから私は今アダリズお姉様の姿をしているのね、それじゃあ今私の体に入っているのはアダリズお姉様??

「王太子殿下のおっしゃるとおりよ、優しいあなたに物騒な捕物なんて見せたくなかったのに」

「わしはエマの心が傷つかないか心配だよ」

お父様とお母様が心配そうな顔で、私の体に入ったアダリズお姉様に近寄り手を握った。

「ごめんなさい王太子殿下、お父様、お母様。にお別れのごあいさつがしたかったのです」

私の体に入ったアダリズお姉様が青い目を細めニコリと笑う。

「んーー! んんーー!! ンんんーー!(返して! それは私の体よ! 私のものよ!!)」

私の体に入ったアダリズお姉様に掴みかかり殴りつけたかったが、兵士に拘束されている状態ではそれも叶わない。

暴れないで、拘束がきつくなりましてよ」

私の体に入ったアダリズお姉様が、くすりと笑う。腹が立つ! 私の体を乗っ取って、余裕の表情を浮かべているアダリズお姉様に無性に腹が立った!

私の体に入ったアダリズお姉様が私に近づいてきて「さようなら、、私あなたにいただいた物を大切に使いますね、あなたも私が差し上げた物を大切に使ってくださいね。私の分も幸せになりますから」そう耳元でささやいた。

「ンんーー!! んンんんーー!! ンんんーー!!(返しなさいよ! それは私の体よ! 私の人生よ!)」

私の体に入ったアダリズお姉様に悪態を吐きたいが、猿轡さるぐつわをされているせいでうまく言葉にならない。

「これはあなたが望んだことよ、恨まないでね」

私の体に入ったアダリズお姉様が口角を上げ、美しくほほ笑んだ。



『ねえエマ、本当に私のことを自慢の姉だと思ってる? 本当に私のことが羨ましい? 私がエマと私の人生を交換したいと願ったら、あなた了承してくれる?』

『まあ交換してくださるの? 私昔からお姉様が羨ましかったのよ。だってお姉様は全てを持っているんですもの、公爵家の長女の地位も、王太子殿下の婚約者の地位も、学園の首席間違いなしと言われる頭脳も、私ずっとお姉様になりたかったのよ!』

『そう、それはよかったわ……私もずっとあなたになりたかったのよエマ、美しい容姿を持ちお父様からもお母様からも王太子殿下からも愛され、使用人から大切にされ、学園では先生からも生徒からも可愛がられているあなたに……ずっと憧れていたの。だから……私の人生とあなたの人生を交換しましょう』



昨夜アダリズお姉様の部屋でした会話が、頭の中で何度も再生される。

違う……! こんなこと望んでない!

まさか本当に人生を交換出来るなんて思わなかった!

アダリズお姉様の人生なんてちっとも羨ましくない! 「羨ましいわ」と言いながら心の中でアダリズお姉様のことをあざ笑っていた。

嫌……! 返して……! それは私の人生よ! 私の体よっっ!!

返してーーーー!!

衛兵に連行され屋敷から連れ出される私を、私の体に入ったアダリズお姉様がにこやかな顔で見送っていた。



しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね

江崎美彩
恋愛
 王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。  幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。 「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」  ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう…… 〜登場人物〜 ミンディ・ハーミング 元気が取り柄の伯爵令嬢。 幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。 ブライアン・ケイリー ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。 天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。 ベリンダ・ケイリー ブライアンの年子の妹。 ミンディとブライアンの良き理解者。 王太子殿下 婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。 『小説家になろう』にも投稿しています

【完結】婚約破棄されましたが国を追放されたのは私ではなく糾弾してきた王子の方でした

愛早さくら
恋愛
「お前との婚約は破棄する!」 卒業式の日。そう、大勢の前でネフィを糾弾してきたのは幼い頃からの婚約者である、ここ、カナドゥサ国のレシア第一王子でした。 ネフィはにんまりと笑みを浮かべます。 なぜなら、周り中全てが自分の味方であることを知っていたからです。 だからネフィは答えました。 「構いませんわ。ですが私と婚約を破棄して、国を追われるのは貴方の方でしてよ?」 そう告げるネフィの隣には…… ・定番中の定番みたいな話を私も書いてみたくなって! ・でもあんまりざまぁはないです。多分。 ・地味に某お話と同じ世界観。

婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~

みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。 全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。 それをあざ笑う人々。 そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて

おもち。
恋愛
「——君を愛してる」 そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった—— 幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。 あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは…… 『最初から愛されていなかった』 その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。 私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。  『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』  『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』 でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。 必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。 私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……? ※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。 ※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。 ※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。 ※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

巻き戻される運命 ~私は王太子妃になり誰かに突き落とされ死んだ、そうしたら何故か三歳の子どもに戻っていた~

アキナヌカ
恋愛
私(わたくし)レティ・アマンド・アルメニアはこの国の第一王子と結婚した、でも彼は私のことを愛さずに仕事だけを押しつけた。そうして私は形だけの王太子妃になり、やがて側室の誰かにバルコニーから突き落とされて死んだ。でも、気がついたら私は三歳の子どもに戻っていた。

婚約破棄の甘さ〜一晩の過ちを見逃さない王子様〜

岡暁舟
恋愛
それはちょっとした遊びでした

処理中です...