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2話「王太子の反抗と婚約破棄」

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僕がプロポーズすると、ラーラは不機嫌そうな顔をした。

「他の女と夫を共有するなんて考えられない。私を愛しているなら私だけを妻にして」と。

市井出身の彼女に夫を共有するという価値観はないようだ。

僕の王族としての考えをラーラに押し付けるわけにはいかない。

どうせ反抗するなら思いっきりやってやろう。

「わかった婚約者ナディアとの婚約を解消するよ」

僕がそう言うとラーラは花が綻ぶように笑った。

その天真爛漫な笑顔に僕の心臓は撃ち抜かれた。僕は生きてる間何度でもラーラに恋をするだろう。

クロル公爵家は国で一、二を争う権力を持つ。ナディアとの婚約を解消して平民のラーラと結婚すると言ったら父は怒るだろう。

王太子の地位と王位継承権を自ら返上し臣籍に降下しよう。

そうすれば親の敷いたレールの上を歩く人生から解放される。

僕はナディアとの婚約解消に向けて動き出した。

そんなときラーラが何者かに襲われた。

ラーラが仕事を終え家に帰ろうとしたとき、誘拐されそうになったのだ。

幸い僕がラーラにつけていた護衛が、誘拐犯を撃退したのでラーラは無傷で保護された。

しかし護衛は誘拐犯を取り逃してしまった。

だが僕には犯人の目処はついている。 

こんなことをするのは僕の婚約者のナディア以外に考えられない。

ナディアは僕に心底惚れている。僕に他に愛する人ができ、僕がナディアとの婚約を解消しようとしていることを知り、犯行に及んだのだろう。

なんと醜く自分勝手な女なんだ!

ナディアとの婚約を円満に解消しようと思ったが止めた!

卒業パーティーでナディアに恥をかかせてやる!

僕は卒業パーティーにラーラを連れて参加することにした。

ナディアにダメージを与えるため、ナディアとの婚約解消を宣言した直後に、ラーラを新しい婚約者として皆に紹介する。

卒業パーティー当日、僕はラーラと共に壇上に立ちナディアの悪事を白日のもとに晒した。

ナディアが嫉妬にかられ、ラーラを誘拐しようとした醜い女であることを大声で話した。

ナディアとの婚約破棄を宣言し、新しい婚約者としてラーラを紹介した。

ナディアは小刻みに震えながら呆然と立ち尽くしていた。そんなナディアの姿を見て僕は胸がすっとした。

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