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7話「バカップル誕生!?」
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ワルデマー殿下は赤い髪と赤い瞳をしていた。
パーティの度に王宮から届くドレスは真紅色で、私はいつも赤いドレスを身にまとっていた。
銀色の髪に紫の瞳の私には、真っ赤なドレスはあまり似合わない。
嫌いな男の瞳の色のドレスを着て、パーティに参加するのはなかなかの苦行だった。
ふわふわしたピンクの髪の妹のマダリンなら、赤いドレスも似合っただろう。
そういえば私が断罪されたパーティでも、妹は真紅のドレスを纏っていたわね。
ワルデマー殿下は私の物よというアピールだったのかしら?
それとも「赤いドレスはお姉様より私の方が似合うのよ」と言いたかったのかしら?
もう関係ないし、どうでもいいけど。
「そうよ。
私が今身につけているドレスはワルデマー殿下の瞳の色よ。
ワルデマー殿下の瞳の色のドレスを身につけるなんて嫌だけど、王宮から贈られてきた物だから着るしかなかったの」
ワルデマー殿下からではなく、王妃様の名前で贈られてきたんだけどね。
王家からの贈り物を拒否することはできない。
だから仕方なく、真っ赤なドレスを纏ってパーティに参加したのだ。
嫌いな男の瞳の色だろうが、似合わなかろうが、私に拒否権はなかった。
「好きな人が他の男の瞳の色のドレスを纏っているのを見せられるのは苦痛です。
だから僕はメリーのドレスを脱がしたいと言ったのです。
決していかがわしい意味ではなく、他の服に着替えてほしいという意味で……」
「叩いてごめん、勘違いしてた」
私もレイが他の女の子の瞳の色の服を着ていたら嫌だ。
「分かって貰えればいいんです。
その代わりこれからメリーには、僕の瞳の色と髪の色のドレスしか着せませんから覚悟していて下さい」
レイの瞳の色はブルー、髪の色は金。
一生、青か金(もしくは黄色)のドレスかぁ……それも悪くないかも。
「いいわよ。
その代わり、レイも私の瞳と髪の色の服しか着ないで」
私の髪の色は銀、瞳の色は紫、どちらの色もレイなら上手に着こなせそう。
「もちろんです。メリー」
レイはそう言って破顔した。
「もしかしてレイが今着ている服も?」
レイが身にまとっているのは藤色のジュストコールだ。
「僕は旅に出てからずっと、メリーの瞳の色の服しか着ていません」
嬉しいけど、なんか恥ずかしいな。
「おかげで【紫のレイ】という二つ名が付きました」
二つ名がつくほど有名だったの?
「やっぱりお互いの髪と瞳の色の服だけ着るのはやめにしようか?」
傍から見たらただのバカップルだ。
「だめですよメリー!
一度約束したことを反故にするなんて!
いけないことです!」
レイが悲しそうな顔で私を見る。
「分かったわよ。
約束したもんね。
これからはずっとお互いの髪と瞳の色の服だけを着て過ごそう」
「はい。メリー」
レイが喜んでくれるなら周りからバカップル扱いされてもいいかな。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
※次回最終話。
明日新作をアップします。
こちらの作品もよろしくお願いします。
「お迎えに上がりました、お嬢様」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/802618757 #アルファポリス
約8,000文字のショートショートです。
パーティの度に王宮から届くドレスは真紅色で、私はいつも赤いドレスを身にまとっていた。
銀色の髪に紫の瞳の私には、真っ赤なドレスはあまり似合わない。
嫌いな男の瞳の色のドレスを着て、パーティに参加するのはなかなかの苦行だった。
ふわふわしたピンクの髪の妹のマダリンなら、赤いドレスも似合っただろう。
そういえば私が断罪されたパーティでも、妹は真紅のドレスを纏っていたわね。
ワルデマー殿下は私の物よというアピールだったのかしら?
それとも「赤いドレスはお姉様より私の方が似合うのよ」と言いたかったのかしら?
もう関係ないし、どうでもいいけど。
「そうよ。
私が今身につけているドレスはワルデマー殿下の瞳の色よ。
ワルデマー殿下の瞳の色のドレスを身につけるなんて嫌だけど、王宮から贈られてきた物だから着るしかなかったの」
ワルデマー殿下からではなく、王妃様の名前で贈られてきたんだけどね。
王家からの贈り物を拒否することはできない。
だから仕方なく、真っ赤なドレスを纏ってパーティに参加したのだ。
嫌いな男の瞳の色だろうが、似合わなかろうが、私に拒否権はなかった。
「好きな人が他の男の瞳の色のドレスを纏っているのを見せられるのは苦痛です。
だから僕はメリーのドレスを脱がしたいと言ったのです。
決していかがわしい意味ではなく、他の服に着替えてほしいという意味で……」
「叩いてごめん、勘違いしてた」
私もレイが他の女の子の瞳の色の服を着ていたら嫌だ。
「分かって貰えればいいんです。
その代わりこれからメリーには、僕の瞳の色と髪の色のドレスしか着せませんから覚悟していて下さい」
レイの瞳の色はブルー、髪の色は金。
一生、青か金(もしくは黄色)のドレスかぁ……それも悪くないかも。
「いいわよ。
その代わり、レイも私の瞳と髪の色の服しか着ないで」
私の髪の色は銀、瞳の色は紫、どちらの色もレイなら上手に着こなせそう。
「もちろんです。メリー」
レイはそう言って破顔した。
「もしかしてレイが今着ている服も?」
レイが身にまとっているのは藤色のジュストコールだ。
「僕は旅に出てからずっと、メリーの瞳の色の服しか着ていません」
嬉しいけど、なんか恥ずかしいな。
「おかげで【紫のレイ】という二つ名が付きました」
二つ名がつくほど有名だったの?
「やっぱりお互いの髪と瞳の色の服だけ着るのはやめにしようか?」
傍から見たらただのバカップルだ。
「だめですよメリー!
一度約束したことを反故にするなんて!
いけないことです!」
レイが悲しそうな顔で私を見る。
「分かったわよ。
約束したもんね。
これからはずっとお互いの髪と瞳の色の服だけを着て過ごそう」
「はい。メリー」
レイが喜んでくれるなら周りからバカップル扱いされてもいいかな。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
※次回最終話。
明日新作をアップします。
こちらの作品もよろしくお願いします。
「お迎えに上がりました、お嬢様」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/802618757 #アルファポリス
約8,000文字のショートショートです。
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