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7話「カトリーナ様」
しおりを挟む「魔王様、人間界のことに疎いでしょう?
先日もカトリーナ様に『お前を愛してないし、これからも愛することはない! 俺に愛されたいなど思うな!!』って言って、彼女を傷つけたばかりっす」
「うっ、それは……!」
魔王様の顔が赤から青に変わる。
「だから、また変なこと書いてカトリーナ様のご機嫌を損ねないように、オレが魔王様の書いた手紙を推敲してあげるっす!」
「分かった。ラードの言うことにも一理ある。
ラードに手紙の推敲を頼むことにする!」
魔王様、チョロ過ぎっす。
「手紙の推敲込みで、白地に桃色の小花柄の便箋10枚一束で400億ギル。
薔薇の花21本一束8,200億ギルっす!」
「よし! 買った!」
さり気なく値上げしたことに魔王様は気が付かなかった。やっぱりこの人チョロい。
「魔王様、ラードの奴さり気なく値上げしてますよ」
と、思ったけどリッキーさんにバレて元の値段に戻されたっす。
☆☆☆☆☆
リッキー様の妨害があったが、オレは魔王様に高額で便箋と花束を売りつけることに成功した。
魔王様が書いた手紙を推敲して、カトリーナ様に届けることになったっす。
魔王様はカトリーナ様に手紙を渡しに行く直前になって熱を出して倒れたので、オレが代わりに手紙を渡しに行くことになったっす。
手紙の配達料はきちんと請求しておいたっす。
魔王様は太っ腹だから気前よく支払ってくれたので、オレの懐は今とても暖かい。
魔王様の書いた手紙は100枚以上あった。
魔王様が書き直しも含めて便箋を大量に使ってくれたので、ボロ儲けできたっす。
その変わり推敲するのに時間がかかって、カトリーナ様に手紙を届けるのが遅くなってしまったっす。
「失礼します、カトリーナ様」
カトリーナ様の部屋の扉をノックし中に入る。
初夜に魔王様から暴言を吐かれたカトリーナ様が精神的なショックを受け、祖国を恋しがって部屋の隅で泣いてたらどうしよう……と心配していたのだが。
カトリーナ様はオレの予想に反して、揺り椅子に座りながら優雅に編み物をしてくつろいでたっす。
「魔王様の配下のラードと申します。
以後お見知りおきください。
今日は魔王様から謝罪の手紙と花束を預かって来たっす」
カトリーナ様に魔王様からの手紙と花束を渡す。
花束を受け取ったカトリーナ様は、花の匂いかいで「良い香り」と言ってほほ笑んだ。
とりあえず薔薇の花束は好感触っす!
薔薇を花瓶に生けたカトリーナ様は、揺り椅子に腰掛けると手紙の封を開けすごい速さで手紙を読み始めた。
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