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6話「便箋1枚1億ギル、10枚一束で100億ギル」
しおりを挟む「安心するっすよ魔王様。
こんなこともあろうかと、カトリーナ様が好きな便箋の柄を調べておいたっす。
ついでに彼女が好きな花もリサーチ済みっす!」
「本当か!
さすが風のラード!
魔王軍一の情報通だな!」
そんな、魔王様褒めすぎっすよ。でももっと褒めてもいいんすよ!
「カトリーナ様が好きなのは白地に桃色の小花柄の便箋っす!」
「なるほど、白地に桃色の小花柄……だな!」
「カトリーナの好きな花は白の薔薇っす!」
「なるほど、白薔薇……!」
魔王様がまたメモしてるっす。
「よし、白地に桃色の小花柄の便箋と薔薇を買いに行くぞ!
しかし、どこに行けば手に入るのか皆目検討がつかない……!
どうすれば……!?」
魔王様には女性向けの小物や人間界の花屋の場所を知らない。
ここはチョロい魔王様を利用してお小遣い稼ぎ……もとい、世間知らずの魔王様を手助けして株を上げるチャンス!
「お困りのようですね魔王様!
実はオレ、ちょうど白地に桃色の小花柄の便箋と白の薔薇を持ってるっす」
「本当かラード!?」
魔王様がキラキラした目で見てくるっす。
鴨がネギを背負って……いや、魔王様がゆるい紐の財布を持ってやってきたっす!
「白地に桃色の小花柄の便箋1枚1億ギル、10枚一束で100億ギル。
薔薇の花1本10億ギル、21本一束2100億ギルでどうすっか?
ちなみに薔薇の花束21本の花言葉は『あなただけに尽くします』っす!」
「買った!!!!」
魔王様が即答した。
やはり魔王様はネギを背負った鴨!
「魔王様混乱してく単純な計算もできなくなっているんですか?
便箋1枚1億ギルだったら10枚で10億ギル。
薔薇の花1本10億ギルなら21本で210億ギルです。
ちなみに便箋の相場は1枚50ギル、薔薇の花の相場は1本300~700ギルです」
リッキーさんがオレがぼったくりしたことを魔王様にバラした。
さすが魔界一の切れ者と歌われるリッキー様。この人の目は欺けないっす!
「それは本当かリッキー?
ラード、貴様俺を騙したのか……?」
魔王様が眉間にしわを寄せオレを睨む。
さすがヘタレでも金銭感覚がおかしくても現役の魔王!
眼光の鋭さが半端ないっす!
やばい! 魔王様の怒りがオレに向いてる! なんとかしないと!
「魔王様、オレの便箋と花束が相場が高いのはオプションがついてるからっす!」
「オプションだと?」
「そうっす!
便箋と花束をオレの言い値で買ってくれるなら、魔王様の書いた手紙をオレが推敲してあげるっす!」
「推敲だと……?」
魔王様の黒曜石の瞳を細めオレを睨みつけた。
「ヒィィィごめんなさい!
つまらないオプションですみません!」
「そんな……カトリーナへの手紙を、第三者に読まれるなんて、恥ずかしい……」
魔王様が頬を赤く染め三角座りして床に渦巻きを書き始めた。
乙女か!
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