完結・せっかく助け出した初恋の人に、新婚初夜に『お前を愛してないし、これからも愛することはない!』って真顔で言うとか、魔王様はアホっすか!?

まほりろ

文字の大きさ
上 下
6 / 9

6話「便箋1枚1億ギル、10枚一束で100億ギル」

しおりを挟む


「安心するっすよ魔王様。
 こんなこともあろうかと、カトリーナ様が好きな便箋の柄を調べておいたっす。
 ついでに彼女が好きな花もリサーチ済みっす!」

「本当か!
 さすが風のラード!
 魔王軍一の情報通だな!」

そんな、魔王様褒めすぎっすよ。でももっと褒めてもいいんすよ!

「カトリーナ様が好きなのは白地に桃色の小花柄の便箋っす!」

「なるほど、白地に桃色の小花柄……だな!」

「カトリーナの好きな花は白の薔薇っす!」

「なるほど、白薔薇……!」

魔王様がまたメモしてるっす。

「よし、白地に桃色の小花柄の便箋と薔薇を買いに行くぞ!
 しかし、どこに行けば手に入るのか皆目検討がつかない……!
 どうすれば……!?」

魔王様には女性向けの小物や人間界の花屋の場所を知らない。

ここはチョロい魔王様を利用してお小遣い稼ぎ……もとい、世間知らずの魔王様を手助けして株を上げるチャンス!

「お困りのようですね魔王様!
 実はオレ、ちょうど白地に桃色の小花柄の便箋と白の薔薇を持ってるっす」

「本当かラード!?」

魔王様がキラキラした目で見てくるっす。

鴨がネギを背負って……いや、魔王様がゆるい紐の財布を持ってやってきたっす!

「白地に桃色の小花柄の便箋1枚1億ギル、10枚一束で100億ギル。
 薔薇の花1本10億ギル、21本一束2100億ギルでどうすっか?
 ちなみに薔薇の花束21本の花言葉は『あなただけに尽くします』っす!」

「買った!!!!」

魔王様が即答した。

やはり魔王様はネギを背負った鴨!

「魔王様混乱してく単純な計算もできなくなっているんですか?
 便箋1枚1億ギルだったら10枚で10億ギル。
 薔薇の花1本10億ギルなら21本で210億ギルです。
 ちなみに便箋の相場は1枚50ギル、薔薇の花の相場は1本300~700ギルです」

リッキーさんがオレがぼったくりしたことを魔王様にバラした。

さすが魔界一の切れ者と歌われるリッキー様。この人の目は欺けないっす!

「それは本当かリッキー?
 ラード、貴様俺を騙したのか……?」

魔王様が眉間にしわを寄せオレを睨む。

さすがヘタレでも金銭感覚がおかしくても現役の魔王!

眼光の鋭さが半端ないっす!

やばい! 魔王様の怒りがオレに向いてる! なんとかしないと!

「魔王様、オレの便箋と花束が相場が高いのはオプションがついてるからっす!」

「オプションだと?」

「そうっす!
 便箋と花束をオレの言い値で買ってくれるなら、魔王様の書いた手紙をオレが推敲してあげるっす!」

「推敲だと……?」

魔王様の黒曜石の瞳を細めオレを睨みつけた。

「ヒィィィごめんなさい!
 つまらないオプションですみません!」

「そんな……カトリーナへの手紙を、第三者に読まれるなんて、恥ずかしい……」

魔王様が頬を赤く染め三角座りして床に渦巻きを書き始めた。

乙女か!

しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】図々しい義妹夫婦を撃退したら夫に捨てられました

横居花琉
恋愛
デイジーとサーストンの婚約に強く反対したのはサーストンの妹のヘレンだった。 根気強い説得によりヘレンは考えを変え、結婚に賛同した。 そしてヘレンも急に結婚を決めてしまった。 状況が大きく変化し、デイジーの新婚生活は早々に波乱が起きたのだった。

【完結】広間でドレスを脱ぎ捨てた公爵令嬢は優しい香りに包まれる【短編】

青波鳩子
恋愛
シャーリー・フォークナー公爵令嬢は、この国の第一王子であり婚約者であるゼブロン・メルレアンに呼び出されていた。 婚約破棄は皆の総意だと言われたシャーリーは、ゼブロンの友人たちの総意では受け入れられないと、王宮で働く者たちの意見を集めて欲しいと言う。 そんなことを言いだすシャーリーを小馬鹿にするゼブロンと取り巻きの生徒会役員たち。 それで納得してくれるのならと卒業パーティ会場から王宮へ向かう。 ゼブロンは自分が住まう王宮で集めた意見が自分と食い違っていることに茫然とする。 *別サイトにアップ済みで、加筆改稿しています。 *約2万字の短編です。 *完結しています。 *11月8日22時に1、2、3話、11月9日10時に4、5、最終話を投稿します。

〖完結〗幼馴染みの王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。

藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。 何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。 同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。 もうやめる。 カイン様との婚約は解消する。 でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。 愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません! 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。

傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。

石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。 そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。 新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。 初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、別サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。

あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。 「君の為の時間は取れない」と。 それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。 そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。 旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。 あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。 そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。 ※35〜37話くらいで終わります。

立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~

矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。 隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。 周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。 ※設定はゆるいです。

【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~

胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。 時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。 王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。 処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。 これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。

処理中です...