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2話「婚約破棄、国外追放、ヒーロー登場」
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とあるパーティで、王太子はカトリーナとの婚約を破棄し、そのすぐ後ベティとの婚約を発表しました。
カトリーナは異母妹をいじめていた罪に問われ、身分を剥奪され国外追放を命じられてしまいました。
貴族の令嬢として育った娘に国外追放処分を命じること、……それは「死ね」と言ってるのも同然でした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
カトリーナが絶体絶命のピンチに陥ったその時――!
突如強風が吹き荒れ、晴れ渡っていた空に暗雲が立ち込めました。
そして雷鳴が鳴り響いたとき、会場の窓が外から割られました。
パーティ会場に集まった客は、何が起きたのか分からず恐怖におののいていました。
割れた窓から、黒衣を纏った黒髪の美青年が現れました。
彼の凛々しき姿に乙女たちはうっとりしました。
兵士たちは彼の目に宿る殺意と、彼が発する覇気に、恐怖しました。
黒衣の男は、カトリーナの元へ真っ直ぐに近づいて行きました。
「我が名はレオナード!
魔界の王だ!
王太子マテルよ、そなたがカトリーナをいらないというのなら私が彼女を貰い受ける!
異議がある者は剣を抜け!
我が魔剣の錆にしてくれる!」
しかし城にいる兵士は誰も動けませんでした。
腕に覚えのあるものは、彼の強さが戦わなくてもわかったのです。
誰もその場から動くことができずにいました。
窓の外を目にした者が悲鳴を開けました。
外には無数のモンスターが飛び交っていたからです。
国王は玉座でおもらし、王太子とベティはその場でおもらしした上に尻もちをつき、鼻水を垂らしながら泣きべそをかいています。
「異論がないなら俺がカトリーナを貰っていく!
返してほしければ魔界相手に戦争を仕掛けることだな!
最もその場合、この国は焦土と化し誰一人生き残ることは不可能だがな!!」
魔王はそう言い残すとカトリーナを攫い、漆黒のドラゴンに跨りその場を後にしました。
会場に残った人たちは、暫く恐怖で動くことが出来ませんでした。
多くの者はこの日の事を夢で見て、うなされることになるのでした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
会場に現れて颯爽とカトリーナを攫った魔王レオナード。
彼こそが、カトリーナが幼い頃かわいがっていた子犬のレオだったのです。
魔王がまだ魔界の王子だった幼い日、彼は先代の魔王と大喧嘩しました。
先代の魔王の逆鱗に触れた彼は子犬の姿に変えられ、人間界に追放されたのです。
レオナードは温室育ちだったので、力を封印され子犬の姿にされとても困りました。
食べ物にも寝るところにもことかき、野生動物にいじめられボロボロ。
そんなある日、野良犬に追われたレオナードは、公爵家の庭に迷い込みました。
傷つき衰弱したレオナード様を救ってくれたのが、まだあどけなさを残すカトリーナだったのです。
カトリーナはレオナードの傷の手当をし、ご飯を食べさせ、温かい部屋にふわふわのベッドを用意しました。
レオナードはカトリーナに恋をし、いつか彼女に恩を返すことを心に誓いました。
ずっとこんな幸せな日々が続けばいいと思っていました。
しかしカトリーナの母親が亡くなり、レオナードは公爵家にやってきた公爵の後妻に森の奥深くに連れて行かれ、捨てられてしまいました。
時を同じくして、先代魔王が急死しました。
先代魔王の死によりレオナードにかけられた魔法が解けました。
レオナードはすぐにカトリーナの元に行きたかったのですが、彼は先代魔王のたった一人の跡継ぎ。
先代魔王の配下に魔界に連れ戻されてしまったのです。
魔王の職を引き継ぎカトリーナを迎えに行こうとしたレオナード。
しかし、カトリーナには王太子という婚約者がいました。
婚約者がいる人間を魔界に連れ帰ることは禁じられていました。
レオナードはカトリーナが辛い日々を送っているのを知りながら、遠くから見守ることしかできなかったのです。
カトリーナは異母妹をいじめていた罪に問われ、身分を剥奪され国外追放を命じられてしまいました。
貴族の令嬢として育った娘に国外追放処分を命じること、……それは「死ね」と言ってるのも同然でした。
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カトリーナが絶体絶命のピンチに陥ったその時――!
突如強風が吹き荒れ、晴れ渡っていた空に暗雲が立ち込めました。
そして雷鳴が鳴り響いたとき、会場の窓が外から割られました。
パーティ会場に集まった客は、何が起きたのか分からず恐怖におののいていました。
割れた窓から、黒衣を纏った黒髪の美青年が現れました。
彼の凛々しき姿に乙女たちはうっとりしました。
兵士たちは彼の目に宿る殺意と、彼が発する覇気に、恐怖しました。
黒衣の男は、カトリーナの元へ真っ直ぐに近づいて行きました。
「我が名はレオナード!
魔界の王だ!
王太子マテルよ、そなたがカトリーナをいらないというのなら私が彼女を貰い受ける!
異議がある者は剣を抜け!
我が魔剣の錆にしてくれる!」
しかし城にいる兵士は誰も動けませんでした。
腕に覚えのあるものは、彼の強さが戦わなくてもわかったのです。
誰もその場から動くことができずにいました。
窓の外を目にした者が悲鳴を開けました。
外には無数のモンスターが飛び交っていたからです。
国王は玉座でおもらし、王太子とベティはその場でおもらしした上に尻もちをつき、鼻水を垂らしながら泣きべそをかいています。
「異論がないなら俺がカトリーナを貰っていく!
返してほしければ魔界相手に戦争を仕掛けることだな!
最もその場合、この国は焦土と化し誰一人生き残ることは不可能だがな!!」
魔王はそう言い残すとカトリーナを攫い、漆黒のドラゴンに跨りその場を後にしました。
会場に残った人たちは、暫く恐怖で動くことが出来ませんでした。
多くの者はこの日の事を夢で見て、うなされることになるのでした。
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会場に現れて颯爽とカトリーナを攫った魔王レオナード。
彼こそが、カトリーナが幼い頃かわいがっていた子犬のレオだったのです。
魔王がまだ魔界の王子だった幼い日、彼は先代の魔王と大喧嘩しました。
先代の魔王の逆鱗に触れた彼は子犬の姿に変えられ、人間界に追放されたのです。
レオナードは温室育ちだったので、力を封印され子犬の姿にされとても困りました。
食べ物にも寝るところにもことかき、野生動物にいじめられボロボロ。
そんなある日、野良犬に追われたレオナードは、公爵家の庭に迷い込みました。
傷つき衰弱したレオナード様を救ってくれたのが、まだあどけなさを残すカトリーナだったのです。
カトリーナはレオナードの傷の手当をし、ご飯を食べさせ、温かい部屋にふわふわのベッドを用意しました。
レオナードはカトリーナに恋をし、いつか彼女に恩を返すことを心に誓いました。
ずっとこんな幸せな日々が続けばいいと思っていました。
しかしカトリーナの母親が亡くなり、レオナードは公爵家にやってきた公爵の後妻に森の奥深くに連れて行かれ、捨てられてしまいました。
時を同じくして、先代魔王が急死しました。
先代魔王の死によりレオナードにかけられた魔法が解けました。
レオナードはすぐにカトリーナの元に行きたかったのですが、彼は先代魔王のたった一人の跡継ぎ。
先代魔王の配下に魔界に連れ戻されてしまったのです。
魔王の職を引き継ぎカトリーナを迎えに行こうとしたレオナード。
しかし、カトリーナには王太子という婚約者がいました。
婚約者がいる人間を魔界に連れ帰ることは禁じられていました。
レオナードはカトリーナが辛い日々を送っているのを知りながら、遠くから見守ることしかできなかったのです。
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