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二十二話「僕と兄様の公然の関係④」最終話
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シュトラウス公爵家、とある一室。
父様と母様がソファーに座っている。二人の顔を見るのも三カ月ぶり。心なしか二人とも三カ月前よりやつれた気がする。
「ふええっ!? 兄様と僕って血の繋がらない兄弟だったの?!」
「そうなんだ、シュトラウス公爵家の次男は赤子の頃に亡くなり、エミリーはさる貴族の家から養子に迎えたんだよ。表向きは弟として、成長したら私のお嫁さんにするためにね」
父様とも母様とも兄様とも血が繫がってないなんてショックだ!
「……そんなによく似た顔立ちで、血の繋がらない兄弟とか無理があるだろ……」
「父様、何かおっしゃいましたか?」
「いっ、いや、なにも……!」
「父様も母様も兄様も、本当の家族じゃなかったの……?」
僕の瞳からボロボロと涙が溢れる。
「大丈夫だよ、僕と結婚すれば本当の家族になれるから」
兄様が僕の涙を兄様がハンカチで拭う。
「エミリー・シュトラウス、僕と結婚してくれますか?」
兄様が僕の手を強く握る。
兄様と結婚すれば父様と母様と本当の家族になれる。ずっとこの家にいられる。兄様の側にいられる。それに僕は兄様のことが……。
「うん、僕兄様と結婚する」
兄様が天使のようにふんわりとほほ笑み、僕をぎゅっと抱きしめた。
「ありがとうエミリー! 幸せにするよ!」
兄様は僕を抱きしめたままくるくると回った。僕はまた目を回してしまった。
「今すぐ結婚しよう! 陛下と教会の許可は取ってある!」
「はぁ……我がいとこ殿も気の毒に……」
父様もポツリと漏らす。
「父様? 何かおっしゃいましたか?」
「なっ、なにも言ってないぞ……!」
父様が青い顔で首を横に振る。
「父様も母様も私とエミリーの結婚を祝福してくださいますよね?」
兄様が父様と母様に向かってにこりと笑いかける。
「もっ、もちろんだとも!」
「ふっ、二人の結婚を祝福するわ!」
父様と母様が笑顔で拍手してくれた。
父様と母様に祝福されて、大好きな兄様と結婚できるなんて、とっても幸せ。
お腹が大きくなる前にと兄様に急かされ、一カ月後、僕は兄様と結婚した。
結婚することを永久就職って言うんだよね。兄様は確かに僕に就職先を見つけてくれた。それも最高の就職先を。
「兄様愛してる、僕兄様と永遠に一緒にいたい」
「私もだよエミリー、エミリーを永久に籠の中に閉じ込めて、誰の目にも触れさせないよ」
兄様が口角を上げ、僕にキスをした。
僕は兄様と結婚し、子供にも恵まれ、ものすご~~く幸せに暮らしている。
――終わり――
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
最後まで読んでくださりありがとうございます。
少しでも「楽しい」「続きが気になる」と思っていただけましたら、いいねとブックマークで応援いただけると大変励みになります。
どうぞよろしくお願いします!
【書籍化のお知らせ】
この度、下記作品が書籍化されることになりました。
「彼女を愛することはない 王太子に婚約破棄された私の嫁ぎ先は呪われた王兄殿下が暮らす北の森でした」
著者 / まほりろ
イラスト / 晴
販売元 / レジーナブックス
発売日 / 2025年01月31日
販売形態 / 電子書籍、紙の書籍両方
(紙の書籍が全国の書店に行き渡るのは2月4日頃になると思います)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/681592804
こちらもよろしくお願いします。
父様と母様がソファーに座っている。二人の顔を見るのも三カ月ぶり。心なしか二人とも三カ月前よりやつれた気がする。
「ふええっ!? 兄様と僕って血の繋がらない兄弟だったの?!」
「そうなんだ、シュトラウス公爵家の次男は赤子の頃に亡くなり、エミリーはさる貴族の家から養子に迎えたんだよ。表向きは弟として、成長したら私のお嫁さんにするためにね」
父様とも母様とも兄様とも血が繫がってないなんてショックだ!
「……そんなによく似た顔立ちで、血の繋がらない兄弟とか無理があるだろ……」
「父様、何かおっしゃいましたか?」
「いっ、いや、なにも……!」
「父様も母様も兄様も、本当の家族じゃなかったの……?」
僕の瞳からボロボロと涙が溢れる。
「大丈夫だよ、僕と結婚すれば本当の家族になれるから」
兄様が僕の涙を兄様がハンカチで拭う。
「エミリー・シュトラウス、僕と結婚してくれますか?」
兄様が僕の手を強く握る。
兄様と結婚すれば父様と母様と本当の家族になれる。ずっとこの家にいられる。兄様の側にいられる。それに僕は兄様のことが……。
「うん、僕兄様と結婚する」
兄様が天使のようにふんわりとほほ笑み、僕をぎゅっと抱きしめた。
「ありがとうエミリー! 幸せにするよ!」
兄様は僕を抱きしめたままくるくると回った。僕はまた目を回してしまった。
「今すぐ結婚しよう! 陛下と教会の許可は取ってある!」
「はぁ……我がいとこ殿も気の毒に……」
父様もポツリと漏らす。
「父様? 何かおっしゃいましたか?」
「なっ、なにも言ってないぞ……!」
父様が青い顔で首を横に振る。
「父様も母様も私とエミリーの結婚を祝福してくださいますよね?」
兄様が父様と母様に向かってにこりと笑いかける。
「もっ、もちろんだとも!」
「ふっ、二人の結婚を祝福するわ!」
父様と母様が笑顔で拍手してくれた。
父様と母様に祝福されて、大好きな兄様と結婚できるなんて、とっても幸せ。
お腹が大きくなる前にと兄様に急かされ、一カ月後、僕は兄様と結婚した。
結婚することを永久就職って言うんだよね。兄様は確かに僕に就職先を見つけてくれた。それも最高の就職先を。
「兄様愛してる、僕兄様と永遠に一緒にいたい」
「私もだよエミリー、エミリーを永久に籠の中に閉じ込めて、誰の目にも触れさせないよ」
兄様が口角を上げ、僕にキスをした。
僕は兄様と結婚し、子供にも恵まれ、ものすご~~く幸せに暮らしている。
――終わり――
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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どうぞよろしくお願いします!
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「彼女を愛することはない 王太子に婚約破棄された私の嫁ぎ先は呪われた王兄殿下が暮らす北の森でした」
著者 / まほりろ
イラスト / 晴
販売元 / レジーナブックス
発売日 / 2025年01月31日
販売形態 / 電子書籍、紙の書籍両方
(紙の書籍が全国の書店に行き渡るのは2月4日頃になると思います)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/681592804
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