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12話
しおりを挟む――アデリナ視点――
リスペルン国の風はブラーゼ国に吹く風とは違った。
ブラーゼ国の国土の大半は砂漠が締め、乾燥した大地が広がっている。
対するリスペルン国は湿地が多い。今頬をなでている風も湿度をおびている。
知識としては本を読んで知っていたけど、実際に体感するとまた違った感動がある。
同じ船から降りた人たちが息苦しそうにしている。どうしてかしら?船の中では元気そうだったのに?リスペルン国についてから具合が悪くなったのかしら?
「この国の空気はいつ来ても悪いな」
「ああ、三年前まではこんなではなかったのに……」
同じ船から降りた人たちから、そんな会話が聞こえた。
私は普通に息ができているのに、彼らと私の違いはいったい?
「アルデナ、僕から離れないで」
私の肩の上にいたクヴェルがトカゲの姿でささやく。
「僕が浄化してるから、僕の周囲の空気は安全だから」
クヴェルはリスペルン国の空気が悪い理由に心当たりがあるのかしら?
クヴェルは空気の浄化ができるのね。
「お嬢さん、よかったらリスペルン帝国の王都まで乗っていくかね」
ブラーゼ国で馬車に乗せてくれた、商団の団長さんがそう声をかけてくれた。
「いいんですか?」
「ついでだからな、女の子一人とトカゲ一匹増えても変わらんよ」
「ありがとうございます!」
クヴェルの話も気になるけど、今は王都を目指そう。
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