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5話「学園」
しおりを挟む翌日学園に行った僕は新しい婚約者を探すことにした。
ブルーナに婚約破棄されたから、次の婚約者が必要だ。
僕のような美男子に婚約者がいないと分かったら、女たちが僕を取り合い血みどろの争いを繰り広げるだろう。
一刻も早く次の婚約者を決めなくては。全くモテる男は大変だ。
今度は伯爵家のような格下の家の娘ではなく、侯爵家以上の格式のある家の令嬢と婚約したい。
公爵家以上の令嬢で、美人でおしゃれで、僕のすることに小言を言わない、おしとやかで胸の大きな女なら、僕の相手として申し分ない。
なにせ僕は国でも一、二を争う美男子なのだから、そのくらいの女でなければ僕に釣り合わない。
まずは相手の本質を見極めるためにデートに誘おう。
国でも一、二を争う美少年の僕がデートに誘ってやるんだ、みんな涙を流して喜ぶぞ。
だが僕が侯爵家以上の家格の令嬢に声をかけようとすると、皆僕から視線を逸し、逃げるように足早に去っていく。
追いかけて腕を掴み壁ドンして口説いてもいいが、相手は高位貴族の令嬢だ。無作法を働くわけにもいかない。
くそっ! ブルーナと婚約破棄してから何もかもうまく行かない!
もういい、新しい婚約者を探すのは後回しだ。
適当に遊べる子爵家や男爵家の令嬢に声をかけよう。
可愛い女の子と遊んで憂さ晴らしだ。
「ミア、ソフィー」
何度か遊んだことのある二人組の女の子に声をかけた。
ミアもソフィーも男爵家の次女で、顔がよくて、スタイルがよくて、そして股がゆるい。
「あら、アーク様……学園にいらしていましたのね?」
「わたし今日は予定がありますのでこれで失礼しますわ」
僕を見たミアとソフィーは驚いた顔をして、その場から立ち去ろうとした。
高位貴族の令嬢だけでなく、下位貴族の令嬢にも逃げられるとは思わなかった。
僕は逃げようとする二人の手を掴んだ。
二人は格下の男爵家の令嬢だ。多少乱暴に扱っても問題ない。
「そう邪険にするなよ。
今から食事にでも行かないか?
僕が奢るよ」
今日もレストラン【バッケン】に行こう。
どうせ金はヴェルナー侯爵家が払ってくれるんだ。豪勢にやろう。
「ごめんなさい、アーク様」
「お断りしますわ」
二人に断られてしまった。
いつもなら僕が誘えば「きゃー! 嬉しい!」とかなんとか言って学校をサボってついてくるのに。
「付き合いが悪いぞ。何かあったのか?」
「パパとママに言われたんです。
ヴェルナー侯爵家のアーク様とは関わるなって」
「私もお父様とお母様に『ヴェルナー侯爵家のアーク様とは関わるな』ときつく言われましたわ」
ヴェルナー侯爵家の令息である僕と関わるなだと?
たかが男爵家の分際で生意気な!
「パパとママはエアハルト伯爵家に関係を切られたくないみたいなんです。
私がアーク様と遊んでいたことがパパにバレて、昨日すごく叱られてしまいました」
「私もです。
お父様とお母様にブルーナ様とアーク様の婚約破棄の原因を私みたいに言われて、もの凄く怒られてしまいました。
アーク様は不特定多数の女と遊んでいましたし、娼館にも通ってました。アーク様がブルーナ様に婚約破棄されたのは私のせいだけではありまんのに」
「お前たちなぜ僕がエアハルト伯爵家のブルーナに婚約破棄された事を知っている?」
今日学園でヨーゼフたちから聞いたのか?
いやこいつらは昨日親に怒られたと言ってる。
どうやってこいつらの親は、僕がブルーナに婚約破棄されたことを知ったんだ?
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